トレードは幸せを運ぶ? 株式市場におけるトレーダーの存在意義とは
トレードは不謹慎?
「苦しんでいる人がいるのに、デイトレードで儲けようなんて不謹慎だ」
2011年3月、東日本大震災の後にはこうしたコメントを多く目にしました。他にも、たくさんの人が苦境に立たされるような場面において、「トレード」というものに対して批判的な意見が出ることは多く、そう感じてしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
しかし、それが全て真実でしょうか?
経済の仕組みの中でトレーダーが果たす役割は、実はとても重要です。日本という国は資本主義社会であり、株式市場というのは資本主義の根幹となる、重要なインフラといえます。
ここで注目をしなければいけないのは、デイトレードなどの短期売買を行う、いわゆる「トレーダー」と呼ばれる人たちは、市場の流動性を生み出している存在であるということです。
もし彼らが、不謹慎だからといって株式の売買をやめてしまうと、市場の流動性は著しく減少してしまいます。これはどういうことかと言うと、例えば、保険会社が保険金を支払うために持っている証券を売ろうと思っても、流動性がないから売れない、ということになってしまうのです。
トレーダーは市場の流動性を生み出している存在であり、株式市場だけでなく、経済社会の中で非常に重要な役割を担っていることを忘れてはいけません。
トレードの成績に与える影響
世間では、株取引について偏見をもたれることも、まだまだ多いかもしれません。しかし、もしこれを読んでいるあなたが、短期で株式売買を行う「トレーダー」なのであれば、その社会的意義を忘れないでください。
トレーダーの社会的意義を認識しているかどうかは、あなた自身の株取引に対しても大きな影響を与えます。
実際に株の売買をする場面で、「私の行為の社会的意義はこれだ!」と宣言する必要はありませんが、自分がどういった行為のために日々努力しているのかという「自分の行為に対する意味づけ」は、場合によっては、その人の成果に大きな影響を与えることが心理学的にも示唆されています。
「自分のやっている行為が世間的に望ましいことである」と思えているか、それとも「社会的価値のないことを目指している」と自分自身で思っているかは、学習の進度や土壇場での力の発揮、モチベーションの維持など、あらゆる側面に関係するのです。
株式の長期投資については、「企業の成長に資金提供を行うという形で貢献する」という意味で価値のある行為ですし、その社会的意義は比較的理解しやすいものだと言えます。
それに対して、デイトレーダーのように短期的な売買益で収益を上げることを目指すトレーダーが、どのような価値を生んでいるのか、どのような社会的意義を果たしているのかはわかりにくいため、なかなか理解が浸透していないのが実情です。
しかし、トレーダーは社会に対してきちんと価値を提供していますので、誤った見方で、あなたがトレードで稼ぐ可能性をみすみす狭める必要は全くありません。
トレーダーは「流動性」を提供している
あらためて言いましょう。トレーダーの社会的価値、それは「流動性の提供」です。流動性とは、簡単に言うと、好きなときに売買ができるかどうかです。
例えば、あなたが賃貸用の不動産物件を持っているとします。急に現金が必要になり、その物件をすぐに売却できるかというと、そうではないですよね? すぐに買い手が現れればよいですが、場合によっては1年たってもなかなか売れないということもあります。
一方、株式は不動産と違ってすぐに現金への交換がしやすいので、流動性資産と呼ばれます。
そして、株式に流動性があるのは、デイトレーダーのように日々株式を売買している人がいるからです。もし、市場に参加しているのが長期投資をメインとした投資家ばかりだとしたら、好きなときに株式を売買することは難しくなるでしょう。
トレーダーが株式市場に対して流動性を提供しているのは、紛れもない事実です。
例えば、未公開の株式よりも株式市場に上場している株式のほうが何倍も価値が高いのは、なぜでしょうか? ベンチャー企業が株式を上場(IPO)して公開企業になるとき、創業者は持っている未公開株式が上場株式に変化することで莫大な利益を手にしますが、これは何を意味すると思いますか?
それは、「流動性のない未公開株式」と「流動性の著しく高い公開株式」との価値が、同じ企業であっても何倍も、場合によっては何十倍も異なるということです。だからこそ、未公開企業が上場するときには、株価が何倍も何十倍も値上がりするのです。
あなたがソニーグループの株を買うかどうか検討しているとして、もし、売りたくなってから1年以上も売れない可能性があるとしたら、その株を買いますか?
同じソニーグループの株式で、買ってから1年間まったく売ることができない株と、いつでも時価で売れる株と選べるとしたら、どちらの株を買いますか? いつでも時価で売れる「流動性の高い株」を欲しがる人のほうが多く、株価が高くなることは容易に想像できますね。
多くの優良企業の株式が証券取引所で日々売買されていて、流動性が著しく高い──これこそが日本が一流の資本主義国でいられる重要な要素であり、その流動性を支えているのは、毎日大量の株式を売買する機関投資家や証券会社の自己売買部門、そして、トレーダーなのです。
つまり、短期売買を行う人がいるから、上場株式の株価が高い状態で居られるのです。
トレーダーは誰かを「幸せ」にしている
トレーダーの社会的意義については、このような見方もできます──「あなたが株を売買することは、誰かの幸せを応援していることになる」。すぐにはピンと来ないかもしれませんが、ひとまず、あまり複雑に考えずに読み進めてください。
株に対してあまり知識がない人の場合、株取引というのは、東京証券取引所や証券会社に株券の在庫が大量にあって、それを売買しているというイメージを持っていることがあります。
しかし実際には、証券取引所や証券会社と売買するのではなく、市場に参加している人たちの間で売買が行われます(信用取引など、証券会社が持っている株を借りることはありますが)。
例えば、あなたがソニーグループの株を買ったとすれば、どこかの誰かがソニーグループの株をあなたに売ったということです。あなたが、手に入れた株を売ったのなら、どこかの誰かがその株を買ってくれたのです。
この「どこかの誰か」が、個人のトレーダーや投資家なのか、それとも機関投資家なのかはわかりませんが、需要と供給があるから株式市場での売買が成り立つわけです。買ってくれる人がどこかにいるから、あなたは持ち株を売ることができるのです。
言い換えれば、あなたが売買をすることは、誰かの需要を満たしているといえます。そこには、こんなふうに思っている人たちがいるでしょう。
「世界に誇る日本のソニーだから、将来のために投資をするならソニーの株を買いたい」
「来週あたりソニーの株が上がりそうだから、いま買っておきたい」
「いま持っているソニーの株価がどんどん下がってきてしまった。これ以上の含み損には精神的に耐えられないから、今の時点で売ってしまいたい」
彼らは、自分の幸せのために、自分の意思で売買をしています。その需要を、あなたが売買をすることで満たしているのです。自由意志で参加できる市場において誰かの需要を満たしているのですから、タンス預金なんかより、よっぽど価値が高い行為といえるのではないでしょうか。
それが顕著なのは、株価が乱高下する相場です。市場のほとんどの人が一斉に売りに走ったとき、誰も買い手がいなかったら、いつまでもストップ安が続きます。
このとき、なんらかの理由で買う人間がいるからこそ、その日の株価がつき、パニックが収まるきっかけを提供できるのです。「どうしても損切りをしたい」という人に対して、流動性を提供する人だけが、その人の需要を満たしてあげられるのです。
自信をもって成果を出そう
株のことをよく知らない人たちの偏見に左右され、トレードに心理的なブレーキをかけてしまうのは、もったいないことです。
シンプルに、「自分が売買することで、誰かの需要を満たしている。つまり、誰かの幸せを応援してあげている」と考えてみてはいかがでしょうか。
ただし、こうした「トレーダーの社会的意義」を、誰かに説明して理解してもらう必要はありません。友人や会社の人に「自分はトレードをやっている」と宣言して、共感を得られなくても問題ありません。トレードに対して誰がどんなイメージをもっていても、関係ないのです。
あなた自身が、自分の行為に自信をもって、その成果を伸ばしていくことが、とても大切です。
トレードを通して市場に流動性を提供し、経済の発展に寄与する。自分が豊かになることで周りを豊かにする。その過程においても社会的な価値を生み出していることを、どうか忘れないでください。
そもそもトレードって?
「投資とトレードは何が違うの?」
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