いい動きの半導体株、まさかの海運株。2024年相場に向けてプロが注目を続ける銘柄とは
《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》
2023年12月相場を振り返って
上昇を続けるアメリカ市場──
11月に大きく上昇したアメリカ株が、12月も引き続き上昇を続けました。さらに、金利が落ち着いてきたということもあり、11月に152円まで迫ったドル円が140円台まで上昇するという大きな動きもありました。
円高にもかかわらず、日経平均株価は大きな下落もなく、むしろ高値付近で大納会を迎えて、2024年に向けていい着地になったのではないかと思います。
12月相場で上がった株・下がった株
そんな2023年12月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄)。
・2023年12月の売買代金トップ20
・2023年12月の値上がり率トップ20
・2023年12月の値下がり率トップ20
12月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
売買代金ランキングの注目株
【第1位】レーザーテック<6920> 8.4兆円
【第6位】東京エレクトロン<8035> 1.5兆円
【第10位】アドバンテスト<6857> 9214円
【第12位】ディスコ<6146> 8144億円
【第16位】信越化学工業<4063> 6452億円
【第17位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 6004億円
まずは11月のコラムの一文をご覧ください。
特に、売買代金トップを走り続けているレーザーテックの高値(上場来)は36,090円ですが、11月終値で33,040円まで上がりましたので、あと10%ほどの上昇で高値更新となります。
半導体株、そして日経全体の方向性と勢いを判断するために、このレーザテックの値動きは必ずチェックしておきましょう。
この、売買代金ダントツ1位のレーザーテック、12月に上場来高値を更新しました!
ただし、高値更新はしたものの、相場参加者が少ないせいか、そこまでの強さは感じられませんでした。それでも、東京エレクトロンやディスコ、信越化学工業など半導体関連の複数の銘柄が上場来高値を更新し、2024年に向けていい動きになってきたと思います。
引き続き注目していきますが、一貫して上昇していくということは考えづらいので、タイミングをしっかりと狙って、今後も大いにトレードして稼いでいきたい銘柄です。
2024年も半導体株は要チェックです。
【第2位】川崎汽船<9107> 2.3兆円
【第14位】日本郵船<9101> 6758億円
【第18位】商船三井<9104> 5956億円
ここにきて、まさかの海運株が高値を付けてきました。
イエメンの武装派組織が紅海で貨物船に向けてミサイル攻撃、海上輸送網の混乱と運賃上昇の思惑により株価が上昇、とのニュースがありました。
ただ、コロナ以降の海運株は、なんだかんだ上昇を続けています。今回の上昇は一時的なものかもしれませんが、海運株に関しては今後も追いかけておきたいテーマです。
値上がり率ランキングの注目株
【第6位】東京楽天地<8842> +59.0%(4,300円→6,840円)
【第12位】ベネフィット・ワン<2412> +40.0%(1,515円→2,123円)
2社ともにTOBによる値上がりとなりました。東京楽天地は東宝<9602>によるTOBです。
ベネフィット・ワンは、11月にエムスリー<2413>によるTOB(1株1,600円)が発表されて大きく上昇していましたが(+41%/1,073円→1,515円)、12月に入って第一生命ホールディングス<2412>がTOBを発表し(1株1,800円以上)、さらに株価が大きく上昇しました。
ベネフィット・ワンは現在パソナグループ<2168>の子会社ですが、今後TOB合戦に突入することを前提にした株価になっています。
東証では今後、「親子上場」に関して引き締めをしていく方針を示しています。それがこのようなTOBに直結するとは限りませんが、TOBによって解消できることも多いため、今後も、親会社もしくは大株主がいてかつキャッシュリッチである企業は狙い目かもしれません。
ただ、こういったTOB狙いは「いつになるかわからない」ので、時間のロスにもつながります。そのためトレード対象にはなりにくいものの、こういった銘柄に的を絞った「投資」をするのも面白いかもしれません。私自身はやりませんが、目立っていたのでピックアップしてみました。
【第3位】麻生フオームクリート<1730> +も66.4%(429円→714円)
【第11位】住石ホールディングス<1514> +41.8%(772円→1,095円)
TOBではありませんが、どちらも株式会社麻生<非上場>が大きく関わっており、「麻生関連株」として両社ともに大きく上昇しました。
住石ホールディングスは麻生が43%まで買い集めており、麻生フオームクリートはもともと麻生グループで70%近くの株式を保有しています。もしかしたら、どちらも「TOB」されるかもしれないですよね。知らんけど。
TOBは「狙って当てる」ことは不可能です。少数株主として辛酸をなめ続ける可能性もあります。あれこれ調べて「面白い」と思うのと、実際に日々のトレード銘柄として採用するのは分けて考えましょう。
とはいえ、マーケットという場所は本当にいろいろなことがあります。ひっくるめて楽しみながら付き合っていき、稼ぐべきところでしっかりと稼いでいきましょう!
2024年はいよいよ…?
12月はなんといってもレーザーテックの上場来高値更新です。2022年1月に高値を付けてから2年かけて調整し、高値を超えてきました。ここからどのように上昇していくか、要チェックです。
さらに、ここ数年の大きなテーマとなっている半導体関連株も全体的に上昇してきました。売買代金ランキングの上位を占めているこのテーマは、2024年もマーケットの話題の中心になるでしょう。2024年を勝ち抜くためには、半導体関連をしっかりと追いかけましょう。
また、海運株、特にピックアップした邦船3社も、ひと相場あるかもしれません。
上がり始めたアメリカ株とバブル後高値を狙う日本株。特に日本株は、バブル期につけた日経平均株価の史上最高値(38,915円)を超えてくる可能性が、非常に高いです。そのビックウェーブに乗れるように備えておきましょう!
2023年はこれにて営業終了です。
2024年もどうぞよろしくお願いいたします。
(本記事は「株の学校トピックス」からの転載記事です)