選挙に揺れる株式市場 それでもプロが目を離さない銘柄と危険な香りとは?

窪田 剛
2024年11月1日 9時30分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

10月相場を振り返って

11日連続で陰線! 過去2番目の長さ!!

10月は月初に新しい総理大臣が誕生し、前半はその政策への期待や金融所得課税撤回発言によって株価は上昇したものの、総選挙で旗色が悪くなると投開票日の27日に向けて下落。そして、予想どおり与党が負けると材料出尽くしで再び上昇……という流れになりました。

月半ばには日経平均株価は11日連続で陰線となり、過去2番目の長さと並びました。なんと、あの「リーマンショック」のときと同じ長さです(ちなみに、連続陰線記録の1位は2012年5月の13本)。

いまだ不透明感しかない政治情勢であり、11月はアメリカ大統領選挙もあります。引き続きトレンドのない、どっちつかずな相場が続いていますが、いつトレンドが生まれるかは誰にもわかりません。こういうときから始まることもあります。

良い面も悪い面もありますが、選挙は日米ともに相場の転換点になり得ます。マーケットが不安定だからと言って油断せず、チャンスが来るかもしれないと気合いを入れて年末まで走り切りましょう。

10月相場で上がった株・下がった株

そんな2024年10月の株式相場を、売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ります(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズオンラインスクール)。

・2024年10月の売買代金トップ20

・2024年10月の値上がり率トップ20

・2024年10月の値下がり率トップ20

10月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

主役だけど勢いはない。でも…

売買代金ランキング
【第1位】ディスコ<6146>        4.59兆円(前月2.85兆円)
【第3位】レーザーテック<6920>     3.27兆円(前月4.27兆円)
【第4位】アドバンテスト<6857>     2.64兆円(前月1.75兆円)
【第5位】東京エレクトロン<8035>    2.29兆円(前月2.72兆円)
【第7位】ソフトバンクグループ<9984>   1.75兆円(前月1.74兆円)

毎月恒例の半導体関連銘柄は、上位20銘柄中5銘柄となりました。だいぶ減りましたね。

それでも、世界のヒーロー、エヌビディア<NVDA>は高値を更新しました。日本でもアドバンテストは高値更新となりましたが、それ以外はまだ調整中。復活の兆しはあるものの、相場の圧倒的主役だった頃と比べれば、「まだ主役だけど勢いはない」、そんな感じになっています。

ただし、北海道に進出するラピダス(非上場)、熊本のTSMC(台湾)、まだまだ続くAIへの投資。さらには、自動運転車、スマホ、スマートグラスやバーチャルグラスなど、ありとあらゆるサービスで半導体が使われる場面はどんどん増えています。

半導体関連銘柄を視界から外すことなく、注目し続けていきましょう。

見ておいて損はない

売買代金ランキング
【第5位】三菱重工業<7011> 3.87兆円
【第18位】川崎重工業<7012> 1.57兆円
【第20位】IHI<7013>   1.53兆円

前半は快調に高値を取っていた防衛関連銘柄ですが、総選挙の不透明感が増すにつれて下落。しかしながら、月末にかけて反発してきたので、今後も要注目です。

アメリカ大統領選の結果によっては日本周辺の地政学的リスクへの関心が高まることもあり得るため、見ておいて損はないと思います。

まだまだ広がるAIの波

売買代金ランキング
【第13位】フジクラ<5803>  1.17兆円

AIの隆盛によって、半導体関連銘柄は長期間にわたり相場の主役となっています。また、AIの計算処理を担うデータセンターも注目を浴びました。

そして今回、なんと、光ファイバーや電線を扱うフジクラが13位にランクインしました。株価も10月末に高値を更新し、非常に堅調に推移しています。同社の扱っている商材はデータセンターに必要なものであり、しかも世界中のデータセンターが顧客です。

当初、AIブームでデータセンターの次に注目されていたのは「電力」でした。データセンターの運営に大量の電力が必要だからです。そしていま、光ファイバーにも手が伸びてきました。広がり続けるAIの大波。まだまだ周辺業界を巻き込んで大きくなりそうです。

そういった意味でも、ど真ん中の半導体関連銘柄からは目が離せませんし、フジクラのように「目立たないけど大事な仕事をしている企業」にも光が当たるようになることは、マーケットにいる身からすると、とても嬉しい出来事です。

こういった銘柄を一つ一つ利益に変えていきましょう。このコラムを読んでいてよかったね、となるように、今後もどんどんピックアップしていきます。

「注意深く見ておく」

値上がり率ランキング
【第20位】アドバンテスト<6857>  +35.7%(6,741円→9,148円)

売買代金ランキングでもピックアップしましたが、全体的に元気のない半導体関連銘柄において、ひとり気を吐いているため、こちらでも。

いまから追いかけて買う、という感じにはなりにくいのですが、今後も注目されるタイミングがあるはずなので、半導体関連のなかでも特にしっかりと見ておきたい銘柄です。

ただ、他の銘柄との乖離がちょっと危険な香りを漂わせるため、現時点では「注意深く見ておく」に留めておくのがよさそうです。

11月はチャンスかも!?

日本の選挙が終わり、すぐにアメリカ大統領選挙が行われます。

日本時間の6日朝方から開票が始まるため、日本の取引時間ともろに被るんですよ。そして、どっちが有利だからこの銘柄が買われる、あれが売られる──そんなことが一日じゅう繰り返されるのが、大統領選投開票日の日本のマーケットです。

もしザラ場を見られるのであれば、見てみると面白いかもしれません。ただ、ポジションを持っていると間違いなく振り回されるので、小さなポジション、もしくは様子見がおすすめです。

アメリカ大統領選が終わり、7〜8日頃から大きく相場が動き始める可能性があります。それまで目を離さず、もし大きく動き始めたら、しっかりと大きな波に乗って大きく稼ぎましょう。11月はチャンスかもよ!

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(本記事は「株の学校トピックス」からの転載です)

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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