言葉がわかれば理解が進む! 最初に覚えるべき投資用語14選
まずは証券口座を開設するところから
株式投資とは企業が資金調達のために株券を発行し、証券取引所に上場、投資家が証券会社を通じて株券を購入する仕組みです。
上場している株式を購入するためには、株式売買の仲介をしてくれる証券会社に口座を開く必要があります。しかし、口座開設の際にほぼ全員の方がつまずく用語があります。「特定口座」と「一般口座」です。どちらかを選択して口座開設となりますので事前に理解しておきましょう。
1.証券取引所(しょうけんとりひきじょ)
上場された株式の取引が行われる場所です。日本を代表するのは兜町にある東京証券取引所です。企業の規模や財務内容などにより、一部、二部、マザーズ、JASDAQに分かれています。誰もが知っている大企業は殆どが東証一部に上場しています。気になったら「企業名 株価」と検索してみると良いと思います。
2.特定口座(とくていこうざ)・一般口座(いっぱんこうざ)
証券会社に口座を開設しようとすると、どのような口座にするか選択肢が出てきます。特定口座か一般口座、特定口座であれば源泉徴収あり、なしを選択することになります。
特定口座では証券会社が1年間の損益を通算した年間取引報告書を発行してくれます。これは一般口座ではないサービスです。また、特定口座(源泉徴収あり)を選択すると、利益にかかる納税まで証券会社が代わって行ってくれますので、投資家は何もする必要がありません。
サラリーマンの方など、通常確定申告をすることのない方で確定申告するのは難しい!と考える方は特定口座(源泉徴収あり)を選択すれば株式投資に関わる納税の面倒を一切感じることなく取引が出来ます。特定口座(源泉徴収なし)でも年間取引報告書が発行されますので、簡易な確定申告のみで納税が出来ます。
複数の証券会社で取引をしている方で、A証券では損失が出ておりB証券では利益が出ている場合は、この確定申告により通算することが出来ますので、「特定口座(源泉徴収なし)」が使いやすいのではないでしょうか。もちろん源泉徴収ありを選択肢、確定申告により通算することも出来ます。
一方、これらの使いやすい仕組みがないのが一般口座であり、特にこれを選択するメリットはないのではないでしょうか。
3.NISA(にーさ)
NISAとは少額投資非課税制度のことです。2016年からは投資枠が拡大され、120万円までの投資に対し、株式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金が非課税となる制度です。通常は20.315%の税金がかかりますので、その点はお得といえます。
しかし、税金が「お得」となってる代わりに、使いづらい部分もあります。
非課税の120万円の枠は繰り返し使うことが出来ず、20万円の株式投資引きを6回行えば年間の枠は使いきってしまいます。期間が5年間と決まっており、これについては特定口座、一般口座への移管のほか、翌年のNISAへの移管もできますが、特定口座、一般口座への移管は移管時の時価が購入価格とされますので、注意が必要です。
通常、株式投資の損益は通算することが出来るのですが、NISAは損益通算の対象外です。損失が出た場合はNISA口座以外での取引による利益と相殺することが出来ません。
それらを考えると、NISAでの運用に適しているのは、安定的な値動きの商品を5年間保有するという使い方です。NISAは取引の損益により、得する場合と損する場合があり、利用にはちょっとしたコツがあります。
NISAについてもっと深く理解したい方はこちらの記事をご参照ください。本質的な意図を理解することによって見えてくるものがあります。
【関連記事】「NISAの目的とは?そこには日本政府が考える重要な鍵がある。」
日々「変動」する株価の動きを捉えるために
口座開設完了後は株価の動きをみていく段階に入ります。株価の動きがわかれば、安いところを買って高い時に売れば良いわけですからシンプルですよね?そんな時に出てくる覚えておくべき基本的な用語がこちらです。
4.日経平均株価・TOPIX(トピックス)
日経平均株価は、日本経済新聞社が算出する日本の代表的な株価指数です。
東京証券取引所を代表する225銘柄の株価を元に算出されます。指数ですので、これは株のように買ったり売ったりするものではありません(日経平均にほぼ連動する形の投資信託もあり、「日経平均を買う」イメージの取引も実際は可能です)。
日本の株式市場を代表する指数ですから、この値動きが市場や投資家の取引に大きな影響を与えます。当然のことながら日経平均が大きく下がった日には多くの個別銘柄も値を下げていますし、日経平均が上昇した日には多くの個別銘柄も値を上げています。
日経平均が下がり続けているような時には株式市場も盛り上がりませんし、日経平均が連日上昇すれば市場に参加する投資家も増え、株式市場は盛り上がります。株式市場の温度をはかる大切な指数ですので、日々チェックしてみましょう。
日経平均よりも市場の動向を正確にはかる指数としてTOPIX(東証株価指数)があり、こちらの数字を重要視する熟練者も多いですし、日経平均とTOPIXの動きを指数化することで見えてくるものもあります。
しかし、超初心者の方は、通常のニュースでも取り上げられる日経平均の動向をチェックし、株式市場に親しむことで相場になじんでいくことも一つの手かと思います。
株式市場では投資家の買い注文、売り注文を付き合わせて取引を成立させていきます。売る人がいなければ買うことは出来ませんし、買う人がいなければ、売ることは出来ません。買い注文が多ければ株価は上昇し、売り注文が多ければ株価は下落します。
刻々と変わる株価の動きは「ローソク足の四本値」にて確認ができます。
5.ローソク足チャート
チャートとは株価を表したグラフのことです。その中でもローソク足は四本値をひとつのローソクに見立てて表現したもので、株価の動きを判断する大きな材料となります。
株式投資では一般的にローソク足チャートが使われており、単に「チャート」ということもあります。簡単な見方を習得するだけで、株式投資に大きく役立ちますので、最初は少しハードルが高いかもしれませんが、頑張ってローソク足の見方を身につけましょう。
【参考記事】【初心者必読】たったふたつだけ、ローソク足の簡単な見方<実践編>
6.四本値(よんほんね)
例えば一日の株価の値動きを見る場合、その日最初につけた値が始値(はじめね)、その日最後に付けた値が終値(おわりね)です。上下する株価の中で、一日の一番高い値が高値(たかね)、一番安い値が安値(やすね)となります。この4つの値をまとめて四本値と言います。
四本値はローソク足チャートを構成する基本要素となり、四本値を知ることで株価の動きの特徴をつかむことが出来るようになります。
7.気配値(けはいね)
売り方、買い方が売りたい、あるいは買いたい値段のことです。
取引の気配値をリアルタイムで表示してあるものを板(いた)と言います。取引時間中に板を見ると、左側に売り気配、右側に買い気配として、注文が入っている株数が表示されます。売り注文の一番安い年段(売り気配)と買い注文の一番高い値段(買い気配)が付き合わされたところが現在の株価となります。
言葉にとらわれて難しく考える必要はありません。現在の株価と買いと売りの注文が入っている株価とざっくり覚えておきましょう。
8.前場(ぜんば)・後場(ごば)
午前の取引を前場、午後の取引を後場と言います。
例えば東京証券取引所は9時から11時30分までが前場、12時30分~15時までが後場となります。その中で、一日の最初の取引を寄付(よりつき)、前場の終わりを前引け(ぜんびけ)、後場の終わり、即ちその日の取引の最後を大引け(おおびけ)と言います。
日本の株式市場は海外と異なりお昼休みなどがあるため時間割も注意しましょう。
9.単元株(たんげんかぶ)
単元株とは株式市場で取引できる株数の単位のことです。
株価が300円と言っても通常は300円で1株という注文は出来ません。単元株数は各企業が個別に決めることが出来ますが、現在は100株単元への集約が進んでおり、大部分の上場銘柄が100株単位で売買するようになっています。
株価が300円であれば100株で3万円。これが取引の最小単位となります。
各証券会社の制度で単元株の10分の1から投資できるミニ株や1株から売買できるプチ株などがありますが、取引や株主の権利について、単元株での投資とは異なる制限があります。一般的には単元株単位での取引となることを覚えておきましょう。
【参考記事】「いくらから始められる? 株初心者が知っておくべき投資資金」
避けては通れない「注文方法」と「ルール」
株価の値動きや購入価格が分かったところで実際の株式投資に進んでみましょう。まずは証券口座に株式の購入代金を入金します。気配値を見ながら現在の株価を確認、最初の買い注文を入れてみましょう。
10.指値(さしね)・成行(なりゆき)
売買の注文には指値と成行の2種類があります。
指値は株価を指定して入れる注文のことです。例えば300円で100株という注文を入れてみましょう。現在の株価が350円であれば、それよりも安い300円の取引は成立しません。
一方、値段を指定することなく、時価による注文を成行と言います。成行で100株という注文です。注文が受付された時点で、相対する売り注文との取引が成立します。
株価の値動きが激しい場合などは、思わぬ値段で取引が成立してしまう場合がありますが、売買注文は時間優先、そして指値より成行が優先されます。迅速に確実に取引を成立させたいのであれば成行注文ということになります。
とは言っても、板の読み方が分からないうちにはリスクもあるので、初心者はまずは指値での注文を心がけてみましょう。
11.約定(やくじょう)・受渡(うけわたし)
約定とは注文した取引が成立することです。買い注文を出し、それに相対する売り注文が出ていれば取引成立、晴れて株主となることが出来ます。この際、注意しなければならないことが受渡の仕組みです。受渡とは実際に代金と株券のやり取りを行うことです。
株式投資の場合、取引が成立した日を含めて4営業日目が実際に株を保有する日となります。実際には株を買った時点で代金は証券口座から決済されますし、買った株を4営業日目まで待つことなくすぐに売ることも出来ます。約定日と受渡日に3日のずれがあることは、通常の取引ではあまり意識しなくても良いでしょう。
しかし、配当や株主優待を受け取りたい場合は、このズレをしっかりチェックする必要があります。配当や株主優待の権利を得るには、権利確定日に株を保有している必要があります。受渡が4営業日後になるため、権利確定日の3日前までに株を買っておかなければ、配当や株主優待の権利を得ることができません。決算時期には注意しましょう。
12.決算期(けっさんき)
各企業が会社上の1年の区切りとする日のことです。上場企業の決算期は3月末が圧倒的に多く、次が12月末決算となります。特に決まりはなく、小売業などは一般的に閑散期となる2月末決算とする企業が多くありますし、月末に限らず、2月20日などを決算とする企業もあります。
決算期末(企業によっては中間期、四半期ごと)などに配当や株主優待を実施する企業が多いこと、決算期特有の株価の値動きがあることから、株式投資をする場合には、決算期がいつであるかをチェックすることもひとつの企業分析となります。
(決算期から45日以内に開示する義務があるため、3月末の決算期の会社は5月中旬までには決算書を提出する義務が課せられております。これを「45日ルール」と言います。3月末決算の会社の場合、5月15日までに提出が義務付けられておりもし遅れる場合は理由とともに開示する必要があります。そのようなことがないか?など確認するということも個人投資家の分析手法の一つにあります)
13.配当(はいとう)
企業が利益の一部を投資家に分配するものです。配当5円とあれば1株あたり5円の配当が付き、100株保有で500円となります。
配当は決算期末と中間期末の2回出されることが多いですが、「期末1回のみ」「四半期ごと」など企業によって異なります。利益が出ていなかったり、利益が出ていても自社の投資優先で配当を行わない企業もあります。
株式投資の値上がり益を狙うのではなく、長期に保有して配当を受け取ることを目的とした投資手法もあります。発表されている配当金額はあくまで予定であり、実際の決算を通過して増減額されることもありますし、予定されていた配当がなくなる(無配)こともあります。
14.株主優待(かぶぬしゆうたい)
配当同様、投資家への利益還元のひとつです。
多くは決算期末などに自社製品、自社製品の割引券などを投資家に提供するものです。一般消費者向けの商品を手がけていない企業などでは、地域の特産品やプリペイドカードなどを株主優待とするところもあります。投資した企業の製品に親しんだり、ちょっとしたプレゼント気分を味わえるのが株主優待であり、楽しみでもあります。
株価が値下がりしては元も子もないので、株主優待だけを基準に株式投資をすることはリスクが高いと思います。しかしながら株式投資を楽しむ要素として株主優待に親しんでみるという観点であれば一つの経験として良いかもしれません。
用語がわかれば楽しくなる
超初心者が覚えるべき14の株式用語、いかがでしたでしょうか。専門的な株式用語の意味を知るだけで、難しく思えた株式投資がぐっと身近なものになるのではないでしょうか。
まずはここが株式投資のスタートラインです。株式投資には普段使わない専門用語が多く出てきますが、理解すれば比較的簡単な言葉が多いと思います。少しずつ理解しながら投資家としての一歩一歩を踏み出していただければ幸いです。