海運株の次は鉄鋼株? 好況続く業界でプロが注目する銘柄とは
8月相場を振り返って
遂に、月末最終日に下落するジンクスが終わりました。
2020年の9月から2021年7月まで11か月連続、月末の日経平均株価は前日比マイナスで終わっていましたが、この8月、ようやく前日比プラスで終わることができました。しかも、28,089円(前日比+300円)という大きな上昇となりました。
下落トレンドだった日経平均も28,000円台を回復し、ここから年末にかけていい形で終わったのではないかと感じます。
[7月終値→8月終値]
- 日経平均株価: 27,283円 → 28,089円
- TOPIX: 1,901ポイント → 1,960ポイント
- マザーズ指数: 1,085ポイント → 1,135ポイント
8月相場で上がった株・下がった株
そんな2021年8月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います。
・2021年8月の売買代金トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 売買代金 |
1 | 9101 | 日本郵船 | 1.95兆円 |
2 | 9984 | ソフトバンクグループ | 1.34兆円 |
3 | 6920 | レーザーテック | 1.32兆円 |
4 | 7203 | トヨタ自動車 | 1.21兆円 |
5 | 7974 | 任天堂 | 1.12兆円 |
6 | 9104 | 商船三井 | 1.04兆円 |
7 | 8035 | 東京エレクトロン | 7574億円 |
8 | 6758 | ソニーグループ | 7002億円 |
9 | 9983 | ファーストリテイリング | 6085億円 |
10 | 9107 | 川崎汽船 | 5590億円 |
11 | 6861 | キーエンス | 4886億円 |
12 | 8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 4771億円 |
13 | 5401 | 日本製鉄 | 4641億円 |
14 | 6098 | リクルートホールディングス | 4391億円 |
15 | 5411 | JFEホールディングス | 4006億円 |
16 | 4507 | 塩野義製薬 | 4003億円 |
17 | 8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 3760億円 |
18 | 6367 | ダイキン工業 | 3615億円 |
19 | 6954 | ファナック | 3570億円 |
20 | 4568 | 第一三共 | 3537億円 |
・2021年8月の値上がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値上がり率 |
1 | 9127 | 玉井商船 | +169.7% |
2 | 7089 | フォースタートアップス | +116.4% |
3 | 3936 | グローバルウェイ | +100.9% |
4 | 9308 | 乾汽船 | +89.0% |
5 | 5820 | 三ッ星 | +80.7% |
6 | 9360 | 鈴与シンワート | +79.5% |
7 | 6620 | 宮越ホールディングス | +77.8% |
8 | 7855 | カーディナル | +74.2% |
9 | 9941 | 太洋物産 | +69.7% |
10 | 7769 | リズム | +68.6% |
11 | 2158 | FRONTEO | +65.5% |
12 | 3376 | オンリー | +64.4% |
13 | 3825 | リミックスポイント | +63.3% |
14 | 9272 | ブティックス | +63.1% |
15 | 9268 | オプティマスグループ | +62.4% |
16 | 6626 | SEMITEC | +61.5% |
17 | 6034 | MRT | +60.8% |
18 | 6069 | トレンダーズ | +60.5% |
19 | 8848 | レオパレス21 | +60.4% |
20 | 7072 | インティメート・マージャー | +60.2% |
・2021年8月の値下がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値下がり率 |
1 | 4582 | シンバイオ製薬 | −46.6% |
2 | 4427 | EduLab | −33.6% |
3 | 4196 | ネオマーケティング | −32.2% |
4 | 9514 | エフオン | −31.5% |
5 | 3446 | ジェイテックコーポレーション | −29.7% |
6 | 7792 | コラントッテ | −28.5% |
7 | 7527 | システムソフト | −27.6% |
8 | 4918 | アイビー化粧品 | −27.3% |
9 | 4193 | ファブリカコミュニケーションズ | −27.1% |
10 | 7369 | メイホーホールディングス | −26.8% |
11 | 2138 | クルーズ | −26.4% |
12 | 6629 | テクノホライゾン | −26.1% |
13 | 9517 | イーレックス | −26.1% |
14 | 3674 | オークファン | −26.0% |
15 | 7358 | ポピンズホールディングス | −25.8% |
16 | 8783 | GFA | −25.1% |
17 | 3960 | バリューデザイン | −24.7% |
18 | 4344 | ソースネクスト | −24.6% |
19 | 6063 | 日本エマージェンシーアシスタンス | −23.6% |
20 | 8150 | 三信電気 | −23.0% |
8月相場でプロが気になる銘柄
この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。
・海運
[売買代金ランキング]
- 1位:日本郵船<9101>……1.95兆円
- 6位:商船三井<9104>……1.04兆円
- 10位:川崎汽船<9107>……5590億円
[値上がりランキング]
- 1位:玉井商船<9127>……+169.7%
- 4位:乾汽船<9308>………+89.0%
- 21位:明治海運<9115>……+58.6%
何か月も追いかけている海運株ですが、なんと8月末にまた高値を更新してきたためピックアップ。7月末から急上昇をはじめ、8月中頃にはいったん終わったかと思いましたが、力強く切り返して高値更新となりました。
以前も紹介したバルチック海運指数も上昇を続けています。
コロナによる影響で経済が再度ストップするかもしれないという懸念はありますが、経済の大動脈である海運指数をみていると、今のところそんなことはなさそうです。
海運株の今後も楽しみですが、経済の先行きを占う指標としてもしっかりとチェックしておきたいですね。
・鉄鋼
[売買代金ランキング]
- 13位:日本製鉄<5401>……4641億円
- 15位:JFEホールディングス<5411>……4006億円
「鉄は国家なり!」──かつて、プロイセンの首相・ビスマルクはこう叫んだといいます。
海運もそうですが、やはり「鉄」は経済の根幹です。海運株の好調をみても鉄鋼業界の活況をみても、コロナ後に向けて、世界は動き出しているように感じます。
・半導体
[売買代金ランキング]
- 3位:レーザーテック<6920>………1.32兆円
- 7位:東京エレクトロン<8035>……7574億円
オールドエコノミーであり、経済の大動脈である「鉄」「海運」とくれば、やはり現代の経済の大きな流れをつくっている「半導体」。ここにも、やはり資金が入ってきました。
チャート的にも、いったん落ち着くと思いきや、なんとレーザーテックは月末に怒濤の上昇を続け、新高値を付けて8月を終えました。
「海運」「鉄」「半導体」。時価総額が大きく、相場を牽引しうるこの3業種をぜひ監視をしてみてください。
突然のハシゴ外しに要注意
海運株を何か月も追いかけていますが、この8月は邦船3社に加えて中堅どころにも資金が巡り、大きく上昇しました。
こんな感じでメインの銘柄以外に資金が入ることを「横に広がる」と表現しますが、こんなときは要注意です。横に広がり始めると、大きな上昇の波の終わりの始まりになることが多いのです。まだしばらくは続くかもしれませんが、注意しておくといいでしょう。
とはいえ、海運株ではど真ん中から広がって中堅にも資金が入ってきましたので、この流れ、もしかしたら「鉄」にも広がるかもしれません。今のうちに「鉄」の中堅どころを監視しておくと、ちょっとした上昇で利益を上げられる“かも”しれません。
そうなると、「あれ」と「あれ」かな? ……というような感じで、監視銘柄に「関連銘柄」を入れておくとよいと思います。
年末に向けていい形で8月を終えました。いきなりハシゴを外される展開にも気を付けつつも、乗るしかない! このビッグウェーブに! 9月も張り切っていきましょう!
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)