天国から地獄へ。金利が生まれた相場でプロが注目する銘柄とは

窪田 剛
2024年8月1日 8時30分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

2024年7月相場を振り返って

日経平均株価は、7月前半に一気に駆けあがり、42,426円の史上最高値を更新。そうかと思えば後半は、上昇した分を全部打ち消して大きく下落し、37,611円まで下げました。

天国から地獄へ──そんな1か月となってしまいました。

そして迎えた最終日31日、日銀がついに利上げを決定しました。リーマンショック直後には0.3%でしたが、約16年ぶりに、その水準の金利がある世界になります。

金利が上がると株価には悪影響ではありますが、果たしてどうなるか。混乱しそうな8月に備えて、しっかりと振り返っておきましょう。

7月相場で上がった株・下がった株

そんな2024年7月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズオンラインスクール)

・2024年7月の売買代金トップ20

・2024年7月の値上がり率トップ20

・2024年7月の値下がり率トップ20

7月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

いよいよ主役の交代か

売買代金ランキング

【第1位】ディスコ<6146>         4.69兆円
【第2位】レーザーテック<6920>      3.39兆円
【第4位】東京エレクトロン<8035>     3.04兆円
【第6位】ソフトバンクグループ<9984>   2.22兆円
【第8位】アドバンテスト<6857>      1.40兆円
【第14位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 9751億円
【第18位】ソシオネクスト<6526>      8736億円
【第20位】信越化学工業<4063>       7905億円

上位20銘柄中、半導体関連銘柄は8銘柄となりました。

信越化学工業以外はチャートが大きく崩れてしまい、8月は、自律反発で上昇する場面はあっても、本格的な上昇にはならなそうです。本格的な上昇があるとしたら、数か月は先になりそう。

今まで何度も相場を牽引してきましたが、しばらくは半導体関連以外が相場の主役になりそうです。

……とはいえ、このコラムでは今後も半導体関連は追いかけていこうと思っています。

金利ができたということは…

売買代金ランキング

【第5位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 2.23兆円
【第11位】三井住友フィナンシャルグループ<8316>   1.35兆円
【第21位】みずほフィナンシャルグループ<8411>    7852億円

ついに金利が生まれました。もう何年もなかったのに、急に0.25%と、正常な世界に向けて動き出した感じがします。

その結果、株価にはネガティブ(企業業績にネガティブ)な面もありますが、経済が今後拡大していくために必要な痛みでもあります。

そして、銀行にとっては収益拡大の機会にもなります。引き続き、銀行株は要注目です。

過去の栄光は忘れましょう

値下がり率ランキング

【第10位】QPS研究所<5595>     −36.2%(2,572円→1,640円)
【第13位】伊勢化学工業<4107>     −30.0%(29,660円→20,750円)
【第17位】さくらインターネット<3778> −28.9%(4,345円→3,085円)

過去半年以内に大きく上昇した銘柄が崩れてきて、下げ止まったかと思いきや、さらに下落している……というパターンの3銘柄です。

実は、こういった値動きというのはよくあります。注目されて大きく上昇していたときの値動きを忘れられず、「また注目されるのでは?」とか「高値から大きく下落したから、そろそろ下げ止まるだろう」と考えて買ったはいいものの、じりじりと下落して損失を拡大してしまう。

さらにナンピン買いまでして、傷口を広げる。そんなことが起こりやすいのが、こういった銘柄です。

過去の栄光(高値)なんて忘れて、純粋に今のチャートだけで銘柄を選ぶ癖をつけましょう。

新たなゲームの始まり(夏バテに気を付けて)

前半天国、後半地獄、最後の最後に利上げ──というイベント続きの1か月でした。

そして、ほとんどの人が利上げ局面の相場を経験したことがないと思います。上値ってこんなに重いのか……ということが起こってくるかもしれませんし、インフレや賃上げがうまくいきそうになれば、一気に株価が上昇することも考えられます。

「金利上昇局面」という新しいゲームが始まる。

注意深さが要求される夏相場後半。夏バテに気を付けて、集中力を高めて、相場と向き合っていきましょう。そして年末は、日経平均5万円だ!

(本記事は「株の学校トピックス」からの転載です)

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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