新首相誕生で株価はどうなる? いまこそプロが注目する銘柄とは
9月相場を振り返って
怒濤の9月相場が終わりました。
9月3日に菅義偉首相が辞任を発表してから大きく上昇するも、後半に失速。29日には次の内閣総理大臣となる岸田文雄・自民党新総裁が誕生しましたが、翌日も下落して、2日続けての陰線で月末を迎えました。
それでも日経平均株価は月間で約5%の上昇となり、大きな動きを見せました。調整を挟みつつも、今後に向けて大きな相場が始まる予感の残る9月だったと思います。
8月終値 | 9月終値 | 騰落率 | |
日経平均株価 | 28,089円 | 29,452円 | +4.85% |
TOPIX | 1,960ポイント | 2,030ポイント | +3.57% |
マザーズ指数 | 1,135ポイント | 1,127ポイント | −0.70% |
9月相場で上がった株・下がった株
そんな2021年9月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います。
・2021年9月の売買代金トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 売買代金 |
1 | 9984 | ソフトバンクグループ | 2.96兆円 |
2 | 6920 | レーザーテック | 2.34兆円 |
3 | 9101 | 日本郵船 | 2.18兆円 |
4 | 6861 | キーエンス | 1.26兆円 |
5 | 9104 | 商船三井 | 1.21兆円 |
6 | 7203 | トヨタ自動車 | 1.19兆円 |
7 | 9107 | 川崎汽船 | 1.17兆円 |
8 | 7974 | 任天堂 | 1.1兆円 |
9 | 8035 | 東京エレクトロン | 1.1兆円 |
10 | 9983 | ファーストリテイリング | 9674億円 |
11 | 6758 | ソニーグループ | 9632億円 |
12 | 8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 9124億円 |
13 | 6981 | 村田製作所 | 8314億円 |
14 | 9021 | 西日本旅客鉄道 | 6916億円 |
15 | 8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 6879億円 |
16 | 6098 | リクルートホールディングス | 5983億円 |
17 | 4063 | 信越化学工業 | 5782億円 |
18 | 6367 | ダイキン工業 | 5560億円 |
19 | 5411 | ジェイ エフ イー ホールディングス | 5271億円 |
20 | 5401 | 日本製鉄 | 4971億円 |
・2021年9月の値上がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値上がり率 |
1 | 1783 | アジアゲートホールディングス | +112.5% |
2 | 8103 | 明和産業 | +100.6% |
3 | 7021 | ニッチツ | +90.9% |
4 | 7050 | フロンティアインターナショナル | +90.0% |
5 | 3936 | グローバルウェイ | +84.2% |
6 | 3996 | サインポスト | +73.5% |
7 | 6898 | トミタ電機 | +72.5% |
8 | 4051 | GMOフィナンシャルゲート | +68.4% |
9 | 2983 | アールプランナー | +65.7% |
10 | 4169 | ENECHANGE | +65.4% |
11 | 7298 | 八千代工業 | +63.7% |
12 | 8260 | 井筒屋 | +62.3% |
13 | 2424 | ブラス | +53.2% |
14 | 7063 | Birdman | +51.8% |
15 | 6191 | エアトリ | +49.9% |
16 | 3346 | 21LADY | +49.3% |
17 | 9271 | 和心 | +47.5% |
18 | 6335 | 東京機械製作所 | +44.9% |
19 | 3458 | シーアールイー | +44.9% |
20 | 3843 | フリービット | +44.8% |
・2021年9月の値下がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値下がり率 |
1 | 3491 | GA technologies | −47.2% |
2 | 3133 | 海帆 | −40.0% |
3 | 9360 | 鈴与シンワート | −34.2% |
4 | 7034 | プロレド・パートナーズ | −33.7% |
5 | 6620 | 宮越ホールディングス | −31.7% |
6 | 3031 | ラクーンホールディングス | −30.5% |
7 | 9818 | 大丸エナウィン | −30.3% |
8 | 6173 | アクアライン | −29.3% |
9 | 6205 | OKK | −28.2% |
10 | 4584 | キッズウェル・バイオ | −27.9% |
11 | 2978 | ツクルバ | −27.8% |
12 | 3071 | ストリーム | −27.6% |
13 | 7697 | REXT | −27.5% |
14 | 9073 | 京極運輸商事 | −26.5% |
15 | 4446 | Link−U | −25.1% |
16 | 3320 | クロスプラス | −25.1% |
17 | 4177 | i−plug | −24.7% |
18 | 4427 | EduLab | −24.0% |
19 | 7379 | サーキュレーション | −22.0% |
20 | 7527 | システムソフト | −21.6% |
9月相場でプロが気になる銘柄
そんな9月相場で気になった銘柄をピックアップしてみます。
・半導体関連
【売買代金ランキング】
- 2位:レーザーテック<6920>……2.3兆円
- 9位:東京エレクトロン<8035>……1.1兆円
8月後半から大きく上昇した日経平均株価を牽引した半導体関連の大型銘柄ですが、9月末にかけて失速。9月に上昇した分はほとんど帳消しになってしまい、チャート的にも「終わった」形となりました。
とはいえ、ファンダメンタルズが強く、成長している業界ではあるため、将来的には株価水準は切り上がっていく可能性はあります。ただ、ここから高値を更新していくには、しばらくの間、調整が必要になってくると思います。それは1週間程度かもしれないし、3か月以上かかる可能性もあります。
いずれにせよ、それまでは半導体関連はいったん監視するに留めるのがいいと思います……と、普段はここで終わるのですが、今回の限っては続きがあります。次期首相の成長戦略がすでに発表されていまして、そこに半導体が入っているのです。
うーん。大きな資金が流れ込んでくれば、必要だった調整が短期間で終わる可能性も出てきます。しっかりと監視をしていきましょう。
・海運
【売買代金ランキング】
- 3位:日本郵船<9101>……2.18兆円
- 5位:商船三井<9107>……1.21兆円
- 7位:川崎汽船<9104>……1.17兆円
今月もピックアップの邦船3社。半導体関連銘柄とともにここ2か月の日経平均の上昇を牽引してきましたが、9月末にかけて大きく調整が入りました。
急ピッチで上昇してきたため、その反動と考えられますが、さてどうなることか。すぐに手掛ける感じにはならなそうですが、しっかりと監視を続けておきたいセクターです。
次なるチャンスを逃さないために
長らく追いかけてきた海運業界。コロナ後の安値から10倍の上昇となる銘柄もありましたが(日本郵船<9101>:2020年3月1,091円→2021年9月11,300円)、いったんお休みに入るかもしれません。
これはぜひ覚えておきたいチャートですので、しっかりと今後の動きを監視して、将来の利益につなげてほしいと思います。
新首相のもとでお金はどこに向かうか
さて、新しく岸田首相が誕生する運びとなりました(首相選出は10月4日)。ここからどんな政策が出てくるのか期待したいところですが、金融所得課税の引き上げも検討されているようで、期待半分・不安半分といったところでしょうか。
現時点で発表されている政策としては、次のようなものがあります。
- 原発再稼働を含む「クリーン・エネルギー」
- 科学技術の成長「半導体やAI」
- デジタル田園都市国家構想「5G、自動運転、テレワーク」
- 人生100年時代「医療、人材」
- 新型コロナ対策「健康危機管理庁の設置」
4つの成長戦略+コロナ対策となっていますが、ここから、アベノミクスのように成長戦略を後押しする政策が大々的に発表されてくれば、「国策に売りなし」の相場格言のように、大きく資金が流れ込む業種・業界が生まれる可能性が大きいです。
そういった動きを見逃さないように、ここから年末まで全く気が抜けません。しっかりとマーケットを監視して、チャンスを逃さないようにしてきましょう。
乗るしかない! このビッグウェーブに!!
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)