「5%ルール」とは?
・5%ルール [ごパーセントルール]
上場株式を大量保有した場合に義務付けられている開示制度のこと。正式には「大量保有報告制度」。
大量保有者には、株式の保有割合が1%以上増減した場合にも、変更報告書の提出義務が発生する。
株式市場の透明性の確保と投資家の保護を目的としてつくられた制度。
・さらに詳しく解説
上場企業の発行済み株式数の5%超を保有する株主(大量保有者という)、原則として5%を越える株式を保有することになった日から5日以内に、内閣総理大臣に「大量保有報告書」を提出する義務がある。
これとは別に、独占禁止法による金融機関の5%ルールがある。企業支配を防止するため、金融機関は国内企業の発行済み株式数の5%(生命保険会社は10%)を超えて取得することが原則禁じられている。
大量保有報告書は、提出者(大量保有者)の住所(法人の場合は登記簿上の本店所在地)を管轄する財務局に提出される。1990年の証券取引法改正で導入され、2007年4月以降は、EDINETと呼ばれる電子開示システムでの報告が義務付けられた。
EDINETは、金融庁の有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システムで、誰でも閲覧することができる。
・短期トレードの現場から一言
大量保有報告書に国有ファンドや投資信託など、長期投資を目的とする法人などの場合は安定株主として歓迎され、価格は安定しやすい。
新興銘柄に著名投資家や人気の投信から大量保有報告書を提出されると、株価は瞬く間に急騰しストップ高まで買われることも多い。以前は機関投資家が目立っていたが、SNSの普及とともに、ツイッターで著名な投資家の大量保有報告書で動くことの方が多くなっている。
もちろん、彼らが持ち高を減少させると逆の現象が起こる可能性は高く、企業にとっても冷や汗ものだ。逆に、大量保有報告書は株価を急落させることもある。癖の悪いファンドや投機筋が入ると、それまで堅調だった株価が突如として売られる場合がある。
そして、創業者や代表取締役の保有動向も重要となる。代表取締役の買い増しは、事業の好調を表すため、投資家の買い意欲につながるが、売却後に業績が悪化すると非難の的となる。また、創業者の売りは、現在の役員との軋轢を感じさせる。
大量保有報告書に名前が載った後に、株価が上がれば正義、下がれば悪材料とされる。投資家が報告者をどちらに分類しているか判明できる指標でもあるのだ。
*「現場から一言」は、株式市場に真摯に向き合う投資家・トレーダーの視点から、初心者が特に勘違いしやすい側面について、経験を積んだ人々の知見をお届けします。ただし、これは絶対的な「正解」ではなく、あくまで一個人の見解である点にご留意ください。