落ち着いて終えた師走の日本株。その中でプロが見つけた違和感と、気になる新たなテーマとは
《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》
2025年12月相場を振り返って
全体感は落ち着いた一か月でした。年末に向けて大きな盛り上がりはなく、大きく崩れることもなく、不気味というと語弊がありますが、ふつふつとした力強さに支えられて5万円台を保った月となりました。


12月相場で上がった株・下がった株
そんな2025年12月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズ)
・2025年12月の売買代金トップ20

・2025年12月の値上がり率トップ20

・2025年12月の値下がり率トップ20

12月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
休息のAI半導体。その中にある違和感
▶売買代金ランキング *()は11月
【第1位】ソフトバンクグループ<9984> ・・・・・・・・・ 8.24兆円(8.29兆円)
【第2位】キオクシアホールディングス<285A> ・・・ 7.54兆円(7.80兆円)
【第3位】フジクラ<5803> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3.17兆円(5.34兆円)
【第4位】アドバンテスト<6857> ・・・・・・・・・・・・・・・ 3.08兆円(4.52兆円)
【第5位】レーザーテック<6920> ・・・・・・・・・・・・・・・ 2.70兆円(3.05兆円)
【第7位】ディスコ<6146> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.19兆円(2.17兆円)
【第8位】東京エレクトロン<8035> ・・・・・・・・・・・・・ 1.68兆円(1.99兆円)
【第16位】住友電気工業<5802> ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.02兆円(9903億円)
【第19位】日立製作所<6501> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9270億円(1.37兆円)
上位20銘柄中、9銘柄のランクインとなった生成AI関連ですが、勢いが保たれているわけでも、落ちているわけでもないと考えています。
大きく盛り上がった期間が続きましたが、年末という特殊要因(国内・海外投資家が休みに入るため積極的に買われにくい)もあり、次への飛躍を感じさせる「しっかりとした調整、休息」という感じを受けました。
少し気になるのは、「電線三兄弟」(古河電気工業<5801>、フジクラ<5803>)の住友電気工業<5802>がランク外からランクインしていることです。
ほとんどの銘柄は先月(11月)から売買代金を減らしているのですが、この銘柄は先月9903億円で25位だったところから、売買代金も順位も上げてきています。チャートでは特段の強さは見られませんが「相対的な強さ」を感じます。
今はまだこの事実だけの「違和感」ですが、「何かあるかもしれないな?」という感じがあります。
「上位の銘柄はほぼ売買代金を減らしているのに、これだけ増えている」
この先に何があるのか。今はまだ「違和感」だけですが、何もないなら、それはそれ。何かあるのであれば、その兆しとしての「何か」なんだと思います。この「違和感」を大事に、次に生かしていきたいと思います。
何かあってほしい! けれど、十中八九、なにもないんですけどね、マーケットなんて。









ついに来た! 金利だ金利!
▶売買代金ランキング
【第6位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> ・・・ 2.24兆円
【第10位】三井住友フィナンシャルグループ<8316> ・・・・・・・ 1.44兆円
【第18位】みずほフィナンシャルグループ<8411> ・・・・・・・・・ 9840億円
30年ぶりの政策金利0.75%!!! これがどれだけインパクトを与えるか!!!
いま、新卒で会社に入って10年たった方って、「金利を知らない世代」なんですよ。すごいことですよね。
ただ、この金利でもまだマーケットは「円安」で反応しました。要は「もっと金利上げろ」ということだと私は判断しています。現時点でアメリカは3.75%、欧州は2.15%です。せめて1.5%くらいは……というとことなのでしょう。
難しい話は置いておいて、私たちトレーダーが気にすべきは、「銀行株アツい」ということです。
売買代金があまり大きくないのと、値動きが派手ではないので地味なのですが、ここで取り上げたメガバンクだけでなく、日本中にある「地銀」がグググッと来ています。30年間、辛酸をなめてきたが、ここからやっと攻めるぜ!
……という段階になってきたんじゃないか、ということがチャートから読み取れます(気のせいかもしれない)。



もちろん、人口減少や地域経済の縮小などの向かい風もあるし、金利が少しあるくらいでは解決できない問題も山積しています。でも、だからこそ、息の長い、ゆっくりと、だが力強い、ポジティブな流れが来ている……“気がします”。
派手な、わかりやすい動きではないですし、銀行といってもたくさんの銘柄があるので玉石混交ではあるのですが、この波の始まりをぜひみなさんと共有しておきたいと思っています。
メガバンクもいいですが、あなたの地元の地銀、あなたの住む地域周辺の地銀の株価を、ぜひチェックしてみてください。普段の生活でよく看板を目にする、そんな些細なきっかけかもしれませんが、そういったところから始まる物語もあると思います。
新しいキーワードで2026年を駆ける
今月は比較的ゆったりとした、動きがあまりない一か月でした。
ただ、新しく生まれたキーワードあります。その銘柄たちは、午年の2026年に“駆け上がる”かもしれません。
「え? それは何かって?」
実は、今月のランキング(売買代金、値上がり率、値下がり率のトップ20)には入っていないんです。でも、いい感じのチャートを形成しつつあります。
日々マーケットを見ている方であれば、このキーワードを聞けば「ああ、たしかに!」と思うはずです。実際に、生成AIからの流れとしても当てはまると考えています。
それは何かというと……年末のコラムで引っ張っても仕方ないですね(福笑)。
今月になって突如として生まれたキーワード、それは「フィジカルAI」です。銘柄としてはファナック<6954>と安川電機<6506>。他にもあるのですが、まずはこの2銘柄を押さえておけば、来年のスタートダッシュはまずまずなんじゃないでしょうか。
(もちろん自己責任で。私自身も半信半疑ではあるけれど、流れが生まれたよ、たぶん……という程度でお伝えしています)
新しく生まれたこのキーワードが注目され続けるのか、それとも、消費されて終わってしまうのか。それはわかりません。でも、マーケットで注目すべきことのうちの大きな一角は占めていると感じます。
マーケットを、私の目線で
さて。
2025年、日経平均株価5万円突破、素敵な出来事でした。大きな流れとしては、株価は調整を挟みつつも、このまま上昇を続けると考えています。2026年も、このコラムではこんな感じで緩く、日々マーケットと向き合っている私が、私の目線で伝えられることを伝えていこうと思います。
みなさま、よいお年をお迎えください。
(年明け読む方は「あけましておめでとうございます!」)
2025年大晦日。
雪を眺めながら。
窪田
【おすすめ】なぜ明日上がる銘柄がわかるのか 元手30万円を数億円の利益に変えたプロの銘柄選び
(本記事は「株の学校トピックス」からの転載です)









