そもそも「株式投資」とはなんなのか。その仕組みと儲けられる理由をおさらい

井本ちひろ
2022年8月2日 17時30分

JenkoAtaman/Adobe Stock

「株式投資」とは

「お金を増やしたいなら、株式投資をしたほうがいいらしい」
「株式投資をやって、株主優待がほしい」

株式投資には興味があるものの、そもそも「株式投資」とは何なのか、どうすれば利益を出せるのか、いまいちわかっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。できるだけ損をしないためには、その仕組みを理解することが重要です。

「株式投資」とは読んで字の如く、「株式に投資する」行為です。では、その「株式」とは何かといえば、株式会社が事業に必要な資金を調達するために発行する証書のことを指します。

株式会社は資金が必要になったとき、銀行から融資を受けたり資産を売却したり、さまざまな方法で資金を調達します。

そのなかのひとつが「募集株式の発行」です。

株式の発行による資金調達は「負債ではなく増資」なので返済期限がなく、担保や保証人も必要ありません。「株式」は企業にとってメリットが多い資金調達方法なのです。

株式会社が発行した株式を買って資金提供をした人を「株主」と呼びます。株主は、株式を購入したことで「売買益」や「配当益」などの利益を手にする機会を得ます。これが「株式投資」です。

「株式投資をしておけばなんだかお金が増えそう」「お金を増やしたい」という気持ちから始める方が多いのですが、株式投資は本質的には、企業に資金を提供する行為です。そのため、投資した企業の業績や市場動向によって利益が出ることもあれば損失が出ることもあるという点は覚えておきましょう。

「株式投資」で得られる3つの利益

株式を発行すれば、利息なしで資金調達をできるのが企業側のメリットであり、投資家には利益を得られる可能性があるというメリットがあります。

株主が得られる利益には次の3つがあります。

  • 売買益(キャピタルゲイン)
  • 配当益(インカムゲイン)
  • 株主優待

・売買益(キャピタルゲイン)

売買益は「キャピタルゲイン」とも呼ばれ、保有している株を売却して得られる利益のことをいいます。売買益は配当益と比べて、大きな利益を得やすいのがメリットです。

ただし、この売買益を狙うためには、購入時よりも高い株価で売却することが前提です。例えば、10,000円で購入した株を13,000円まで株価が上昇したときに売却すれば、3,000円の差額が利益になります。

売却によって得られた3,000円の利益が、株式投資の売買益(キャピタルゲイン)です。反対に、株価の値下がりによって出た損失は、キャピタルロスと呼ばれます。

・配当益(インカムゲイン)

配当益は、株式会社が株主に対して、事業で得られた利益の一部を還元する「配当」によって得られる利益です。配当による利益は「インカムゲイン」と呼びます。

配当の金額は「1株あたりの配当金額×保有数」で決まるので、株を多くもっているほど配当をたくさんもらえます。1株あたりの配当金は少額ですが、なかには年間で数百万円もの配当を得ている投資家もいるので、あなどれません。

ただし、配当は企業の業績によってその有無が決まり、金額も増減します。企業の好不調によって増額されたり支払われなかったりするので、必ずもらえるわけではありません。

・株主優待

株主優待とは、企業が株主に贈るプレゼントのことです。配当と同様に、必ずもらえるわけではありませんが、多くの企業が株主優待を用意しています。自社商品やサービスを利用できるチケットなどが企業から配られるので、株主優待を目的に投資を始める方も増えてきました。

ただし、株主優待を受けるためには一定の株式を保有している必要があり、企業によって条件もさまざまなので、株主優待を狙っている方は優待条件を必ず確認しておきましょう。

株価が上がる理由

株式投資の仕組みをおさらいしたところで、株価が変動する要因について考えてみましょう。そもそも、なぜ株価は上がったり下がったりするのでしょうか?

株価は「需要と供給のバランス」で決まります。つまり、株を買いたい人が多いと株価が上がり、売りたい人が多いと株価は下がってしまうのです。

買いたいと思う人が増えたり、売りたいと思う人が増えたりする理由はさまざまですが、とくに企業の業績や社会・経済の状況が大きく関係しています。

・企業の業績

株価が変動する大きな要因のひとつが、企業の業績です。

企業の売上や利益などが好調なときには、企業が株主に還元する配当もよくなると期待され、株を買いたいと考える人が増えて株価も上昇します。

しかし、企業の業績が悪くなったりスキャンダルが起きたりすると、株価を買いたいと思う人が少なくなります。それどころか、保有している株を売りたいと考える人が増え、需要が少なくなることで株価が下がってしまうのです。

最近では、韓国の人気グループ「BTS」がグループ活動休止を発表したことを受け、所属事務所である「HYBE」の株価は前日から24.87%も暴落し、話題になりました。

・社会や経済の状況

株価を動かすのは企業の業績だけではありません。金利や外国為替の動向、国内外の景気、政治、国際情勢、さらには天候も株価が変動する大きな要因となることがあります。

国内の景気が良ければ、企業の業績も良くなると期待して株の買い手が増えます。また、金利が下がると、銀行から融資を受けて事業を進展させる企業が増えるので、企業への期待度が高まり株価も上がる傾向に。

反対に、景気が悪くなったり、金利が上がって融資を受けづらくなったりすると、株価は下落します。

「株」を理解して投資にチャレンジ

100%勝てる方法がない株式投資ですが、きちんと学んで知識を深めていけば、損失を減らすことはできます。利益と損失が出る理由や株価が変動する要因を知っておくことは、その第一歩と言えます。

ぜひとも仕組みを理解したうえで、株式投資という魅惑の世界にチャレンジしてみてください。

[執筆者]井本ちひろ
井本ちひろ
[いもと・ちひろ]ライター。大学時代に得た経験とファイナンシャルプランナーの資格を活かし、お金に関する記事を中心に執筆。子育て中の母でもあり、主婦目線での資産運用に関心あり。夫ともに日々実践中。
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