資産運用をするなら理解しておきたい「金利」の基礎知識
知っておきたい金利のこと
株式投資を始めた方や興味を持っている方のなかには、投資を検討するきっかけとして、「銀行にお金を預けていても利息がほとんどつかない」ことを挙げる方もいらっしゃるでしょう。現在、定期預金でも年0.004%という低金利が続いていますので、無理もありません。
そもそも「金利」とは?
私たちはお金を決済手段として使い、商品やサービスの売買をしています。しかし、時には手元のお金が足りない場合もあります。そこで、お金を借りるわけです。借りたお金を返す際には、お金を貸してくれたお礼として、賃借料を借りた金額に上乗せして支払います。
この賃借料のことを「利子」と言い、その割合のことを「金利」と言います。「金利10%」ということは、借りたお金の10%を利子として支払うことを意味します。ちなみに「利息」も意味は同じなのですが、お金を貸した側が受け取るお金を指す場合に使われることが多くなっています。
金融商品の金利表示は1年間の利子(利息)の割合である「年利」が基本です。
- 利息÷元本÷期間(年)=年利(%)
例えば、100万円の定期貯金に年利5万円の利息がつくとします。この場合の年利は5%となります。
- 5万円÷100万円÷1年×100=5%
反対に、現在の定期預金の一般的な年利から利息を計算すると……
- 100万円×0.004%×1年=40円
100万円を1年間預けても40円しか増えないということなのです。
金利を決める「お金の需給」
需要と供給のバランスで価格が決まる仕組みを、経済用語で「マーケット・メカニズム(市場原理)」と言います。金利の場合も、お金の需給関係によって日々変化します。お金を借りたい人が貸したい人よりも多ければ金利が上昇し、お金を貸したい人が借りたい人より増えると金利は低下するわけです。
そうは言っても、金利が大きく動くことはまずありません。理由はシンプルで、日本銀行の金融政策によって短期金利の水準がコントロールされており、大幅な変動が阻止されているからです。
景気のサイクルで金利もサイクルする
では、実際のところ何が金利を動かすのかと言えば、それはズバリ「国内の景気」です。景気とは「経済活動の勢い」であり、好景気のときはモノやサービスがよく売れるので、企業が儲かり、雇用も増加します。反対に、不景気のときはモノやサービスが売れず、企業の売上が減少し、雇用も減少します。
好景気も不景気もいつかは終わり、交互に入れ替わります。これを「景気循環」と呼び、金利はこのサイクルに左右されます。
例えば、好景気によって企業の生産・販売活動が活発化すると、より多くのモノやサービスを供給するため、銀行からお金を借りて設備投資をする企業が増加します。個人は、勤め先企業が儲かることで年収が増え、消費が増えます。住居や車など、高額商品をローンで購入する人も増加するでしょう。
このように、経済活動が活発になることでお金を借りたい人が増え、資金需要が高まるので、需給バランスから自然と金利は上昇します。しかし、金利が上昇を続けると、やがて不景気へと転じます。なぜなら、金利が高くなると利払いの負担が増えて企業の利益が目減りし、給与やボーナスも減るからです。
そうなると、モノやサービスが消費されなくなるため、企業は生産の調整や設備投資を控えるようになります。企業の資金需要が減り、自然と金利も低下することになります。
金利と為替相場の関係
為替相場とは、円とドルなど2つの異なる通貨の交換比率のことです。ニュースで報じられる「円高」「円安」は円の価値が上下するという意味で、次のような関係にあります。
- 円の価値が上がる→ドルの価値が下がる(円高・ドル安)
- 円の価値が下がる→ドルの価値が上がる(円安・ドル高)
このとき気をつけなければならないのが、「円高/円安になった」というのは、あくまでもある時点と比較して円の価値が高くなった/安くなった、ということに過ぎないということ。つまり、いくらになったら円高・円安という基準が決まっているわけではないのです。
為替相場が円高(ドル安)に動いたときは、原油や天然ガス、小麦やとうもろこしなど、様々な製品を作るために海外から輸入する原材料が安くなって製品コストが下がるため、物価も下がり、金利低下へとつながります。
反対に、輸入している原材料の価格が高くなれば製品コストも上がるので物価が上がり、金利上昇へとつながります。
金利の知識を武器に
金利とひとくちに言っても、日銀やアメリカのFRBが発表する政策金利から、債券の長期金利、さらには銀行預金の金利や住宅ローンの金利など、様々な金利があります。それらは、私たちの生活に密接に関係しています。もちろん、金利の動向は株式市場にも大きく影響し、株価を動かす要因ともなります。
金利を理解することは、経済全体の流れを理解することにつながり、それが結果的に、資産形成・資産運用にも大きな武器となるはずです。