明るい兆しの日本株 いまプロが見ている注目銘柄と、気になる半導体の行方

窪田 剛
2024年6月30日 13時00分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

2024年6月相場を振り返って

一年の折り返し。後半に向けていい兆候か?
グロース、コツン?

そんな、いい感じの終わり方をした6月相場でした。

全体(日経平均株価)は4月から調整が始まりましたが、5月につけた高値を超えて、安値も切りあがってきました。節目の39,000円も超えてきており、7月は40,000円を超えられるか──。

仮に超えたとして、それを維持できるかどうかというところがポイントになってくると思います。ひょっとすると、3月につけた最高値41,087円も超えてくるかもしれない。

さらに、これまで下落が続いていたグロース市場が大きく反発しました。グロースが底入れすれば、痛手を負っている個人投資家の資金も入りやすくなってきます。

大型も、小型も、プライムも、グロースも。
大きな上昇を期待しながら7月に備えていきましょう。

6月相場で上がった株・下がった株

そんな2024年6月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズオンラインスクール

・2024年6月の売買代金トップ20

・2024年6月の値上がり率トップ20

・2024年6月の値下がり率トップ20

6月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

ここが判断の分かれ目

売買代金ランキング

【第1位】レーザーテック<6920>    4.59兆円
【第2位】ディスコ<6146>       3.28兆円
【第3位】ソフトバンクグループ<9984> 1.99兆円
【第6位】東京エレクトロン<8035>   1.70兆円
【第7位】アドバンテスト<6857>    1.16兆円
【第10位】ソシオネクスト<6526>    1.11兆円

売買代金の上位20社中、半導体関連は6銘柄となりました。先月(2024年5月)は9銘柄だったため、半導体関連銘柄の売買は落ち着いてきた、と見ることができます。

ただ、アメリカのSOX指数やエヌビディア<NVDA>の株価は、この6月も高値を更新しています。また、日本の半導体関連銘柄でも、いくつかの銘柄は高値を更新しています。

ここが判断の分かれ目です。

半導体関連は……

  • 高値を更新している。なので、もちろん強い
  • でも、セクター全体としての注目度は落ち着いてきている
  • 全体的に強いというよりも、選別されるようになっている

さらに……

  • 銀行を筆頭に、別のセクターにも資金が入ってきている

これらを踏まえて考えていくと、いままで半導体一強の状況が続いていて、もちろん今後もそれが続く可能性はあるものの、他のいろいろなセクターにも資金が入ってきている。全体が底上げされて、半導体もしくはそれに代わる相場牽引銘柄が出てくるのか──。

そんな分かれ目の訪れを感じた6月でした。

今後もチャンスがありそう

売買代金ランキング

【第4位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 1.95兆円
【第8位】三井住友フィナンシャルグループ<8316>   1.16兆円
【第17位】みずほフィナンシャルグループ<8411>    6722億円

5月に引き続き注目されているメガバンク。一時調整していましたが、後半にかけて大きく上昇し、高値を更新しました。

先月のコラムで「ひょっとしたら銀行株は、この後の『最重要監視銘柄』になるかもしれません。要チェックです」と書きましたが、今後も引き続き見ておくとチャンスがありそうです。

大きな波は終わったけれど

値下がり率ランキング

【第5位】北海道電力<9509> -27.6%(1650円→1194円)

5月にピックアップした電力株の中でも大きな上昇を見せていた北海道電力が、今月は大きく値下がりしました。ひとつの大きな波は終わった感じがあります。

ただ、原発の再稼働、AIなどコンピューター計算力のための電力需要の増大といった背景もあるため、電力株は定期的に見ておくといいかなと思っています。

相場を動かすもの

値下がり率ランキング

【第11位】KADOKAWA<9468> -20.4%(3244円→2580円)

「ニコニコ動画」を運営する子会社のドワンゴがサイバー攻撃を受けたことをきっかけに、いまだにシステム復旧できていません。ロシアのハッカー集団が声明を出したとのニュースもあり、依然として予断を許さない状況が続いています。

トレーダーとして、ここから何を考えるか。

まず、現在、三菱重工業<7011>、IHI<7013>、川崎重工業<7012>などが大きく上昇しています。いわゆる「軍事関連」です。

ハッカーとの関係があるかどうかはわかりませんが、身近なサービスを運営している企業がいまだにサービスを再開できていないという事実を重く受け止めるとともに、今後考えられるのは、軍事防衛、セキュリティー、サーバー、防衛、エネルギー……あたりへの投資が増えるだろう、ということです。

他にもたくさんあるでしょうけれど、隣の大国ロシアの長く続く戦争は、今後もマーケットを動かすなと感じています。

チャンスの入り口となるか

調整が続いていた日経平均株価ですが、明るい兆しが出てきた6月となりました。特に後半の上昇には勢いがあり、これが続けば、今年後半に向けて大きなうねりの始まりとなるでしょう。

みなさん、今が大きなチャンスの入り口かもしれません。……違うかもしれないけれど。

年末にどうなるかはもちろん誰にもわかりません。それでも7月の1週目は、年末に向けて勢いのある上昇が続くのか、それとも調整が続いてしまうのかを分ける、大事な1週間となりそうです。

一年の折り返し。後半に向けていいスタートを切るために、準備はできているでしょうか? いつも言っている気もしますが、7月相場からは大きなチャンスが始まりそうです。

行くぞ、夏相場!(枯れないで!)
しっかり準備して、後半戦も大きく稼ぎましょう!

(本記事は「株の学校トピックス」からの転載記事です)

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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