株は簡単? 調整相場でプロが注目する銘柄・警戒する銘柄・悔しがる銘柄

窪田 剛
2021年7月1日 12時00分

6月相場を振り返る

6月21日の大きな下落(954円安)が印象的だった6月相場。アメリカの利上げ前倒し懸念ということで、なぜか日本株が大きく売られました。

日経平均株価は前日比一時1,169円安(−4.04%)まで売られ一気に雰囲気が悪くなりましたが、翌日から切り返して29,000円を回復。月末終値は29,000円を割り込みましたが、一時の危機は去ったように感じます。

終わってみれば、6月はほぼ横ばい推移でした。決算発表も終わり、積極的に売買する理由の乏しい一か月となりました。

  • 日経平均株価:28,860円→28,791円(−0.24%)
  • TOPIX:1,922ポイント→1,943ポイント(+1.09%)
  • マザーズ指数:1,150ポイント→1,207ポイント(+4.96%)

6月21日の安値27,795円が今後の大きな節目となります。もし7月にここを割り込むようなことがあると、日経平均全体の雰囲気が悪くなってくるでしょう。反対に、ここから反転して上に抜けていけば、年後半に向けて楽しみになってきます。

6月相場で上がった株・下がった株

そんな6月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(データ提供:CMBトレード塾

・2021年6月の売買代金トップ20

・2021年6月のTOPIXの推移

・2021年6月のマザーズ指数の推移

6月相場で上がった株・下がった株

そんな2021年6月の相場を売買代金値上がり率値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(データ提供:CMBトレード塾)。

・2021年6月の売買代金トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 9984 ソフトバンクグループ 1.66兆円
2 6920 レーザーテック 1.61兆円
3 7203 トヨタ自動車 1.44兆円
4 4523 エーザイ 1.2兆円
5 7974 任天堂 1.11兆円
6 9983 ファーストリテイリング 1.07兆円
7 8035 東京エレクトロン 7678億円
8 6758 ソニーグループ 7633億円
9 6723 ルネサスエレクトロニクス 6528億円
10 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 6247億円
11 6861 キーエンス 4853億円
12 6501 日立製作所 4805億円
13 8316 三井住友フィナンシャルグループ 4451億円
14 6098 リクルートホールディングス 4100億円
15 4502 武田薬品工業 4003億円
16 9101 日本郵船 3907億円
17 6594 日本電産 3819億円
18 6981 村田製作所 3811億円
19 4063 信越化学工業 3721億円
20 9201 日本航空 3720億円

・2021年6月の値上がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 6614 シキノハイテック +98.40%
2 6993 大黒屋ホールディングス +86.00%
3 2370 メディネット +77.70%
4 8040 東京ソワール +68.60%
5 2158 FRONTEO +62.70%
6 8114 デサント +62.60%
7 9318 アジア開発キャピタル +57.10%
8 6966 三井ハイテック +55.00%
9 7760 IMV +54.70%
10 6772 東京コスモス電機 +52.80%
11 4124 大阪油化工業 +52.00%
12 6538 キャリアインデックス +51.30%
13 6618 大泉製作所 +51.10%
14 4880 セルソース +50.80%
15 3923 ラクス +49.80%
16 4584 キッズウェル・バイオ +49.80%
17 6768 タムラ製作所 +49.20%
18 3849 日本テクノ・ラボ +49.20%
19 4523 エーザイ +48.40%
20 5699 イボキン +47.90%

・2021年6月の値下がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値下がり率
1 3647 ジー・スリーホールディングス −39.00%
2 3326 ランシステム −36.40%
3 3189 ANAP −27.80%
4 7859 アルメディオ −27.40%
5 3787 テクノマセマティカル −26.80%
6 3903 gumi −25.80%
7 7868 広済堂ホールディングス −25.40%
8 8746 第一商品 −25.10%
9 7092 Fast Fitness Japan −25.00%
10 4475 HENNGE −24.60%
11 4196 ネオマーケティング −24.30%
12 2479 ジェイテック −24.20%
13 7363 ベビーカレンダー −23.70%
14 4556 カイノス −23.50%
15 2673 夢みつけ隊 −23.30%
16 3998 すららネット −21.20%
17 3161 アゼアス −19.90%
18 7031 インバウンドテック −19.90%
19 4936 アクシージア −19.80%
20 4398 ブロードバンドセキュリティ −19.80%

6月相場でプロが気になる銘柄

この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。

・売買代金3位:トヨタ自動車<7203>
・売買代金12位:日立製作所<6501>

5月の記事でもピックアップした2銘柄ですが、どちらも6月も大きく上昇しました。

  • トヨタ自動車<7203>:株価9,115円→9,710円(+6.5%)/売買代金1.44兆円
  • 日立製作所<6501>:株価5,736円→6,361円(+10.9%)/売買代金4,805億円

ただし、トヨタは株価が一時1万円を超えていましたが、達成感からか失速して終わっています。しばらくは調整期間かもしれません。日立も大きく上昇してきたため、この勢いが続くか、それとも調整に入るのか、注意が必要です。

・売買代金4位/値上がり率19位:エーザイ<4523>

バイオ・製薬には夢がある!を体現した値動きとなりました。アルツハイマー病患者に効果のある治療薬が承認されたというニュースにより、株価が一気に上昇。高値12,765円まで上昇した後は、月末にかけてさすがに調整が入りましたが、それでも約1.5倍(+48.4%)の上昇となりました。

ただし、基本的にトレーダーはバイオ関連銘柄には手を出さないほうがいいです。エーザイの場合は、時価総額が大きく流動性もあるためこの限りではないのですが、いわゆるバイオベンチャーのトレードはお勧めしません。

株価が一時的に大きく動くことはありますが、一気に流動性がなくなり、連続ストップ安……といったことも起こり得るからです。私もかつて連続ストップ安を体験したことがありますが、それはもう地獄のような日々でした。

トレーダーはバイオベンチャーには手を出すな

くれぐれも覚えておいてください。

・売買代金16位:日本郵船<9101>

いわゆる邦船3社がともに大きく値上がりしました。

  • 日本郵船<9101>:株価4,515円→5,630円(+24.7%)/売買代金3,907億円
  • 商船三井<9104>:株価4,395円→5,340円(+21.5%)/売買代金2,118億円
  • 川崎汽船<9107>:株価2,954円→3,995円(+35.24%)/売買代金1,571億円

ワクチン接種が進み、アフターコロナの経済回復期待で注目はされていましたが、実際に荷動きの増加や運賃高騰などによる業績の上方修正もあり、注目を集めました。まだまだ割安ですし、今後も目が離せません。

ちなみに、海運会社の株価に大きな影響を与えるものとして「バルチック海運指数」がありますので、覚えておくといいでしょう。

・値上がり率6位:デサント<8114>

5月の記事アシックス<7936>をピックアップしました。その流れを受けてデサント<8114>を監視していたところ、狙いどおり大きな利益を上げることができました。株って簡単ですね! ・・・そんなわけありませんよね。とほほ。

自分でアシックスをピックアップしておきながら、デサントは一切監視していませんでした。こんなに綺麗に大きく値上がりしているなんて。悔しい! 本当に悔しい!!

・値上がり率8位:三井ハイテック<6966>

電気自動車関連の投資(工場建設など)が功を奏して利益が上がってきた、という会社発表をきっかけにして大きく上昇しました(4,120円→6,390円/+55.1%)。

電気自動車といえば、2020年に大きく値上がりしたアメリカのテスラ<TSLA>の株式をパナソニック<6752>が手放したというニュースがありました。24億円の投資が4,000億円になったそうです。

いやぁ、株って本当に簡単ですね!! というのは冗談ですが、電気自動車関連は今後もマーケットで注目を集めると思います。この銘柄だけでなく幅広く監視しておくと、大きな利益につながるかもしれません。

情報は、終点ではなく起点に

値上がり率でピックアップしたデサント<8114>に限ったことではありませんが、関連銘柄が連動して大きく上昇するということはよくあります。上の電気自動車関連も同じです。

日々、様々なニュースがあり、多くの情報を目にすると思います。そういったものをひとつひとつ単体で理解するのではなく、関連性を意識しながら「アレが上がったなら、コレはどうだ?」というふうに考える起点として情報を見られるようになると、大きな利益につながることがあります。

最初からそうできる人なんていませんし、私もいまだに毎月こういう後悔を繰り返して、悔し涙で枕を濡らしながら一歩一歩進んでいます。

せっかく何らかのご縁でこの記事を読んでくださっているのですから、あなたも私と一緒に一歩ずつマーケットを進んでいきましょう。

さぁ、2021年も後半戦が始まりますよ!

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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