「とりあえず任天堂」で大丈夫? 銘柄選びに欠かせない大事な話

株の学校ドットコム
2018年9月5日 8時00分

よく売買代金の上位に名前が登場する企業と言えば、日本を代表するゲームメーカーの任天堂<7974>です。マリオもポケモンも、日本だけでなく世界中で大人気ですから、やっぱり株の銘柄としても大人気になっている……ということなのでしょうか?

なぜ任天堂は売買代金が多いのか

最初に、混乱しがちな「売買代金」と「出来高」の違いをおさらいしておきます。

  • 売買代金……売買された金額
  • 出来高……売買された株の数(「売買高」とも)

ヤフーファイナンスや証券会社のサイトなどで両方のライキングを見比べてみると、売買代金が上位の銘柄は、出来高上位の銘柄よりも株価が高いことがわかります。

任天堂のように株価が数万円(単元なら数百万円)もする銘柄は、誰でも気軽に売買できるとは言いがたいシロモノです。反対に、株価が100円に満たない銘柄は買いやすいために頻繁かつ大量に取引され、結果として、出来高は大きくなります。

売買代金が多い銘柄は、株価が高い中でも活発に取引されている銘柄だと言うことができます。

任天堂は、そんな売買代金のランキングで、いつもトップ5に入っているような常連銘柄です。2018年9月4日も、売買代金696億8828万5000円で上場全銘柄中の第1位(ETFを除く)。ちなみに、株価は39,750円で、出来高は175万8400株でした。

やはり商品と同じように大人気の任天堂株ですが、じゃあ、その要因は一体なんなのでしょうか?

業績と株価のフシギな関係

まず、任天堂の近年の業績を見てみましょう。

下は、任天堂のホームページからダウンロードしたグラフです(画像をクリックするとサイトに移動します)。赤い棒グラフが売上高、ピンクが営業利益、緑の折れ線グラフが営業利益率となっています。

こうして見てみると、2018年3月期の決算で営業利益率が大きく伸びていますが、2014年には営業赤字だったわけで、いつでも絶好調、というわけではないようです。

一方、株価の推移はどうでしょうか。同時期の株価チャートを見てみましょう。

株価と業績は必ずしもリンクしないところが株の難しさです。しかしながら任天堂の場合、おおむね業績の改善に伴って株価も上がっていることがわかります。特に2017年は株価大躍進の1年で、年初に購入して翌年頭に売却していれば、約2倍で売り抜けられました。

どんな大企業の株価でも、動くときは動く

ここで気にしたいのは、1年で2倍になった、という事実です。ベンチャー企業やIPO銘柄に限らず、トヨタ自動車や任天堂のように誰でも知っている大企業であっても、このように株価はかなり変動するものなのです。

初心者の方の「まずはトヨタや任天堂を買っておこう」という心理の裏には、「業績が良いらしいから株価も上がるだろう」という思惑とともに、「大きく崩れることはないだろう」という期待が見え隠れします。

しかし、任天堂のように1年で2倍になる場合もあるということは、裏を返せば、1年もしくはもっと短い期間で株価が2分の1になるような場合もあり得る、ということです。

実際、あのトヨタ自動車でも、営業利益率は手堅く伸びているのに株価は25%下落している……という時期もありました(参考記事:「トヨタを買っておけば大丈夫」ってほんと? 銘柄選びの常識・非常識)。

それが、まさに「業績と株価は必ずしも連動しない」ことを裏づけていると言えるでしょう。

投資家もポケモンに沸いた7月の熱狂

任天堂の株価が大躍進を遂げたのは、何と言っても、2016年7月にリリースされた「ポケモンGO!」のおかげです。リリース直後は社会現象と呼べるほどの大盛り上がりでした。

しかし面白いのは、その2016年7月の株価です。上のチャートを見ると、ローソク足の「実体」(月の始値〜終値の幅)が、他の月と比べて明らかに長く伸びています。つまり、ひと月の値幅がかなり大きかったわけです。

さらにそこから上に伸びている「上ヒゲ」は、この月の高値を表します。前月高値のほぼ倍と言える32,700円をつけていますが、終値は21,505円まで落ち着き、その後じわじわと株価を上げていったことがわかります。

その月は出来高も、他の月と比べると言葉どおりの「桁違い」で、ゲーマーだけでなく投資家も「ポケモンGO」の狂騒の中にいたことがよくわかります。投資家たちの揺れに揺れた思惑が、こうしてチャートの形になって残ったのです。

銘柄選びの「根拠」とは?

「ポケモンGO」のリリースから2年。一時期の熱狂は過ぎ去ったものの手堅く成功していると言えるはずですが、それに対して任天堂の株価は、前年の上昇から一転、はっきりとした下落傾向です。ここから、ポケモンGOで「上がり過ぎた」と考えている投資家が多いことがうかがえます。

このように、「投資家の心理」が株価を動かしているということは忘れないでおきたいポイントです。「これからますます人気が出るかもしれない。乗り遅れたらまずい!」という状況が投資家の心を熱くし、それゆえ株価を高騰させることが、往々にしてあるからです。

株価は、業績が良ければ素直に上がるとは限りません。それは言い換えると、銘柄選びの指針として業績だけでは心許ない、ということになります。

プロトレーダーの銘柄選び

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