1月の株価はどうなる? “1月効果”のアノマリーで上がる株と注目の決算発表を要チェック
《1月といえばお正月に成人式。株式市場にも、そんな「風物詩」があります。お決まりのパターンや上がりやすい株など、その月ならではの「あるある」を知っておけば、ムダな損失を避け、大きなチャンスをつかめるかもしれません》
- 1月は指数よりも個別銘柄が上昇しやすい
- 大発会は下落傾向。焦点はFOMCの利下げ
- 1月に強い銘柄:AREホールディングス
- 「1月効果」で上がる中小型・外食・建設に期待
- 第3四半期の上方修正&米ビッグテックの決算に要注目
1月相場は指数よりも個別株
1月は、波乱含みながらも上昇機会が生まれやすい月です。「1月効果」が意識される中小型株や、業績の上方修正が期待される銘柄に資金が向かいやすく、個別物色が活発になりやすいためです。
ただ、日経平均株価は、過去20年の平均がマイナス0.7%と、一年を通じてパフォーマンスの低い月となっています。つまり、全体の傾向を示す指数は伸び悩むものの、個別銘柄は選定次第では収益機会を得やすい月といえるでしょう。

もちろん、今年も例年どおりの値動きをするとは限りませんが、こうした相場の季節性や、その月の恒例イベントにあわせた値動きのパターンを事前に知っておくことで、それを先回りして投資することもできるようになります。
さらに、月ごとのアノマリーからその傾向や特徴を読み解くことで、効率的な物色がしやすくなります。「アノマリー」とは相場における経験則のことで、根拠はないけどよく当たるものや、相場格言として長く言い伝えられているものも多くあります。
〈参考記事〉最も株高・株安になりやすいのは何月? 意外と知らない株式相場のパターンとは?
1月の株価はどう動く?
新年相場の幕開けである大発会(年始最初の取引日)は、海外市場や地政学的リスクの影響を受けやすく、近年は下落で始まるケースが目立ちます。
2023年はテスラショックで日経平均株価は377円安、2024年は元日に起きた能登半島地震や3日のアメリカ株安が重なり、一時700円安まで売られました。2025年の大発会も、インフレ長期化による警戒感からアメリカ市場の軟調を受けて587円安でのスタートでした。
年初はどうしても外部要因の影響を受けやすく、値動きが荒くなりがちです。目先の動きに過度に振り回されず、相場全体の流れを見極める姿勢が重要でしょう。
その後は1月効果などで持ち直すものの、日米の金融政策や、3月期決算企業の第3四半期決算発表を控え、月の後半にかけては様子見ムードに入りやすい、というのが1月相場の構図です。
ただ、下旬からは米ビッグテック企業の決算発表が始まり、その内容やAI投資の動向次第では、半導体など関連銘柄には強い追い風が吹くかもしれません。

今後を左右する利下げの行方
22日・23日に日銀の金融政策決定会合、27日・28日には米FOMCが開催されます。
FOMCは12月に利下げを実施しており、2026年は「年1回の追加利下げ」が現状の市場コンセンサスです。このため1月のFOMCでは据え置きが優勢と見られますが、利下げ直後の会合では「次の一手の方向性」をめぐる発言もあり、内容次第では波乱含みとなる可能性があります。
FRBは5月の議長交代を控え、パウエル議長の発言の影響力低下が指摘されています。そんななか、2026年の利下げ回数をどう示唆するかが、株式・債券・為替市場にとって最大の焦点となるでしょう。
1月のアノマリーで上がる株
そんな1月相場で上昇しやすいのは、どんな銘柄でしょうか? 過去10年(2016年~2025年)の1月相場で勝率が高かった銘柄を見てみましょう。いずれも、「1月相場に強い銘柄」として相場ではおなじみの企業です。
この中で特に注目したいのは、AREホールディングス<5857>です。この10年で9勝1敗という高い勝率を誇ります。1月の株価上昇のポイントは、成長性と、年明けに買いが入りやすい「1月効果」です。

・AREホールディングス<5857>
AREホールディングスは貴金属リサイクルと環境保全を事業の二本柱とする会社。金価格が歴史的な高水準で推移するなか、その恩恵を追い風に業績を大きく伸ばしてきました。
10月末の中間決算発表では、通期業績予想の上方修正に加えて、年間配当を80円から120円と大幅に引き上げるなど、業績の好調さを改めて示しました。こうした材料を受けて株価は急進しましたが、足元では利益確定の売りに押されて調整局面となっています。
もっとも、これは高配当の中小型株によくある年末特有の動きと見られています。年末に利益確定で売られ、年明けの1月には買い戻されやすい傾向があるのですとりわけ、業績が好調な企業ほどその傾向が顕著です。
NISA勢の年初資金流入も追い風となれば、1月相場で再び注目される銘柄となりそうです。

「1月効果」で上がる中小型・外食・建設
「1月効果」は、他の月よりも1月の収益率が高くなりやすい、という株式市場のアノマリーです。
年末の節税対策のための売りが一巡し、年明けに買い戻されることで需給が改善するほか、機関投資家が新年の運用方針に合わせてポートフォリオを組み直すこと、また、「新年相場」「ご祝儀相場」といった投資家心理が働くことなどが背景にあります。
この1月効果が特に現れやすいのが、業績の良い中小型株です。なかでも、年末年始の消費が盛んな外食銘柄は注目されやすい傾向があります。どちらも2月期決算企業が多く、配当や株主優待を意識した買いが入りやすい点も理由のひとつです。
具体的には、次のような銘柄が挙げられます。
- 外食全般に加え、回転寿司で家族連れや帰省需要を取り込みやすいゼンショーホールディングス<7550>とFOOD & LIFE COMPANIES<3563>
- 定食需要で安定した集客が見込まれる大戸屋ホールディングス<2705>
- 初売りで賑わうショッピングセンター内に多数の店舗を展開するクリレスホールディングス<3387>
- 初詣帰りや実家近くでの利用が見込まれるコメダホールディングス<3543>
建設株にも注目です。手持ち工事が積み上がる年度終盤に業績が見えやすくなり、1月はその評価が進みやすい時期です。なかでも東急建設<1720>や五洋建設<1893>、熊谷組<1861>といった中堅ゼネコンは1月の買い戻しが入りやすい傾向にあります。
第3四半期の上方修正を要チェック
1月後半からは、3月期決算企業の第3四半期(10~12月)の決算発表が始まります。見るべきポイントは「上方修正」。通期の業績予想に慎重だった企業も、このタイミングで上方修正に踏み切るケースが増えています。
特に中間決算の時点で通期計画に対する進捗率が高い銘柄は、第3四半期での上方修正を期待しやすいです。今期好調な企業ほど、その勢いがさらに加速しやすいからです。さらに、こうした企業は本決算でも上振れ着地する可能性が高まります。
そこで、上方修正が見込まれる銘柄に先回りして投資することで、収益の機会をとらえやすくなります。
例えば、J-POWER<9513>、三谷産業<8285>、関電工<1942>などは、中間決算時点で通期計画に対する経常利益の進捗率が60%を超えており、かつ、前期も第3四半期決算前に上方修正を行なっています。今期も注目です。
午年の“尻下がり”を返上できるか?
株式市場には昔から「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁栄、丑つまづき、寅千里を走る、卯跳ねる」という相場格言があります。午年(うまどし)は相場が伸び悩みやすい年回りとされ、やや気になるところです。
もっとも、2025年の日米株を牽引したAI投資ブームは2026年も継続すると見る向きが多くあります。
午年の「尻下がり」を返上できるかどうか? 1月相場は、その年の方向性を占う月とも言われています。まずは月の後半から本格化する米ビッグテック企業の決算に注目です。









