株価はどこまで下がるのか 「節目」を意識して次なる下落に備える【株初心者のための13選】
《株価は好調、さらに新NISAのスタートで、新たに株式投資を始める人が増えています。そこで、株初心者にぜひ読んでほしい記事を、ベテランの個人投資家である岡田禎子さんがセレクト。株式投資の醍醐味と教訓がつまっています》
[編集部注]本記事は2020年3月23日に掲載された記事の再録です
暴落相場の処方箋
新型コロナウイルスの感染拡大により、株式相場はジェットコースター並みの上げ下げを展開しています。各国政府が協調して対応する姿勢をとっているものの、収束はまだまだ遠く、株価も底が全く見えない不透明な状況が続いてます。
このようなときこそ、パニックにならず、冷静な目をもって投資を行いたいもの。でも、一体どうすれば「冷静な目」をもてるのでしょうか。暴落時でも冷静さを保つために意識したい「節目」について考えてみます。
節目を意識して冷静さを保つ
株価が暴落したときは誰もがパニックになりがちですが、「節目」となる数字を意識して売買することで、冷静に対処することができます。
ジェットコースターに乗る場合でも、真っ暗闇の中で乗るのと、どこまで落ちるのか実際に目で確認してから乗るのとでは、同じように絶叫しても恐ろしさの度合いが全く違いませんか? それと同じで、節目を意識すると、一定の目安をもって相場にのぞめるため、クールな頭で投資を行うことができるようになるのです。
節目を確認する4つのポイント
暴落時は業績の良い銘柄も悪い銘柄も一緒くたにして売られまくるため、個別銘柄というより、まずは日経平均株価の節目を意識することが大切です。
【ポイント1】過去の暴落率
過去の〇〇ショックの際に、日経平均株価がどのくらい下落したかを確認します。
たとえば、新型コロナショックが始まったとき、まずは2002年のSARSのときの−10%が意識されました。その後、1987年のブラックマンデーの際の−20%を突破し、3月19日には16,358円の安値をつけるなど、高値から32%の下落となっています。
一般的に、暴落しても最大−30%程度と言われますが、その水準に達したということです。次の節目はリーマンショックの−40%。そこまで下がるのかどうか、市場の注目を集めています。
これらを参考に、日経平均株価の直近高値24,115円(1月17日)から節目を計算すると、以下のようになります。
- SARS危機 :−10%(21,704円)
- ブラックマンデー:−20%(19,292円)
- 一般的な暴落率 :−30%(16,881円)←いまこの辺り
- リーマンショック:−40%(14,469円)
- 未知の領域? :−50%(12,057円)
【ポイント2】切りの良い数字
日経平均株価の場合、「東証終値19,000円割れ」などとメディアの見出しに踊るように、20,000円、19,000円、18,000円、17,000円、16,000円……といった切りの良い数字が節目となることが多くあります。
特に合理的な理由はありませんが、日本の投資家はこの切りの良い数字を意識してトレードする傾向が強いため、結果として、その数字が節目となることが多くあるのです。
【ポイント3】過去のチャート
過去のチャート上にも節目は現れています。当初は2018年12月26日につけた18,948円が節目でしたが、現在は2016年11月につけた16,111円が意識されています。
【ポイント4】バリュエーション
バリュエーション面からも節目を確認することができます(以下は3月19日終値ベース)。
- PBR:現在のPBRは0.84倍で、リーマンショック直後の0.81倍とほぼ同じ水準。企業の解散価値であるPBR1倍をすでに割れています。
- PER:現在のPERは10.76倍。過去は12〜14倍で推移しており、それよりも低い水準となっています。
現在の株価はバリュエーション的には説明できない水準まで売り込まれている、と言えます。
節目がわかれば怖くない
これら4つのポイントから、今後下値の節目として意識される数字は以下のように考えることができます。
- 16,881円……高値から−30%
- 16,000円……切りの良い数字
- 16,111円……チャート上の節目
- 16,794円……PBR0.81倍(リーマンショックと同水準)
- 16,040円……PER10倍
新型コロナウイルス騒動で経済が止まっている今、中央銀行や国が手を尽くして金融政策や財政政策を打ち出していますが、ヨーロッパやアメリカでの感染のピークアウトがいつなのかは不透明です。言い換えれば、株式相場の底はまだ見えないと言わざるを得ません。
急降下する株価を見ると、「どこまで下がるかわからない」という恐怖に駆られてしまいがちですが、そもそも暴落というのは過去にも何度も起きており、また、今後も起こり得ます。過去の例に学び、節目を常に意識することで、必要以上の恐怖心を抱かずに済むようになるのです。
(初出:2020年3月23日)
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[選]岡田禎子
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)