先導株を追え! どれよりも早く上昇し、大きく伸びる株の秘密
日経平均株価をはるかに超えるパフォーマンスを達成したい──投資家なら誰もが思うはず。そんなあなたに、巨万の富を築いた著名投資家たちはこうアドバイスするでしょう。
「だったら〝先導株〟に投資しよう!」
ピンチをチャンスに変える、そんな魅力を秘めた「先導株」で勝つ秘訣をお伝えします。
先導株とは?
先導株とは、相場全体を引っ張っていくリーダー的存在の銘柄のこと。特定の市場やセクターに関して先駆けて動き、その継続的な強い株価上昇は周辺銘柄を巻き込んで一種のブームを引き起こし、市場全体をも牽引していきます。
現在の相場で先導株の代表格といえば、世界の株式市場をリードする米エヌビディア<NVDA>。生成AI(人工知能)ブームの象徴的な銘柄で、2022年11月のチャットGPT公開以降、株価は7倍となりました。
エヌビディアの快進撃は、他のAI関連の銘柄や日本株市場にも大きな影響を与えました。
日本でもAI関連銘柄の先導株として、ディスコ<6146>やアドバンテスト<6857>、さくらインターネット<3778>などがブームを作り、日経平均株価をはるかに上回るパフォーマンスとなったのは記憶に新しいところです。
なぜ先導株に投資するのか?
「株価の動きは9割がランダム」といわれていますが、上昇・下落ともに一度トレンドが出ると、明らかに連続的な動きが見られます。したがって、そのときを狙って投資すれば、効率的に大きなリターンを得られる可能性があります。
強気相場で最も大きな利益を手にできるのは、上昇トレンドが出た相場の早い段階です。その相場を主導している先導株に初期段階に投資すれば、圧倒的なパフォーマンスを得ることができるというわけです。
先導株の特徴
相場をリードする銘柄とは「投資家の注目を一身に集める」「機関投資家が買いたがる」「巨額のマネーが流入する」銘柄であり、このため先導株は、業界のリーダー銘柄であることが多いです。
たとえば、アメリカではアップル<AAPL>やマイクロソフト<MSFT>、エヌビディア、日本ではトヨタ自動車<7203>やソニーグループ<6758>、ソフトバンクグループ<9984>、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>など。
いずれも人気も高く、好業績で、出来高ランキングの上位に入る銘柄の名前が上がります。
ただ、先導株はそのときの相場のテーマの旗振り役でもあるので、相場ごとにその顔ぶれは入れ替わります。今の強気相場の先導株であっても、次回の強気相場の先導株である可能性は低いことが多いのです。
先導株の特徴的な動きを知り、「これが今の相場の先導株」と見定めることが重要です。
ディスコの場合
ディスコ<6146>は半導体の「後工程」に強い製造装置を手がける会社。「切る・削る・磨く」をコア技術としてもち、この分野では世界トップ企業です。
生成AIの拡大によって特需が見込めるとの期待から、米エヌビディアの株価上昇に連動するように、2023年から2024年にかけて大きく上昇しました。
ディスコが先導株としての特徴的な動きを見せたのは2023年10月からです。
アメリカのインフレの高止まりと金融引き締め長期化への警戒感から長期金利が上昇し、そこに中国の不動産大手のデフォルトも加わって、株価は日米ともに大きく下落。相場全体が弱気に支配されていました。
そんな中、エヌビディアは早々に株価上昇を見せ、それに連動するように、ディスコも底入れの動きを見せます。10月5日には7〜9月出荷額の速報値が発表され、堅調に増加していることに買い安心感が広がって、連日の高値更新となりました。
11日には、それまで未到だった3万円台到達も通過点となり、上値追いが加速していきました。わずか5か月の間に、株価は約90%の上昇を見せたのです。その間、日経平均株価の上昇は24%でした。
さらに、日経平均株価の構成銘柄に採用されたこともあって、そこから20%も上昇。これぞ「先導株」という動きを見せたのでした。
先導株はいつ買う? どう買う?
このように先導株は、いったん上昇を始めると力強い上昇を見せます。
多くの投資家は「押し目に買おう」とチャンスを待ちますが、圧倒的な買いの前ではそんな機会はほぼ訪れず、投資家の思いをよそに株価はグングン上がっていきます。
では、先導株はいつ買えばいいのでしょうか?
それは、相場の暴落時や長期低迷相場の最終局面です。暴落や弱気相場が連日報道される中、他の銘柄に先駆けて反発してきた銘柄を、「次の先導株」として、投資家の注目を集める前に買いにいくのです。
まず、相場の底から最も強く上昇する銘柄は、次の上昇相場の先導株になる可能性が高いです。ディスコも、相場全体が疑心暗鬼に包まれる中で早々に反発を見せました。
また、次の先導株となる銘柄は、弱気相場では最後の最後まで抵抗します。弱気相場に耐えられるということは、その会社の業績が高収益サイクルへと変化している証拠でもあります。ただし、市場の下降への圧力が強いと株価の上昇も弱められてしまいます。
それでも先導株は、他の銘柄よりはずっと回復力が強いので、株価指数に先駆けて上昇してきたところをキャッチするのです。そして、相場全体が弱気相場から強気相場に変わった頃には高値更新を目指すことでしょう。
次の先導株を逃さず買うには、市場全体がネガティブに覆われている間に、高成長産業で高い収益成長力が期待できるもの、革新的な商品を持つものや、国策や規制緩和などテーマ性のあるもの、EPSが高成長なもの……などをピックアップしておきます。
そして、それらの値動きを常に監視するのです。この手順を踏むことで、チャンスを逃すことなくキャッチすることができるでしょう。
先導株のデメリット
先導株は上昇相場を先導する一方で、下落相場では真っ先に下落します。
先導株が長い上昇を続けたのち、上昇相場が終わらせるような何らかのイベントや材料が発生し、上昇の勢いが減速し始めると、トレンドが転換して大きく下落を始めます。
こうなると、上昇幅分のほとんど失う可能性が高いです。チャートでいうと、上昇の起点に戻る「お里帰り」になるケースも多く見られます。
先導株は次の新しい相場の先導株になる可能性は低く、「そのうち戻るだろう」としがみついていると大悲劇です。ディスコも、6月のエヌビディアの急落から失速を始め、7月の植田ショックによる急落から立ち戻れず、そのまま大幅な調整となってしまいました。
このように、先導株投資はタイミングを間違うとリスクが高い手法でもあるということは、肝に銘じておきたいものです。
先導株は強気相場の終わりを警告
相場サイクルの理論では、強気相場では、先導株→先導株のセクター→日経平均株価などの株価指数→出遅れ株……というようにして順に、上昇から下落へとサイクルしていきます。
そのため、先導株が天井をつけて崩れ始めても、株価指数はさらに上昇を見せることもあります。これは、先導株で儲けた資金が今度は出遅れ株へと向かうためです。ただ、その先には相場の崩落・終焉が待っていることを忘れてはいけません。
このように先導株は、相場全体のピークアウトを警告するシグナルにもなります。このシグナルが点灯したら、弱気相場入りを嘆く前にさっさと頭を切り替えて、また次の新しい先導株を探す準備にかかりましょう。
先導株投資はまさに「ピンチをチャンス」に変える投資法。相場の底で粛々と準備することで、将来の成功の鍵となるでしょう。