来たぞ鉄鋼・海運・銀行! 年後半への期待が膨らむ相場でプロが強力プッシュする銘柄とは

窪田 剛
2023年8月1日 10時00分

phonlamaiphoto / Adobe Stock

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

7月相場を振り返って

ソシオネクスト<6526>の大株主が全株売り出し!

という衝撃的なニュースで幕を開けた7月相場ですが、いろんなことがありました。

株式に関わる多くの人が大好きなツイッターがサービス名を「」変更したり、非上場ですが中古車業界1位のビッグモーターの不正と、知っていたのに虚偽報告をしたとして調べられているSOMPOホールディングス(損保ジャパン<8630>)の問題が報道されたり。

大きなニュースがてんこ盛りな1か月となりましたが、個人的には、鉄鋼、海運、銀行などの重厚長大産業の株価が大きく上昇してきたのが、いちばん大事なポイントだと思っています。

7月相場で上がった株・下がった株

そんな2023年7月の株式相場を売買代金値上がり率値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄)。

・2023年7月の売買代金トップ20

・2023年7月の値上がり率トップ20

・2023年7月の値下がり率トップ20

7月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

今月も元気な半導体

売買代金ランキング

【第1位】レーザーテック<6920> 4.38兆円(6月は5.08兆円)
【第2位】アドバンテスト<6857> 2.51兆円(2.47兆円)
【第4位】ソシオネクスト<6526> 1.72兆円(2.8兆円)
【第6位】東京エレクトロン<8035> 1.45兆円(1.9兆円)
【第12位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 8439億円(9914億円)
【第15位】ディスコ<6146> 6471億円(5556億円)
【第17位】信越化学工業<4063> 5670億円(7195億円)

大株主による売り出しの発表があったソシオネクストは、需給悪化懸念もあり大きく下落しましたが、一度下落した後は堅調に推移しています。

一部の銘柄は高値更新をしましたし、それ以外の銘柄も比較的堅調に推移しています。「あれ? これは年後半に向けて準備万端なんじゃないか?」と見受けられるチャートが多々あります。

冒頭でも書いたとおり、鉄鋼・海運・銀行といった経済の基礎を為す重厚長大産業が着々と上昇してきているタイミングで、半導体関連銘柄のこうした動きは、今後の牽引役として、とても心強く感じています。

もちろん、どうなるかはわからないけれど、注目であることには変わりありません。

強力プッシュ!

売買代金ランキング

【第3位】ソフトバンクグループ<9984> 1.78兆円(6月は3.04兆円)

半導体(傘下の英ARM)なのか、AIなのか、はたまた、その両方なのか。投資会社に変貌してから業績悪化に苦しんでいた同社ですが、しっかりと上昇しています。というか、めちゃくちゃ上昇してきています。あまりニュースになっていませんが、絶対に見ておくべき銘柄です。強力ピックアップ。

気合い入ってます

売買代金ランキング

【第5位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 1.66兆円
【第9位】三井住友フィナンシャルグループ<8316> 1.09兆円
【第11位】川崎汽船<9107> 9100憶円
【第18位】みずほフィナンシャルグループ<8411> 5570億円
【第21位】日本製鉄<5401> 5125億円

そのほか20位からは外れますが、商船三井<9104>、日本郵船<9101>、JFEホールディングス<5411>、神戸製鋼<5406>なども含め、銀行・海運・鉄鋼各社の値動き、気合い入ってます。上昇に底力を感じます。年後半に期待が持てます。

メガバンク3行、邦船3社、鉄鋼3社、常に監視しておくといいと思います。

ちなみに、トヨタ自動車<7203>や日産自動車<7201>、ホンダ<7267>も強く推移しています。産業の裾野が大きい自動車各社が強いことも、今後の期待ポイントです。

プロトレーダーが大型株を選ぶ理由

6月コラムの最後で、私、叫びましたよね。

「鉄は国家なり!!!」

そして7月、鉄鋼が大きく上昇しました(ドヤッ!)。銀行も海運も、もちろん半導体もですが、時価総額が大きな銘柄が上昇すると、相場全体に力強さを感じます。

IPO株やグロース株の上昇はSNSでは目立ちやすいですが、そうはいっても小粒のものが多く、私はほとんどウォッチしていません。トレーダーとしては珍しいタイプかも。

ただ、考えようによっては「狭い場所にツワモノがひしめいている戦場よりも、広い場所でいろんな人が自分のスペースで好きなスタイルで戦っている戦場」のほうが勝ちやすい、と思うんですよね。資金もたくさん入れられるし。

大型株は、一度流れができると、ゆっくりだけれど力強く背中を押し続けてくれる、そんな感じも受けています。

年後半に向けた注意

最後にちょっとだけ注意。年後半に関しては強気でいますが、上昇しなくても気にしません。値動きに合わせてトレードするだけです。

矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。基本は強気。でも、上がらなくても柔軟に対応する。そして、その準備をしておく。これが、相場で生き残るコツかなと思います。

それでは……

「年末日経平均4万円あるぞ!!! 強気で行くぞ!!」

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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