日本株はネタが盛りだくさん! プロが次なる主力に見据える銘柄とは?

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》
2025年5月相場を振り返って
メタプラ! グロース! TOB!
大きなニュース目白押しの1か月が終わりました。決算発表も多く、大きな動きのある1カ月となりましたが、いちばん大きな出来事は……いや、全部ですね。メタプラも、グロースの躍進も、各社のTOBも、ひとつひとつが一冊の本にできるほど話したいことがあります。
盛りだくさんの5月となりましたが、今後のためにもしっかりと振り返っておきましょう。さらっとね、さらっと。


5月相場で上がった株・下がった株
そんな2025年5月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズ)。
・2025年5月の売買代金トップ20

・2025年5月の値上がり率トップ20

・2025年5月の値下がり率トップ20

5月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
「下げ止まったぞ」という感じ
売買代金ランキング
【第3位】ディスコ<6146>・・・・・・・・3.45兆円
【第4位】フジクラ<5803>・・・・・・・・3.24兆円
【第5位】アドバンテスト<6857>・・・・・2.39兆円
【第8位】東京エレクトロン<8035>・・・・1.79兆円
【第12位】レーザーテック<6920>・・・・・1.43兆円
【第16位】ソフトバンクグループ<9984>・・ 9637億円
生成AI関連への注目度合いが下がり続け、売買代金ランキング上位20位のうち6銘柄まで減っています。
ですが、29日に発表されたアメリカのエヌビディア<NVDA>の決算がよく、株価は高値圏にあります。エヌビディアがここから大きく上昇するかどうかはわかりませんが、ここでピックアップしたような銘柄はいま現在、安値圏から反発してきたところです。
以前に付けた高値まではまだまだ遠く、出来高というエネルギーも十分とは言えませんが、「下げ止まったぞ」という感じはあります。ここから反発していけるかは疑問も残りますが、監視を続けておき、出来高というエネルギーが増えてきたらチャンスがあるかもしれません。
視界の隅っこでいいので監視を続けておきましょう。






今からでも十分間に合う
売買代金ランキング
【第1位】三菱重工業<7011>・・・4.22兆円
【第2位】川崎重工業<7012>・・・3.74兆円
【第9位】IHI<7013>・・・・・1.62兆円
【第39位】三井E&S<7003>・・・4370億円
防衛3社と旧財閥系の重工1社をピックアップ。4銘柄すべて高値更新してきました。強い。売買代金も十分。
自分に言いたい。なぜこれらの銘柄を5月の主力にしなかったんだ!と。毎日チェックはしていたものの、どうしてもグロース市場の値動きの軽い銘柄に目移りしてしまい、主力にはしませんでした。自分、浮き足立っていました。
大きな売買代金、大きなエネルギー。じわりじわりと前線を拡大していき、気づけば日本のマーケットの主力になっています。今後も目が離せません。今からでも十分間に合う。6月は君たちが俺の主力だ!




こういう銘柄を避けるために
値下がり率ランキング
【第2位】オルツ<260A>・・・-64.5%
AIを利用したサービスを展開している会社ですが、契約数や売り上げを水増ししていたとして事件になっています。
監査法人や主幹事証券、東証も、事前に審査しているはずですが、昨年10月に上場してしまいました。事件が発覚した後は売りが殺到しており、株価は発覚前の400円から90円まで下落(マイナス78%)しています(5月だけで見ると257円から91円で、マイナス64.5%)。

AIに関しては注目も浴びているし、いまは半導体や電線などのいわゆるインフラに資金が集まっていますが、AIを利用したサービスの会社がどんどん出てくるのは本来とてもいい流れです。ですが、こうした状況を利用して不正を行う会社も、残念ながら出てきてしまいます。
こういうことはマーケットでは必ず起こりますが、私が普段行っているトレードでは、こういった銘柄はそもそも候補銘柄にも上がってきません。
私がお勧めしている「流動性の大きさ」というのは、こうした銘柄を避けるためのひとつのフィルターになります。完璧に防ぐことは難しいですが、今回のようなことは防ぐことが出来ますし、今後も機能するフィルターだと考えています。
自分が手掛ける銘柄は、「みんなが買っているから」「SNSでお勧めされているから」といったあいまいな理由ではなく、しっかりと自分の基準をもって銘柄を選ぶようにしましょう。そのひとつの答えが「流動性」だと思っています。
あまりおすすめはできませんが
値上がり率ランキング
【第2位】メタプラネット<3350>・・・+177.8%(売買代金15位:9767億円)
大きな注目を浴びました。
ビットコインを買うだけの会社なのにビットコインの価値の何倍もの株価がついているため、多くの機関投資家が空売りをしていましたが、その踏み上げもあって、大きく値を飛ばしました。

2025年5月19日時点でビットコインを7800BTC保有しており、追加で680BTCほど買うための資金調達もしています。これはビットコインが値上がりする前提であり、すでにビットコインの価値の5倍ほどの時価総額(BTCの価値が1400億ほどで時価総額が6000億円ほど)になっていて、どう考えても割高です。
しかしながら、暗号資産の持つ魅力、人を引き付けるお金の匂い、それに加えて空売りの踏み上げも重なり、引き続き高値圏で推移しています。
私は、この銘柄だけは苦手だったので距離を置いてきましたが、さすがにこの5月は売買代金というエネルギーが膨大だったため、取引しました。いまのところ、今後の値動きにも注目せざるを得ないと考えています。
それでも、この銘柄はあまりお勧めできません。
難易度も高いし、それ以外にも「暗号資産ゆえの危うさ」を感じるからです(暗号資産を本当に保有しているのか? 保有していたとしても、それをきちんと保管できているのか? 盗難の心配はどうなんだ?……などなど心配が尽きません)。
なにより、他の銘柄で大きなチャンスはいくらでもあるのですから。
トレードの王道は、近道でもある
ランキングからのピックアップにはなりませんでしたが、5月のトピックはまだまだあります。それは、グロース市場の躍進とTOBです。
グロース市場はこの1か月で指数が10%以上も上昇しました。とはいえ、全体が買われたというよりも、少数の銘柄に集中して資金が入っており、それらの指数への影響度が大きいためだと考えられます。それでも、グロース銘柄の強さを感じる1か月となりました。
そしてもうひとつ、それがTOBです。
豊田自動織機<6201>の株式非公開化、NTT(日本電信電話<9432>)による住信SBIネット銀行<7163>のTOB、他にも、イオン<8267>や牧野フライス製作所<6135>といった大手プレイヤーも続々とTOBを発表しています。
こういったダイナミックな動きがあると、マーケットが活性化しますね。とてもいい流れだと思っています。
でも、だからといって「次のTOBを探すぞ!」ということではありません。日々しっかりとチャートを見て、本質的なことを淡々と行っていくことこそが王道であり、近道だと考えています。
マーケットには、日々刺激的なことがありますが、ニュースやSNSに惑わされず、地に足を付けて6月以降もしっかり稼いでいきましょう。
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(本記事は「株の学校トピックス」からの転載です)