下落続く日本株 イヤな雰囲気の中でプロが期待を寄せる銘柄とは

窪田 剛
2021年8月2日 8時00分

7月相場を振り返って

東京オリンピックが始まりました! 日本勢のメダルラッシュは素直に嬉しいです。そんな日々メダル獲得のニュースを横目に、私・窪田の証券口座は安値更新を続けています(涙)

全体的に下降トレンドのなか、ギャップアップして高値を超えて反転か……と見せかけて、また下落。私自身はトレンドフォロー(流れに乗る)のトレードをしているので、とても大変な1か月でした。

ただ、昔と比べて成長したと思えるのは、損失を(昔よりだいぶ)小さく抑えられたこと。自分の間合いに合わないときは合わないなりに立ち回ることができたなと、この1か月を振り返って思います。

          6月終値      7月終値
 ・日経平均株価: 28,791円   → 27,283円   (−5.24%)
 ・TOPIX : 1,943ポイント  → 1,901ポイント (−2.16%)
 ・マザーズ指数: 1,207ポイント  → 1,085ポイント (−10.11%)

日経平均株価は、5月の安値27,385円を割り込んでしまいました。このあとすぐに反発できればいいのですが、さてどうなるか。下降トレンドが続く場合は無理して買わず、しっかり損切りをして、空売りで狙うのが基本戦略です。ナンピン買いは絶対だめ!

7月相場で上がった株・下がった株

そんな2021年7月の相場を、売買代金値上がり率値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います。

・2021年7月の売買代金トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 9984 ソフトバンクグループ 1.44兆円
2 6920 レーザーテック 1.30兆円
3 7974 任天堂 1.07兆円
4 7203 トヨタ自動車 8845億円
5 9983 ファーストリテイリング 8508億円
6 6758 ソニーグループ 8264億円
7 8035 東京エレクトロン 6226億円
8 6861 キーエンス 5081億円
9 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 4888億円
10 4523 エーザイ 4425億円
11 6981 村田製作所 4319億円
12 6501 日立製作所 4281億円
13 8316 三井住友フィナンシャルグループ 3917億円
14 6594 日本電産 3837億円
15 9101 日本郵船 3789億円
16 6954 ファナック 3645億円
17 4063 信越化学工業 3644億円
18 4502 武田薬品工業 3192億円
19 6098 リクルートホールディングス 3167億円
20 2413 エムスリー 3121億円

・2021年7月の値上がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 3936 グローバルウェイ +158.5%
2 8256 プロルート丸光 +80.8%
3 3377 バイク王&カンパニー +77.7%
4 7373 アイドマ・ホールディングス +74.9%
5 7527 システムソフト +61.7%
6 2978 ツクルバ +61.5%
7 7599 IDOM +52.7%
8 6335 東京機械製作所 +46.1%
9 9326 関通 +42.3%
10 6083 ERIホールディングス +41.3%
11 8886 ウッドフレンズ +39.5%
12 6564 ミダック +36.9%
13 4068 ベイシス +36.4%
14 9073 京極運輸商事 +35.2%
15 5935 元旦ビューティ工業 +34.7%
16 7187 ジェイリース +34.5%
17 9812 テーオーホールディングス +32.3%
18 3919 パイプドHD +32.0%
19 7370 Enjin +31.8%
20 2981 ランディックス +31.7%

・2021年7月の値下がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値下がり率
1 6628 オンキヨーホームエンターテイメント −80.0%
2 2351 ASJ −40.3%
3 3346 21LADY −37.6%
4 4199 ワンダープラネット −35.5%
5 8040 東京ソワール −35.2%
6 4477 BASE −32.5%
7 4069 BlueMeme −32.5%
8 6659 メディアリンクス −31.8%
9 4057 インターファクトリー −31.8%
10 4479 マクアケ −30.6%
11 6195 ホープ −30.2%
12 7345 アイ・パートナーズフィナンシャル −29.9%
13 6521 オキサイド −29.2%
14 4389 プロパティデータバンク −28.6%
15 6562 ジーニー −27.7%
16 7805 プリントネット −27.6%
17 6047 Gunosy −26.7%
18 7063 Birdman −26.1%
19 4564 オンコセラピー・サイエンス −26.1%
20 3497 LeTech −25.9%

7月相場でプロが気になった銘柄

この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。

・ソフトバンクグループ<9984>

  • 売買代金1位:1.44兆円

月間で12%も下落しました。中国当局による、海外市場(主にアメリカ)に上場する中国企業に対する規制強化によって、同社の投資先が毀損するということで売られ続けました。

また、投資先のDiDiが国家安全上の理由でダウンロードが規制されるなど、投資先に中国の大型企業が多いソフトバンクグループには厳しい1か月となりました。

・日本郵船<9101>

先月も取り上げた邦船3社を、今月もピックアップ。

  • 日本郵船<9101>……売買代金15位:3,789億円
  • 商船三井<9104>……売買代金32位:2,308億円
  • 川崎汽船<9107>……売買代金93位:1,252億円

月末に商船三井が配当を大幅に増やす(150円から550円!)発表をして、3社とも大きく上昇しました。商船三井は株価が約5,000円なので10%配当です。

先月紹介したバルチック海運指数も高止まりしており、今後も期待です。

・バイク王&カンパニー<3377>/IDOM<7599>

  • バイク王&カンパニー<3377>………値上がり率3位:+77.7%(801円→1,424円)
  • IDOM<7599>…………………………値上がり率7位:+52.7%(654円→999円)

バイクの買取で有名なバイク王&カンパニーと、車の買取「ガリバー」で有名なIDOM。コロナで生活様式が大きく変わり、プライベート空間で移動できる車(バイクも)は今後も人気が続きそう。

ただ、両社とも通常時は売買代金(流動性)が少ないため、売買する際はしっかりとチャートと流動性を見て判断するようにしましょう。

・BASE<4477>/マクアケ<4479>

  • BASE<4477>………値下がり率6位:−32.5%(1,689円→1,140円)
  • マクアケ<4479>……値下がり率10位:−30.2%(6,350円→4,530円)

2020年に大きく値上がりした2社ですが、ここへ来て大きく下落しました。業績自体が悪いわけではないのですが、株価が大きく上昇していた反動ですね。

株式市場では、このように過剰に大きく上昇したり下落したりすることがよくあるので、この2社の値動きは参考になると思います。

株は、常に勝つ必要はない

それにしても、マザーズが大きく下がりましたね。日経平均株価も安値を更新してしまい、ここで反発できなければ下降トレンドが継続してしまいます。2021年後半に向けて、ちょっと嫌な雰囲気になってきました。

5月の大きな下落以降、パッとしない相場が続いています。こういう相場のとき、多くの人は、それまでの利益を全て吐き出してしまいがちです。それだけならまだいいほうで、さらに売買を重ねて、損を拡大してしまう人も少なくありません。

マーケットにはいい時期も悪い時期もあります。いい時期に稼ぐことは誰にでもできますが、悪いときに減らさないことこそ、長期的に稼ぎ続けるためにとても重要なことなのです。

常に勝つ必要はない。
勝てないときは減らさない。

これをぜひ覚えておいてほしいと思います。

とにかく損を小さくすること。8月もがんばっていきましょう!

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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