どこで学ぶ? いくら使う? 誰と話す? 個人投資家に聞いた「株式投資の学び方」の実態
オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、株式投資に取り組んでいる個人投資家を対象として、さまざまなアンケート調査を実施しています。今回は、株式投資についてどのような「学び」を実践しているか、20代から70代までの約500人に聞きました。そこから見えてきた意外な実情とは?
- 若い世代ほど、さまざまな方法で積極的に学んでいる
- 20代で株式投資の学習に20万円以上使っている人は6割超
- 20代は株式投資の情報交換にも積極的
- 70代は2人に1人が証券会社等の営業担当者の意見を参考にしている
株を学ぶのは本? それともセミナー?
今回の調査ではまず、株式投資についてどういったものを活用して学んでいるかを聞きました。
その結果、多くの項目で20代・30代の数値が高く、さまざまな方法で学んでいることがわかります。それと同時に、年代が上がるにつれて数値が低くなる傾向が見られ、若い世代ほど熱心に勉強していると見ることができそうです。
顕著な特徴がみられたのは「新聞・雑誌」で、20代と70代では正反対の傾向が浮き彫りになりました。
20代は、ほとんどの項目で全体平均よりも高い数値が出ていますが、唯一、全体平均よりも低かったのが「新聞・雑誌」です。一方の70代は、ほとんどの項目で全体平均よりも低い数値ですが、唯一、全体平均よりも高かったのが「新聞・雑誌」だったのです。
全体として最も割合が高かったのは「書籍」(42.8%)で、手頃であることから学習の入り口になっていることがわかります。
その一方で、「DVD」や「通信教育」「セミナー」「スクール」といった、ある程度のお金を投じる必要のあるツールについては、20代・30代といった若い世代の割合が高く、ここからも、若い人ほど株式投資の学習に積極的にお金を使っている実態が見えてきます。
株を学ぶために、いくら使った?
続いて、株式投資について学ぶために何らかを「購入したことがある」と回答した人に、これまでに学習のために使った金額を聞いてみました。
その結果、20万円以上を使った人の割合は、意外にも20代が最も高く、61.1%でした。全体の32.3%を28.8ポイントも上回り、突出して高い結果となっています。さらに20代は、50万円以上を使った人の割合も高く(25.0%)、60代(27.8%)に次ぐ数値です。
前項で見たとおり、20代は「DVD」「通信教育」「セミナー」などを積極的に活用していることが、費やした金額にも反映されているのだと推測されます。
実は、この調査より前に行った別のアンケート調査では、現在の投資状況が「含み益」となっている人の割合は20代と30代が最も高く(74.0%)、また、「含み損」の人の割合を見ても、20代が最も低いという結果が得られています。
今回の調査で見えてきたように、自らのお金を積極的に投じて真剣に学んでいることが、この世代で7割を超える人たちが「含み益」となっていることの背景にあるのかもしれません。
株について話し合う相手は?
株式投資について普段、情報交換などの会話をする相手についても質問しました。若い世代ほど数値が高くなる傾向にあったのは「友人」と、意外にも「ファイナンシャルプランナー」でした。
「友人」については20代が35.3%と最も高く、60代は13.4%、70代では12.4%まで下がりました。「ファイナンシャルプランナー」についても20代が最も高く(23.5%)、60代は1.2%、70代は2.3%。どちらも20ポイント以上の差がついています。
特に「ファイナンシャルプランナー」については、40代以上が活用するイメージもあるなかで、若い世代が積極的に使っている意外な実態を垣間見ることができました。
一方で、株式投資について「誰とも話さない」と答えた人も、全体で31.7%に上りました。
その中にあって、20代は他の世代と比べて低く(23.5%)、最も積極的に情報交換していることがうかがえます。70代(25.8%)も20代に次いで低い結果でしたが、会話する相手が異なっており、「証券会社等の営業担当者」の割合が33.7%と他より飛びぬけて高くなっています。
なお、「誰とも話さない」割合が最も高かったのは50代の39.1%でした。
誰の意見を参考にする?
株の売買にあたって誰かの意見やアドバイスを参考にするかどうかを質問したところ、ここでも20代は「友人」「ファイナンシャルプランナー」が他の年代と比べて高い結果になりました。「投資顧問などの有料サービス」では、すべての年代の中で最も高い数値を示しています。
20代はすべての項目で全体を上回っており、さまざまな人の意見やアドバイスを積極的に取り入れているようです。
一方の70代では、やはり「証券会社等の営業担当者」の意見を参考とする割合が突出して高い結果となりました。全体平均の37.5%よりも16.4ポイント高い53.9%で、全項目で唯一50%を超えました。
選択肢として挙げたすべてについて「参考にしない」と回答した人も、全体で26.9%いました。最も割合が多いのは60代の32.9%で、50代とともに3割を超えています。
50代と60代は、前項の「株式投資について会話をする相手」でも「誰とも話さない」と答えた人の割合が高く、また、「株式投資について学ぶために購入したもの」「〜これまでに使った金額」では、他の世代と比べて数値が低い傾向にあります。自己流で取り組んでいる人が多いのかもしれません。
株式投資には十分かつ適切な学びが不可欠
株式投資は、自身の大切なお金を投じる行為であるとともに、そのお金を失うリスクを伴う行為です。損失を最小限に留め、望む成果を得られるようになるには、それに見合った学びが欠かせません。
しかしながら、今回の調査では、「株式投資について学ぶために購入したことがある」の選択肢すべてについて「購入したことはない」と答えた人が全体で4割以上もいました。多種多様なサービスが提供されている昨今、無料のサービスやツールをうまく活用して学んでいる人も多いのかもしれません。
その一方で、他の年代と比べて収入が多くないと考えられる20代や30代が積極的にお金を投じて学び、情報収集に努めていることは、株式投資に真剣に取り組む姿勢を表していると同時に、7割以上が含み益になっているという成果にもつながっているのではないでしょうか。
株式投資においては、誰かのやり方をただ真似するのではなく、自分自身に最も合ったスタイルを確立することが何よりも大切です。それには、株式投資について体系的に学ぶだけでなく、さまざまな手法・スタイルに基づく意見を知ることも重要でしょう。
ただし、他人の意見を鵜呑みにして極端なリスクを取ってしまうことは、最もやってはいけないことのひとつです。自分自身で判断を下せるようになるための学びが大切です。
2022年度から高校の家庭科で『資産形成』の授業が必修化されましたが、本来は年代にかかわらず、株式投資に取り組もうとするすべての人に十分かつ適切な学習が必要です。そのためには、優良な学習環境の整備が求められます。
株の学校ドットコムでは、これまでも幅広い層に向けて株式投資の本質を伝えてきましたが、今後もより一層、株式投資の意義と学びの重要性について啓蒙してまいります。