明暗の分かれる梅雨相場 プロも大注目のいま選ぶべき銘柄とは
5月相場の振り返って
連休明けの5月11日から大きく下落しました。そのまま大きく下落するかとも思いましたが、何とか切り返し、日経平均株価は29,000円付近で落ち着きました。ただ、新興銘柄の多いマザーズは大きく崩れてしまいました。後半は反発しましたが、日経平均ほど戻しきれなかったのが印象的でした。
- 日経平均株価:28,812円→28,860円(+0.17%)
- TOPIX:1,898ポイント→1,922ポイント(+1.26%)
- マザーズ指数:1,201ポイント→1,150ポイント(−4.25%)
方向感のないなか、積極的な売買がしにくい状況でしたが、6月に入ってどうなるか楽しみです。
・2021年5月の日経平均株価の推移
・2021年5月のTOPIXの推移
・2021年5月のマザーズ指数の推移
5月相場で上がった株・下がった株
そんな2021年5月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います。
・2021年5月の売買代金トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 売買代金 |
1 | 9984 | ソフトバンクグループ | 2.44兆円 |
2 | 7974 | 任天堂 | 1.28兆円 |
3 | 9983 | ファーストリテイリング | 1.14兆円 |
4 | 7203 | トヨタ自動車 | 1.06兆円 |
5 | 8035 | 東京エレクトロン | 9355億円 |
6 | 6758 | ソニーグループ | 9273億円 |
7 | 6920 | レーザーテック | 7305億円 |
8 | 8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 6731億円 |
9 | 6861 | キーエンス | 5460億円 |
10 | 6098 | リクルートホールディングス | 4271億円 |
11 | 8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 4236億円 |
12 | 6594 | 日本電産 | 3834億円 |
13 | 4063 | 信越化学工業 | 3777億円 |
14 | 5401 | 日本製鉄 | 3661億円 |
15 | 4502 | 武田薬品工業 | 3610億円 |
16 | 7741 | HOYA | 3447億円 |
17 | 6501 | 日立製作所 | 3441億円 |
18 | 6981 | 村田製作所 | 3413億円 |
19 | 9433 | KDDI | 3402億円 |
20 | 8698 | マネックスグループ | 3244億円 |
・2021年5月の値上がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 売買代金 |
1 | 3326 | ランシステム | +88.4% |
2 | 6198 | キャリア | +85.4% |
3 | 1724 | シンクレイヤ | +79.8% |
4 | 3647 | ジー・スリーホールディングス | +76.7% |
5 | 6337 | テセック | +74.7% |
6 | 8040 | 東京ソワール | +70.6% |
7 | 2150 | ケアネット | +67.3% |
8 | 7625 | グローバルダイニング | +66.0% |
9 | 8093 | 極東貿易 | +59.2% |
10 | 7859 | アルメディオ | +56.0% |
11 | 8508 | Jトラスト | +54.5% |
12 | 6709 | 明星電気 | +54.1% |
13 | 4933 | I−ne | +53.7% |
14 | 4282 | EPSホールディングス | +53.6% |
15 | 1435 | Robot Home | +53.5% |
16 | 2673 | 夢みつけ隊 | +53.1% |
17 | 7936 | アシックス | +51.2% |
18 | 4556 | カイノス | +49.9% |
19 | 6997 | 日本ケミコン | +49.2% |
20 | 6629 | テクノホライゾン | +49.2% |
・2021年5月の値下がり率トップ20
順位 | 証券コード | 銘柄 | 売買代金 |
1 | 3914 | JIG−SAW | −46.7% |
2 | 4488 | AI inside | −45.2% |
3 | 7748 | ホロン | −40.2% |
4 | 7078 | INCLUSIVE | −39.8% |
5 | 4475 | HENNGE | −35.2% |
6 | 4595 | ミズホメディー | −34.8% |
7 | 4080 | 田中化学研究所 | −33.8% |
8 | 7076 | 名南M&A | −32.4% |
9 | 4011 | ヘッドウォータース | −30.1% |
10 | 6175 | ネットマーケティング | −30.0% |
11 | 3628 | データホライゾン | −29.2% |
12 | 7689 | コパ・コーポレーション | −28.9% |
13 | 3674 | オークファン | −28.8% |
14 | 7426 | 山大 | −28.7% |
15 | 3659 | ネクソン | −28.7% |
16 | 2134 | 燦キャピタルマネージメント | −28.0% |
17 | 6549 | ディーエムソリューションズ | −27.4% |
18 | 6541 | グレイステクノロジー | −27.0% |
19 | 3135 | マーケットエンタープライズ | −27.0% |
20 | 4165 | プレイド | −26.9% |
気になる銘柄をピックアップ
この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。
・売買代金4位:トヨタ自動車<7203>
全体が足踏みしているなか、大きく上昇(+12.16%)しました。業績もよく、知名度抜群の同社が全体の雰囲気を支えたと言っていいのではないでしょうか。大型株のため、値動きが軽い銘柄よりも値動きは小さいはずなのですが、決算月ということもあり、大きな上昇が目立ちました。
電気自動車の話題が出るたびにトヨタも注目され続けます。しっかりと監視をしていきたい銘柄のひとつになりました。
・売買代金10位:リクルートホールディングス<6098>
大きく下落した翌日から切り返し、5月中に上場来高値を更新してきました。月間の上昇率は+26.45%。日本はワクチン接種がまだまだな状況ですが、同社が主力としているインディード社のあるアメリカでは経済活動が戻りつつあり、人材採用が活発になってきています。
アフターコロナの世界で日本は出遅れていますが、こういった銘柄を丁寧に追いかけていけば、まだまだチャンスはありそう。
・売買代金17位:日立製作所<6501>
トヨタ自動車と同じく、知名度抜群であり、IT企業の側面を強くしてきている同社ですが、じわじわと株価を伸ばしています(+6.6%)。
子会社を含めた事業再編も順調に進んでおり、利益率が改善してきているとの発表もあいまって、今後も楽しみな展開になっています。大型株ではありますが、値動きも重い感じではなく、5,500円の上値抵抗線を超えてきた今、注目したい銘柄です。
今後の日立のキーワードは「LUMADA(ルマーダ)」です。お忘れなく(詳しくはこちらを参照:Lumadaとは|日立製作所)。
・売買代金20位:マネックスグループ<8698>
ビットコインの値上がりとともに注目されていた当社ですが、この5月、ビットコインをはじめとした仮想通貨は大きく下落しました。通貨の透明性を担保するための電力消費量が大きすぎるのはエコじゃない、SDGsやESGなど持続可能な社会を目指す流れに反している!というのが主な理由です。
同社は仮想通貨の会社ではないのですが、ビットコインに連動しやすいということでランクインです。
- マネックスグループ:846円→816円(−3.6%)
- ビットコイン:633万円→390万円(−38.4%)
・値上がり率17位:アシックス<7936>
決算発表後、黒字幅の拡大を好感されて大きく上昇しました(1,735円→2,625円/+51.3%)。この上昇が一時的なものなのか、今後も長く継続するのかは注目していきたいと思います。
・値下がり率2位:AI inside<4488>
IPO銘柄やマザーズ銘柄は期待感で大きく買われることが多いです。同社もはやりの「サブスク」「ストックビジネス」というワードや、コロナ後のDXや在宅ワークで成長するはずだという期待から、売上16億円、利益4億円という業績にもかかわらず、時価総額が一時3,500億円まで膨らみました。
しかし、大口顧客の契約解除の問題をきっかけに大きく下落してしまいました(37,300円→16,590円 /−55.5%)。現在、時価総額は650億円となっています。
いまこそ考えたい「選ぶべき銘柄」
トヨタやリクルート、日立製作所など、時価総額が大きく売買代金も多い銘柄でも、大きく上昇することはよくあります。それでも多くのトレーダーや投資家は、AI insideのような小型で値動きの軽い銘柄を好みます。
ですが、今回のAI insideのように、まっとうにビジネスをしていてしっかりと利益を出していても、過度に期待が大きくなると、それが剥がれ落ちたときに株価の下落がとんでもなく大きくなります。バイオ関連銘柄にもこのような傾向が見られます。
もちろん、小型株が盛り上がっているときに短期でトレードをして、しっかりと逃げ切れるのであればいいのですが、多くの人は逃げ遅れ、致命傷レベルで損失を出してしまいます。
どちらを選ぶべきという「正解」はありませんが、長く相場で生き残るには、致命傷を負ってはいけないと考えています。
値動きの軽い銘柄で安易に利益を負うのか、それとも、ちゃんと致命傷を避けつつ、大型株を相手に小さいけれどもしっかりとした利益を着々と積み上げるのか。自分はどちらの道を行くべきかを考えるきっかけにしてほしいと思います。
6月も楽しみですね。ルマーダ!
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)