4月の株価はどうなる? 海外からの追い風に乗って満開に盛り上がる銘柄とは

《4月といえば、お花見や入学式。実は株式市場にも、月ごとの「風物詩」があります。お決まりのパターンや上がりやすい株など、その月ならではの「あるある」を知っておけば、ムダな損失を避け、大きなチャンスをつかめるかもしれません》
上昇傾向が強い4月相場
4月は名実ともに「新年度相場」の始まり。そして、一年で最も上昇傾向が強い月です。
機関投資家や企業が3月の年度末にかけて決算対策のために売却した株式を買い戻す「4月効果」が追い風となるほか、国内外ファンドのニューマネーが流入しやすい月でもあり、株価が上昇しやすいといわれています。
2025年は「大阪・関西万博」が開幕することから、その関連銘柄にも注目が集まります。また、月末に控える日銀の金融政策決定会合で利上げが行われるかどうかも要注意です。
過去20年の4月の月間騰落率(=前月終値と当月終値の比較)は平均+1.5%となっており、一年の中でも好成績であることがわかります。

もちろん、今年も例年どおりの値動きをするとは限りませんが、相場の季節性や、その月の恒例イベントにあわせた値動きのパターンを事前に知っておくことで、それを先回りして投資することができます。
また、月ごとのアノマリーからその傾向や特徴を読み解くことで、効率的な物色がしやすくなります。「アノマリー」とは相場における経験則のことで、根拠はないけどよく当たるものや、相場格言として長く言い伝えられているものも多くあります。
〈参考〉最も株高・株安になりやすいのは何月? 意外と知らない株式相場のパターンとは
4月の株価はどう動く?
4月相場は「前半上昇しやすく、後半ダレやすい」という特徴があります。
上旬は、国内の機関投資家による新規マネーや「4月の外国人買い」によって、一年を通じて最も強い追い風が吹きます。中旬ごろからは、5月の大型連休に向けた関連銘柄の物色や、6月の株主総会に向けたアクティビストからの株主提案ラッシュなどで盛り上がりを見せます。
ただ、下旬からは3月期決算企業の本決算発表シーズンがスタートすることに加え、月末から始まる大型連休を控えているため、利益確定の売りが出やすくなります。
ここ数年は、日経平均株価は下落となった年が多いものの、過去のチャートを見ると、初旬の強い上昇傾向と先行き不透明感が強くなる後半のダレが見て取れます(過去のチャートはこちらからご覧ください)。

4月下旬からは、アメリカのGAFAM*の第1四半期の決算発表が始まります。これらは日米市場のセンチメント(市場心理)に大きな影響を与えるため、注視したいものです。
さらに今年は、4月30日・5月1日に日銀の金融政策決定会合があります。
米トランプ政権の関税政策など先行きに不確実性があることなどから、市場では、次の利上げは早くても7月との見方が多いものの、実際どうなるかはわかりません。もし利上げが決定されれば、株や為替に大きな影響を与えますので、緊張感を持って見守る必要がありそうです。
*GAFAM=アメリカの主要5銘柄。グーグル(アルファベット)、アップル、メタ・プラットフォームズ(旧・フェイスブック)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト
4月のアノマリーで上がる株
そんな4月相場で株価が上昇しやすいのは、どんな銘柄でしょうか? 過去10年(2015~2024年)の4月相場で勝率が高かった銘柄を見てみましょう。

4月相場に強い銘柄として相場ではおなじみの企業が上位に並んでいます。それが、驚異の10連勝を続けている山洋電気<6516>、ハローズ<2742>、横浜ゴム<5101>です。
この株価上昇のポイントは、4月・5月にそれぞれ行われる決算発表です。事業の成長性への期待も相まって、「今年もまた良い数字を出してくるに違いない!」という思惑が投資家たちの間で湧き起こり、恒例の「4月の株高」を演出するのです。
・山洋電気<6516>
通信機器用冷却ファンや小型・精密サーボモーターを主軸とする会社です。例年、4月の本決算発表で強気の見通しを出すことで知られています。
今期は業績が大きく落ち込んでいるものの、第3四半期決算での進捗率は85%に達しており、また、「物言う株主」として知られるストラテジックキャピタル社が10%以上の株式を保有している話題性もあって、株価は上昇傾向にあります。
・ハローズ<2742>
中国・四国で食品スーパーを展開。24時間営業で収益を上げる独自のフォーマットを武器に、4月に発表予定の2025年2月期決算も12期連続で増益となる見通しです。12月に発表された第3四半期決算では営業利益が通期計画の79%に達しており、業績上振れへの期待が高まります。
・横浜ゴム<5101>
世界的なタイヤ需要の拡大によりヨーロッパやアジアでの販売が好調で、順調に業績を伸ばしています。自動車関連はトランプ関税に対する警戒感から株価は悶着状態ですが、会社からは値上げや自助努力で吸収できるとの説明も。株主還元の強化も前倒しで実施する方針です。
「4月の外国人買い」とは?
4月相場といえば「4月の外国人買い」が有名です。海外投資家の売買動向には季節性があり、例年4月は突出した買いが見られるのです。
海外勢の買いが続くと、外国人持ち株比率の高い銘柄に投資家の注目が集まりやすくなります。
企業の成長性や収益性、株主還元など厳しく問う海外投資家の銘柄選定は、個人投資家にとっても参考になります。彼らが好む銘柄として、外国人持ち株比率の高い銘柄をマークしておくのもいいでしょう。

アクティビスト銘柄が花ざかり
4月はアクティビスト(いわゆる「物言う株主」)の活動が活発化します。6月の株主総会シーズンに向けて、ゴールデンウィーク前が「株主提案」の実質的な提出期限となるためです。
アクティビストが増配や自社株買い、事業改革などを要求する提案を提出……と報道されると、その企業の株価は急騰します。2024年6月の株主総会シーズンに出された株主提案数は113と過去最高で、うちアクティビストによるものが59となっています。
3月は12月期決算企業で株主総会の真っ最中ですが、香港系投資ファンドのオアシス社による花王<4452>、DIC<4631>、小林製薬<4967>、フジテレビ騒動で有名となった米ダルトンによる江崎グリコ<2206>など、その動きは一段と活発化しています。
日本企業の大半を占める3月期決算企業の株主総会に向けては、さらに注目度が高くなりそうです。
大阪万博で盛り上がる株
2025年の国内最大のイベント、「大阪・関西万博」が4月13日に開幕します。10月13日まで半年間にわかる開催です。経済産業省の試算では、経済波及効果は約2兆9000億円、来場者数は約2820万人と見込まれ、インバウンドによる消費拡大効果も期待されています。
現在はチケット販売が芳しくないなどイマイチ盛り上がりに欠けるものの、始まってみれば、そこはお祭り好きの日本人。東京五輪もあれだけのバッシングの中でしたが、始まってみれば大盛況だったように、万博も興奮の渦になるのではないでしょうか。
そこで気になるのは、株価に好影響がありそうな銘柄としては一体どんなものがあるのか、です。
話題性としては、空飛ぶクルマのデモ飛行を行う予定の日本航空<9201>、ANAホールディングス<9202>、丸紅<8002>のほか、「ガンダム」のパビリオンを出展するバンダイナムコホールディングス<7832>、水素燃料電池船「まほろば」を運行する岩谷産業<8088>があります。
関連銘柄としては、鉄道・航空や旅行・ホテル・レジャーのほか、外食、小売、警備、メディアなどが挙げられます。

満開の桜を咲かせよう
春本番を迎える4月は観光シーズンでもあります。
今年は大阪万博も開催されるため、特にインバウンド需要に大きな期待が寄せられます。日本人も大好きな桜は、日本を象徴するモチーフのひとつ。限定イベントなども盛んで、特別な体験ができる時季として訪日客の人気も高まっています。
そんな華やかな4月は、一年を通じて相場に最も強い追い風が吹く月。ということは、儲けるチャンスもそれだけ広がるということ。ぜひとも見事な桜を咲かせたいものです。