一流の投資家はどんなルールで株を買っているのか? 「マイルール」をもつメリット・デメリットと、気をつけたい注意点

朋川雅紀
2026年2月13日 11時30分
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みなさんは自分自身でルールを作っているでしょうか? 漠然と「ルールのような決め事」を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、言葉としてしっかりルールを作っている人は意外と少ないのではないかと思います。

マイルールを作るメリット・デメリット

まずはルールを作るメリットとデメリットから話を始めたいと思います。

・ルールを作るメリット

自分のルールを持つメリットには、「リスク軽減」「安定した運用」「自己規律の確立」「透明性の向上」があります。

  • リスクの軽減……事前にルールを決めておくことで、感情的な判断による損失を最小限に抑えることができます。すると、不安定な相場でも冷静にルールに基づいた行動が可能になります。
  • 安定した運用……一貫した投資方針を維持することで、短期的な市場の変動に振り回されず、長期的な視点で資産形成を進めることができます。
  • 自己規律の確立……ルールを設けることで、投資における自己規律を養い、衝動的な投資を抑制することができます。
  • 透明性の向上……自分の投資行動を客観的に評価し、改善点を見つけることができます。

・ルールを作るデメリット

これに対して、ルールを作るデメリットとしては「柔軟性の欠如」「ルール至上主義」「心理的な負担」が考えられます。

  • 柔軟性の欠如……市場環境の変化に対応できず、チャンスを逃してしまう可能性があります。ルールに縛られすぎて、新しい投資手法や銘柄に挑戦できない可能性があります。
  • ルール至上主義……ルールを守ることに固執しすぎて、市場の状況や個々の銘柄の特性を見落とす可能性があります。
  • 心理的な負担……ルールに縛られることで、投資がストレスに感じられ、モチベーションが低下する可能性があります。

ルールを作る上での注意点

株式投資におけるルールは、リスクを軽減し、安定した資産形成に役立ちますが、一方で、柔軟性を失ったり、機会損失につながる可能性もあります。ルールを作る際は、そうしたメリットとデメリットを比較検討し、自分にとって最適なルールを見つけることが重要です。

では、具体的にどんな点に注意してルールを作ればいいのでしょうか? 私は「明確な目標設定」「シンプルで実行可能なルール」「定期的な見直し」「根拠に基づくルール」を挙げたいと思います。

  • 明確な目標設定……投資の目的に合ったルールを設定することが重要です。
  • シンプルで実行可能なルール……複雑なルールは、途中で守らなくなる可能性が高いです。シンプルで、無理なく続けられるルールを設定しましょう。
  • 定期的な見直し……市場環境、自身の状況、投資スキルの向上に合わせて、ルールを定期的に見直す必要があります。
  • 根拠に基づくルール……過去の経験や客観的なデータに基づいて、ルールを設定します。

一流の投資家のマイルール

最後に、どれくらい参考になるかはわかりませんが、私自身の「マイルール」をご紹介しておきます。

【朋川流マイルール】

  • 決められたルールに反する“例外”は全体の10%以内に抑える
  • 個別銘柄の保有比率は5%以内にする
  • レバレッジをかけるのは、上昇相場が始まってから1年半~2年以内とする
  • 米国株の保有比率は80%以上、日本株の保有比率は10%以下とする
  • IT、資本財・サービス、ヘルスケア、消費安定、消費循環、金融で業種分散を図る
  • 株価がどんなに絶好調でも、βの低いディフェンシブ銘柄(消費安定やヘルスケアなど)は保有し続ける
  • 短期売買(トレーディング)のポジションは総資産の10%以内(簿価ベース)とする
  • 個別銘柄の保有比率は「確信度(期待リターンとリスク)」に基づいて決定する
  • 1回の決算の結果だけで判断しない。2回以上の決算を確認する
  • 最終的には自分の考えと責任で投資を実行するが、他者の意見(リサーチ・レポートなど)にも耳を傾ける
〈買い候補銘柄のルール〉
  • 赤字や営業キャッシュフローがマイナスの企業には投資しない
  • 長期(5年の株価チャート)で上昇トレンドを形成している企業に投資する
  • 新規上場株には投資しない(最低でも上場後3~6か月は様子を見る)
  • 一度にフルポジションを作らず、2~3回に分けて株を買う
  • 株価が下落している株を買う(下値支持線近くで)
  • 業績が高水準で“安定”しているか、“改善”が見られる企業を買う
  • 成長率(売上や営業利益など)や利益率(ROIC、ROE、営業利益率など)を重視する
  • “競争優位性”を有する業界内でトップクラスの企業を買う
  • 株式市場が過熱している時には買いは行わない
  • 自分が買おうとする時に“不安”や“恐怖”を感じなければ、買いを手控える
  • 簿価(買値)の上昇につながる買い増しは、株数を減らして対応
〈売却候補銘柄のルール〉
  • 株価が上昇している株を売る(上値抵抗線近くで)
  • 株価が買値から2~3倍に上昇したら、一部は利確する
  • 株価が短期間に急角度で上昇したら、一部は利確する
  • 不祥事や会計上の問題がある企業は保有しない
  • 競争優位性を失った企業は保有しない
  • 提供している製品やサービスに対する需要が衰えてきた企業は保有しない

【短期売買(トレーディング)のマイルール】

私の投資の中心はあくまで長期保有ですが、限定的に短期売買(トレーディング)も行っています。それには当然、別途ルールを設けています。

  • 株価の上昇余地が下落リスクの3倍以上か、下落リスクが限定的な時(5%未満の下落リスク)のみ買いを行う
  • 抵抗線を大きく下回ったら売却する
  • 遅くとも買入日の翌日には売り(ストップ)注文を入れる
  • 含み益率が10%を超えたら、売り注文を買値まで引き上げ、その後の上昇に合わせて売値も引き上げる

ルールはあくまで一つの指針であり、状況に応じて柔軟に対応することも大切です。

[執筆者]朋川雅紀
朋川雅紀
[ともかわ・まさき]大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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