グロース株が大きく下落 逆風の吹く相場でプロが楽しみにする銘柄とは
《日々相場と向き合うプロトレーダーは今どんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから1月相場を振り返ります》
1月相場を振り返って
年初の2日間は「いいスタートを切ったかな」と思えるような上昇でしたが、その後は失速し、大きく下落。特に、これまでの相場を牽引してきた半導体関連銘柄の下落や、マザーズを中心としたグロース株の下落が目立ちました。
アメリカのテーパリング(金融緩和政策による資産買い入れを徐々に減らしていくこと)や利上げの見通し、オミクロン株の流行による経済活動の低下懸念、岸田首相の「新しい資本主義」という増税懸念……といった逆風が下落の背景にありました。
1月の動きを見る限り、2022年は多難な年になりそうだなと感じています。
12月終値 | 1月終値 | 騰落率 | |
日経平均株価 | 28,791円 | 27,002円 | −6.21% |
TOPIX | 1,992ポイント | 1,896ポイント | −4.82% |
マザーズ指数 | 987ポイント | 758ポイント | −23.3% |
【おすすめ】なぜ明日上がる銘柄がわかるのか 元手30万円を数億円の利益に変えたプロの銘柄選び
1月相場で上がった株・下がった株
そんな2022年1月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います。
・2022年1月の売買代金トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 売買代金 |
1 | 6920 | レーザーテック | 3.17兆円 |
2 | 9984 | ソフトバンクグループ | 1.84兆円 |
3 | 6758 | ソニーグループ | 1.62兆円 |
4 | 7203 | トヨタ自動車 | 1.54兆円 |
5 | 8035 | 東京エレクトロン | 1.40兆円 |
6 | 9101 | 日本郵船 | 1.37兆円 |
7 | 9107 | 川崎汽船 | 1.14兆円 |
8 | 9104 | 商船三井 | 9809億円 |
9 | 8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 9605億円 |
10 | 9983 | ファーストリテイリング | 8682億円 |
11 | 6861 | キーエンス | 8418億円 |
12 | 7974 | 任天堂 | 7385億円 |
13 | 6098 | リクルートホールディングス | 6584億円 |
14 | 8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 6482億円 |
15 | 6594 | 日本電産 | 5373億円 |
16 | 6501 | 日立製作所 | 4500億円 |
17 | 6981 | 村田製作所 | 4352億円 |
18 | 6857 | アドバンテスト | 4095億円 |
19 | 5401 | 日本製鉄 | 4062億円 |
20 | 4063 | 信越化学工業 | 4033億円 |
・2022年1月の値上がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値上がり率 |
1 | 4575 | キャンバス | +55.5% |
2 | 3482 | ロードスターキャピタル | +43.0% |
3 | 4018 | Geolocation Technology | +39.6% |
4 | 7365 | シック・ホールディングス | +39.4% |
5 | 7697 | REXT | +38.3% |
6 | 1711 | SDSホールディングス | +36.7% |
7 | 7247 | ミクニ | +34.5% |
8 | 3260 | エスポア | +33.7% |
9 | 4174 | アピリッツ | +29.4% |
10 | 1783 | アジアゲートホールディングス | +26.3% |
11 | 7370 | Enjin | +24.1% |
12 | 6334 | 明治機械 | +23.3% |
13 | 7352 | Branding Engineer | +23.0% |
14 | 3501 | 住江織物 | +22.7% |
15 | 6085 | アーキテクツ・スタジオ・ジャパン | +22.0% |
16 | 2195 | アミタホールディングス | +22.0% |
17 | 6391 | 加地テック | +21.3% |
18 | 5713 | 住友金属鉱山 | +20.6% |
19 | 7707 | プレシジョン・システム・サイエンス | +20.6% |
20 | 4310 | ドリームインキュベータ | +20.5% |
・2022年1月の値下がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値下がり率 |
1 | 6541 | グレイステクノロジー | −96.2% |
2 | 3267 | フィル・カンパニー | −56.0% |
3 | 4591 | リボミック | −50.8% |
4 | 4443 | Sansan | −50.2% |
5 | 4375 | セーフィー | −49.6% |
6 | 2978 | ツクルバ | −49.6% |
7 | 4261 | アジアクエスト | −49.5% |
8 | 9270 | バリュエンスホールディングス | −49.4% |
9 | 4479 | マクアケ | −48.8% |
10 | 4264 | セキュア | −48.7% |
11 | 4051 | GMOフィナンシャルゲート | −47.0% |
12 | 4485 | JTOWER | −46.1% |
13 | 3856 | Abalance | −45.8% |
14 | 9211 | エフ・コード | −45.7% |
15 | 4432 | ウイングアーク1st | −44.4% |
16 | 9258 | CS−C | −44.2% |
17 | 4374 | ROBOT PAYMENT | −44.1% |
18 | 9245 | リベロ | −43.9% |
19 | 9250 | GRCS | −43.8% |
20 | 4168 | ヤプリ | −43.3% |
1月相場でプロが気になった銘柄
この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。
・売買代金ランキング
- 1位:レーザーテック<6920>………3.17兆円
- 5位:東京エレクトロン<8035>……1.4兆円
売買代金が大きく上昇力も強かった半導体関連銘柄の代表格2社ですが、レーザーテックが−29%、東エレクトロンが−17%と、今月は大きく値下がりしてしまいました。
成長が期待されて買われる銘柄を「グロース株」といいますが、時価総額も売買代金も大きいのにグロース株であるこの2社の存在は、いまの日本マーケットにとっては中心的な存在でした。それゆえ、この2社の下落によって全体が下落傾向となってしまいました。
とはいえ、どちらも業績はとてもいいので、今後もまだまだチャンスはあると思います。今回の下落で監視をやめてしまうのではなく、今後も監視を続けていきたい銘柄です。
- 6位:日本郵船<9101>……1.37兆円
- 7位:川崎汽船<9107>……1.14兆円
- 8位:商船三井<9104>……9,800億円
他の銘柄に比べて比較的堅調だったのが、海運株の代表である邦船3社です。月末31日に4度目の上方修正と増配を発表したことで買われた銘柄もあり、まだまだ強い業界です。
2021年9月につけた高値を超えてくれば一段高もあり得るため、しっかりと監視したいと思います。
- 3位:ソニーグループ<6758>……1.6兆円
年初に電気自動車の開発を発表して大きく買われたのですが、1月18日にアメリカのマイクロソフト<MSFT>が687億ドル(約8兆円)でアメリカのゲームソフト会社の買収を発表し、ソニーのゲーム事業にとってはネガティブということで翌19日に大きく売られてしまいました。
個人的にゲームは大好きなので、マイクロソフトでもソニーでもたくさん競争してもらって、どんどんいいゲームやメタバース的な文脈でのサービス開発も期待したいところです。
チャートは大きく崩れてしまったのでしばらくは上昇に転じにくいかと思いますが、時間をかけて上昇していくチャンスはまだまだあると思うので、電気自動車も含めて今後も期待したいところです。
- 12位:任天堂<7974>……7,400億円
1月に堅調だったのが任天堂です。多くの銘柄が下落する中、上昇して終わりました。業績がいいのはもちろんのこと、オミクロン株が猛威を振るったことで巣ごもり消費の代表のような形で注目される場面もあり、2月以降も楽しみな銘柄かなと思います。
・値下がり率ランキング
- 1位:グレイステクノロジー<6541>……−96.2%
粉飾決算により上場廃止が決まりました。こういうのは手出し無用です。株価が10円なら1円抜ければ10%だ!と思うかもしれませんが、買えたとしても売りたい値段では売れません。絶対に手を出すなよ!!
- 4位:Sansan<4443>……−50.2%
マザーズ指数がひと月で23.3%も下落。グロース株が総じて弱かった1月ですが、その中でも下落が目立ったのが同社です。
このコラムで何度も話をしていますが、「いい会社だから」株を買えば儲かるわけではありません。高すぎる期待はいつか剥がれ落ちて、こういう下落をすることがあります。
しっかりとチャートを見て、買いと売りのタイミングを決めて、「利益確定」や「損切り」を先延ばしせず、売買を繰り返すことで利益を重ねていってほしいと思います。
この先いちばんの懸念は…
厳しい1月となってしまいました。いちばん大きな問題は、首相の唱える「新しい資本主義」なのかなと感じます。要するに「増税」ですね。まだ何も決まっていませんが、マーケットフレンドリーではないことがみんなわかってしまったので、この先も期待しにくいなぁというのが、この1月の感想です。
とはいえ、2022年はまだ始まったばかりなので、しっかりと値動きを追って、着実に利益を重ねえていきたいですねえ。
2月もよろしくお願いします。
福は~~うち!
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)