株のこと、どこで学んでいますか? 個人投資家のへのアンケートから見えてきた、意外な人気ツールとは

《オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、株式投資に取り組んでいる人々に、さまざまなアンケート調査を実施しています。そこから見えてきた、個人投資家・トレーダーの本音とは?》
新NISAの開始によって新たに株式投資を始める人が増加傾向にある中、株にまつわる情報も様々なところで提供されています。最近では、ウェブサイトやSNS、YouTubeなど、無料で学べる場も増えてきました。
個人投資家たちは実際どんな情報やサービスを利用しているのでしょうか?
株の学校ドットコムが、株式投資に取り組む全国の個人投資家800人を対象にアンケート調査を実施したところ、約半数の人が新聞・書籍やセミナー、スクールなど有料の情報を活用して株式投資について学んでいることがわかりました。
その一方で、およそ4分の1にあたる人々は、特に積極的な学習をすることなく株式投資に取り組んでいる、という実情も見えてきました。
調査結果の詳細は、株の学校ドットコムのウェブマガジン
「株の学校トピックス」に掲載しています。
きちんと勉強しているのは個人投資家の半分
株式投資について学ぶために利用しているものについて訊ねたところ、半数近い383人(47.9%)が、新聞・書籍のほかセミナーやスクールといった有料の情報・サービスを利用したことがあると回答しました。
それに対して、無料の情報やサービスのみで学習していると回答した人は225人(28.1%)で、お金を使ってしっかり勉強しようとしている人のほうが1.7倍ほど多いことがわかりました。

有料・無料にかかわらず「株を学ぶために利用したことがあるものはない」と答えた人も、192人(24.0%)いました。個人投資家のおよそ4分の1にあたる人は、特に学習することなく株式投資に取り組んでいるということになります。
依然高い支持を集める新聞・書籍・雑誌
具体的にどんなものを利用して学習いるのでしょうか。
有料の情報・サービスを利用したことがあると回答した383人によると、購入したことがあるもので最も多かったのは「日本経済新聞」で、半数を超える54.8%(210人)が株式投資について学ぶために読んだことがあると回答しました。
書籍は43.7%(168人)、株雑誌が40.7%(156人)で、やはり文字情報を通して学習している人が多いようです。

それに対して、単発開催のセミナーに参加したことがある人は3割(115人)いましたが、継続受講するスクールの利用経験者は8.6%(33人)と少数で、勉強会やYouTubeのメンバーシップなどもさほど多くはありませんでした。
使ったお金は10万円未満が過半数
有料の情報・サービスを活用して株式投資について学んでいる人は、どれくらいの金額を使っているのか? 383人に訊ねたところ「10万円未満」と回答した人が圧倒的に多く、55.6%(213人)にのぼりました。
その一方で、8人に1人は50万円以上使っており、100万円以上のお金を使っている人も2.1%(8人)いました。

得られるのは「知識」「技術」に「心の支え」も
個人投資家の多くが、有料の情報やサービスも活用しながら株式投資についての知識を深めている実態が見えてきましたが、では、具体的にどんな情報が役立っているのでしょうか?
自由記述形式の回答から一部を抜粋してご紹介します(〔〕内は弊社による補足)。
- 「売却するルールを設けることを書籍から学びました。塩漬けになり、取り返しのつかないことは回避できたのかなと思います」(30代・男性)
- 「始めたばかりの頃、オンラインセミナーで基礎的なことを1から学び取引開始の役に立った」(44歳・女性)
- 「ネットで買った株のスイングトレードの情報商材。スイングトレードで売買のタイミングを判断するのに役に立っています」(40歳・男性)
- 「日経新聞主催の株式セミナー:会社の代表(もしくは財務責任者)から直接話を聞く機会があり、それに基づいて株式投資先を決定した」(52歳・男性)
- 「講演会にて株だけでなくNISAについても現在の状況や根本のお話が分かりやすかった」(24歳・女性)
- 「投資情報雑誌の個人投資家やプロ投資家の経験談や投資に取り組む際のマインドに関する記事。相場が荒れている時や損失が出ている際に落ち着いて判断するための心の支えになっている」(50歳・女性)
- 「ユーチューブのメンバーシップでメンタルの大切さを学べた」(43歳・男性)
- 「ウェブセミナーが役に立った。 実際のプロ取引手法を知り、それを参考にしてから成績が向上した」(48歳・男性)
- 「20年以上前になるが、証券会社のオンラインセミナーで〔学んだ〕チャートの見方は今でも役に立っている」(71歳・男性)
- 「株式投資をするときに、新聞で日々の株価変動や市場の動向、企業の業績などを把握することができます。特に、日本経済新聞では、企業の詳細な情報を把握するのに、役立つとおもいます」(74歳・女性)
無料の情報・サービスだけを利用していると回答した225人にも、どんなところで、どんなことを学んだのかを聞きました(〔〕内は弊社による補足)。
- 「スクリーニングの見方、使い方 証券会社主催の無料セミナーで学んだ 個別銘柄の業種、業績や財務の各種指標を含む情報 個別銘柄を購入する際、良し悪しの目安となった」(43歳・男性)
- 「ユーチューブのデイトレーダーの切り抜き動画が役に立ちました。一番役立った情報は、平均線の使い方でした」(48歳・男性)
- 「〔企業の〕個人投資家説明会 事業内容や戦略など、参考になることが多い」(56歳・女性)
- 「素人のブロガーの方が書いていた経験談。暴落した時の心構えができてよかった」(36歳・女性)
- 「youtubeで長期で低コストのインデックスファンドを積み立てするのが良いと学んだ 下落時でも狼狽売りなどしなかった」(37歳・男性)
- 「社員持株会について社内研修を受講。ドルコスト平均法で一定額購入を継続し、確実に取得できた」(74歳・男性)
- 「無料のサイトでどこか忘れたが自分の投資スタイルを確立する大切さが役立っている」(45歳・男性)
- 「証券会社に勤務していた親戚から教えてもらった」(71歳・女性)
- 「知人・友人との会話・情報。実際の株の取引き、購入株、我慢のしどころとか、役にたちました」(35歳・女性)
自己責任の株式投資には学びが不可欠
インターネット上に無料の情報が数多く提供されている昨今ではありますが、株式投資においては、半数近い人が実際にお金を投じて学習していることがわかりました。
無料の情報を利用している人も含めると全体の4分の3にあたる人が株について学んでいることになり、真剣に取り組もうという人々の心意気を感じられる結果となりました。
なかでも、新聞や書籍・雑誌といった従来からある教材が依然として多くの人から利用されていることもわかりました。これらの媒体は他と比べて価格が手頃なものが多いことも、学習の入り口として広く活用されている要因になっているのかもしれません。
具体的には、損失や塩漬けを回避できたといった技術的な知識が実践に生かされたというコメントのほかに、心の支えを得ることができたなどメンタル面での学びにつながったと回答した人も多く、学習が株式投資の土台となっていることがうかがえます。
その一方で、学習せずに株式投資に取り組んでいる人が全体の4分の1にのぼる、という課題も明らかになりました。
「みんなやっているから」といった理由で株を始める人も多いのかもしれませんが、投資はすべてが自己責任の世界であり、誰かが損失を肩代わりしてくれることはありません。しっかりと学習し、リスクを把握した上で、自分自身にあった方法で取り組むことが大切です。