銘柄分析はどこまでやればいいのか? 一流の投資家が絶対に押さえる7つのポイントとは

朋川雅紀
2026年1月22日 15時00分

Alvin/Adobe Stock

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銘柄分析はどこまでやればいいのか?

個人投資家の皆さんからよく聞かれる質問の一つに、「一つの企業の分析にどのくらい時間をかけたらいいですか?」というものがあります。

これは、「ある会社の株を買うかどうかの判断を下すために何をすればいいのか?」という質問と同じだと思われますが、ここでちょっと気になることがあります。それは、たとえば3時間かけていろいろ調べて、「買おう」という結論が出たら、それで終わり……というニュアンスがある点です。

私が実際にやっていることは、それで終わりではありません。つまり、買いを実行しても、その銘柄をフォローして、調べるという作業をずっと続けます。

壁を塗る工程をイメージしてください。何重にも塗ることで壁の厚さが増すように、調べる作業を続けることで企業への理解が深まり、その企業に対する見通しに自信が持てるようになります。

投資対象として長く付き合うに値する会社である、という結論に達すれば、最終的には目標額まで保有を増やすことになります。しかし、最初はまず少しだけ買って、つまり「打診買い」をして、さらに自信が持てれば買い増すというステップになります。

自分の投資基準に合致して理想的な銘柄だと思えば、一挙にフルポジションまで買う、ということも可能性としてゼロではありませんが、基本的には少しずつ分けて買うのが望ましいでしょう。私の場合、通常2~3回に分けて買うようにしています。

買ったら終わりではなく、その後も調べ続けるというのは、そういう意味です。

徹底的に調べるよりも大切なこと

少々揚げ足取りのようになってしまったかもしれませんので、最初のアクション(買い)を行うべきかどうかの判断のために、どのくらいの時間をかけたらいいか、についてもお話をしたいと思います。買うのか買わないのか、買うのであれば最初はどのくらい買うのか、という判断に要する時間です。

まず、結論から先に言いますが、私は「〇時間を調査に費やす」というような目安は持っていません。自分の投資基準に合っているかどうか、どれだけ合っているのか、それがわかるまで調べます。

何かモヤモヤとしたところがあるから調べるのであって、わからないことがクリアになれば、それでいいのです。要は、ピンと来て、「これは行ける」と思えば買いますし、「ちょっと違うな」と思えば、買いは見送るということです。

徹底的に調べてから決める、というスタンスは素晴らしいかもしれませんが、それだと疲れてしまいますので、私はやりません。とはいえ、ポイントだけは押さえて判断します。そして、買った後に株価が大きく下がっても致命的なことにならない程度の少額でスタートします。

長い年月をかけて、その銘柄の専門家になればいいのです。決算を何度か経験し、企業活動に関するニュースをフォローしていけば、どういう会社なのか少しずつわかってきます。焦らず、じっくりその企業と向き合えばいいと思います。

実のところ、私の経験から言えば、比較的短い時間で結論が出たときのほうが、買った後の運用成績がいい傾向にあります。というのも、短時間で結論を出せるということは、自分のチェック項目が簡単にクリアできたことを意味するからです。

私の銘柄選び7つのポイント

では、私が実際どのような材料で投資判断を行っているかを、簡単にご紹介したいと思います。これらが、最低限押さえておくべきポイントとして重視している項目です。

私は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両方を使います。ファンダメンタルズ分析は、その企業について理解する第1ステップと、より深く掘り下げる第2ステップに分かれます。

・ファンダメンタルズ分析

【第1ステップ】
  • 成長性……売上、営業利益、EPS、キャッシュフローなどの過去の実績を確認
  • 収益性……粗利率、売上高営業利益率、売上高当期純利益率、総資産利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)などの水準やトレンドを確認
  • バリュエーション……フォワードEPSに基づいたPERについて、過去の平均との比較から割安水準にあるかどうかを確認。あわせて、業界他社の水準もチェック
【第2ステップ】
  • 競争環境……独占型あるいは寡占型の企業であれば非常に高く評価。そうでなくとも、マーケット・リ-ダーなら高く評価
  • 競争優位性……他社が簡単に真似できない独自のテクノロジー(技術)、ネットワーク効果(利用者が増えるにつれて利便性が高まる)、規模の経済、ブランド力などの優位性を持っているか(それらがあれば、長期にわたって利益を出し続けることができる)
  • 成長ドライバーとリスク要因……業績を押し上げる成長ドライバーは何か、そして、その成長を阻害するリスク要因は何か

・テクニカル分析

私はチャートを見て、「長期で上昇トレンド(順張り)かつ短期では下落トレンド(逆張り)」という銘柄を選びます。長期的には上昇している実績があるものの、短期的には、株式市場の状況や一時的な悪材料で株価が下落している銘柄です。

また、長期でレンジ相場(上限と下限の間を株価が行き来している)で、現在の株価がレンジ内の下限に位置する場合も、補完的に投資候補にします。

いずれにしろ、長期で下降トレンドを描いている企業は避けるようにしています。

小さく始めて、ゆっくり評価を定める

ファンダメンタルズ分析の第1ステップで確認する過去の財務、株価、バリュエーションなどのデータは簡単に入手できます。そこで、それらの数字が問題なければ、本格的な調査(第2ステップ)はせず、あとはチャートを確認するだけで、まずは少額投資します。

それ以外の評価を行うための情報は、そもそも簡単に入手できない場合もありますので、その後ゆっくりと会社の評価を行う、という流れです。

銘柄分析は、やればやるほど判断に迷うことがありますし、その間に株価のトレンドが変わってしまうかもしれません。実際に投資を始めることで、その企業に対する理解の後押しになることもあるでしょう。ぜひ参考にしてください。

[執筆者]朋川雅紀
朋川雅紀
[ともかわ・まさき]大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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