上向きの日本株を襲った強烈パンチ 向かい風の中でプロが注目し続ける銘柄とは
(2022年9月1日記事の再掲載です)
《日々相場と向き合うプロトレーダーは今どんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから8月相場を振り返ります》
8月相場を振り返って
せーのっ「ジャクソンホーール!!」
ジャクソンホールとは、アメリカ西部の山間にある、スキー場のある小さな街の名前ですが、ここでのFRB議長パウエル氏の講演(8月26日)後、アメリカのダウ平均株価が1,000ドル下落しました。
利上げペースが落ち着くとみていたマーケットに対して、強烈なカウンターパンチ発言「インフレをやっつけるために真剣だ」(意訳「金利まだまだ上げるぜ!」=株価に対しての下落圧力)をしたためです。
それにつられて日本株も、月末にかけて大きく下落してしまいました。上昇傾向のあった日本株ですが、失速しちゃいましたね。
指数 | 7月終値 | 8月終値 | 騰落率 |
日経平均株価 | 27,801円 | 28,091円 | +1.04% |
TOPIX | 1,940ポイント | 1,963ポイント | +1.19% |
東証グロース指数 | 901ポイント | 943ポイント | +4.66% |
8月相場で上がった株・下がった株
そんな2022年8月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ります(太字はピックアップ銘柄)。
・2022年8月の売買代金トップ20
・2022年8月の値上がり率トップ20
・2022年8月の値下がり率トップ20
8月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
・売買代金ランキング
【第4位】日本郵船<9101>……1.15兆円
【第7位】川崎汽船<9107>……9335億円
【第9位】商船三井<9104>……8361億円
7月末にそろって上方修正をして、またまた注目された邦船3社。高値付近まで上昇する場面もあるものの、月末にかけては失速気味でした。
業績はとてもよいですが、だからといって株価が上がるわけではない。
何度も言っていることですが、ここまで業績が良くて配当も高ければ買いたくなってしまいます。でも、トレーダーが注目すべきはやはり株価であり、値動きです。ランキングでもすっかり定着してきましたが、今後もしっかり追いかけていきたい海運です。
・値上がり率ランキング
【第7位】アイスタイル<3660>……+86.9%(276円→516円)
8月のいちばんのニュースはこちらではないでしょうか。
アイスタイル、米国Amazonおよび三井物産(株)と業務資本提携 ~生活者のお買い物体験向上等を通じたさらなる事業成長に向けて~
8月15日夕方に出されたリリースです。GAFAの一角を占めるアマゾンが日本企業の筆頭株主になるということで、大きな注目を集めて株価も上昇しました。8月の高値は678円で、7月終値から比べると2.5倍です。
書籍から始まり、酒、コスメなど、どんどん専門店を取り込んでいるアマゾンですが、これを見て「じゃあ、次は?」と考えるのも楽しいかもしれません。
でも、それは投資の話。トレードはあくまで値動き重視です。
勝ち続けるために大事なことは、チャートを見て、より上がりそうなものを買う、下がりそうなものを売る。資金の集まっている銘柄、大きな変化のある銘柄に注目すること。
こういう大きな変化を追いかけ続けることで、次の大きな変化があったときにチャンスが生まれます。しっかりと覚えておきましょう。
・値下がり率ランキング
【第1位】テラ<2191>……−97.9%(97円→2円)
またまたバイオです。
いや、本当に、バイオって難しいのです。研究が報われない前提で見ておくべきだし、ほぼ失敗して終わるので、手出し無用。覚えておきましょう。
新型コロナウイルスの流行が始まったときに、株価は一時2,000円までいきましたが、会社発表のほとんどが虚偽であるとの調査があり、最終的には「破産」となりました。上場廃止ではなく「破産(自己破産)」です(8月23日付で上場廃止)。
バイオでも将来の新薬に向けてしっかりと研究をしている企業がほとんどだと思いますが、生物や医療、製薬の専門家でない限り、投資やトレードにバイオ関連銘柄は向きません。
向かい風を生き残れ!
8月に入り、日経平均株価はなかなか超えられなかった28,000円を超えて、そのままの勢いで29,000円も超えてトレンドは上方向! ……と期待が高まったところでの急落。
ジャクソンホール講演後、アメリカの金利がまだまだ上がりそうということで、アメリカ株は下落し、ドル高が継続。ドル円はついに24年ぶりの安値139円代半ばまで下落してしまいました。
なかなか明るい材料に乏しくみえる日本株ですが、エネルギーや電子部品、海運やゲーム、マンガ関連など勢いのある分野もたくさんあります。
アメリカの金利上昇という大きな向かい風はありますが、風向きはいつか変わります。そのタイミングがいつになるかはまだわかりませんが、そう遠くない未来だと思います。今はしっかりと資金管理をして生き残り、いつか来るその時に向けて、しっかりと準備しておきましょう。
年末まであと4か月、はりきっていくぞー!!!
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)