2月の株価はどうなる? 底堅い相場で期待されるのは高配当株と、それから…
《2月はバレンタイン、3月はひな祭り……と、月によって誰もが思い浮かべる共通のイメージがあるように、実は、株式投資にも「◎月といえば▲▲▲株」といったお決まりの銘柄があります。では、2月に恒例の上昇しやすい銘柄とは?【今月の株価はどうなる?2025】》
〈参考〉最も株高・株安になりやすいのは何月? 意外と知らない株式相場のパターンとは
2月に上昇しやすい銘柄は?
2月は相場に底堅い動きが見られる月です。
1月の新春相場の勢いから2月の上昇へと続きます。ただ、その後は第3四半期の決算発表を控えて次第に調整局面へと移っていきます。
そんな2月相場で株価が上昇しやすいのは、どのような銘柄でしょうか?
過去10年(2015〜2024年)で、2月の勝率が高かった銘柄を調べてみました。6勝4敗というまずまずの成績の日経平均株価よりも高かった銘柄の顔ぶれを見ると、外食、卸売、建設、食品、パルプ・紙、電気機器など様々な業種が並びます。
もちろん、過去に上昇したからといって今年も上がるとは限りませんが、相場の季節性(アノマリー)からその傾向や特徴を読み解くことで、効率的な物色がしやすくなります。
2月のアノマリーで上がる株
2月に強い銘柄として知られているのが、東和フードサービス<3329>です。
過去10年は9勝1敗。前月比の騰落率は2021年が+2.02%、2022年が+1.26%、2023年が+2.49%、2024年は+2.82%で、コンスタントに好成績をマークしています。
この株価上昇のポイントとしては、同社の成長性と第3四半期決算発表があげられます。
東和フードサービスは高級喫茶「椿屋珈琲」を筆頭に、パスタの「ダッキーダック」、イタリアンダインイング「DONA」などを首都圏で直営展開しています。
主力の「椿屋珈琲」はサイフォンで淹れたこだわりのコーヒーを提供し、「レトロで癒される」と大人気。大正ロマン溢れる店内では、至福の「ひとり時間」を過ごしたい若い人や、日本の洋食の定番を求める外国人客も多く訪れています。
近年では、外食需要の高まりとインバウンド消費による好影響から業績を順調に伸ばしている東和フードサービス。同社の利益は下期偏重型で、2月後半に発表される第3四半期決算では近年好決算が続いており、これが株価上昇につながったと考えられます。
今期(2025年4月期)も11月発表の中間決算では今期経常利益を33%上方修正し、配当も1円増配。営業利益率も5.9%→7.3%に改善されており、業績は絶好調です。
足元も、2月3日に発表された1月の既存店売上高は103.2%をマークし、6か月連続で前年実績を上回る好調となっています。これを受けて株価は上方向へ切り返しとなっています。
高配当株が買われやすいタイミング
3月末に割り当てられる配当の権利付き最終売買日(今年は3月27日)に向けて、2月は高配当利回り株が買われやすいタイミングとなります。
背景としては、これまで配当を意識していなかった投資家たちも、3月の権利付き最終売買日を意識し始める、という理由があります。また、NISAの成長枠投資で高配当株を組み込む動きも、こうした流れを後押しする要因となりそうです。
1月のNISA口座を通じた買付金額の上位には、三菱商事<8058>や日本電信電話<9432>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、商船三井<9104>といった高利回り株が並びます。保有残高の上位にもこれらの銘柄が入っており、人気は持続しそうです。
また、特にこの時期に活躍が目立つのが、連続増配の高利回り株です。なぜなら、高い利回りであっても配当の伸びが見込めない、将来的な減配も懸念される低成長の銘柄よりも、継続的に増配を実施している企業のほうが投資家に選好されるからです。
三菱HCキャピタル<8593>や芙蓉総合リース<8424>、みずほリース<8425>などは18年以上も連続増配を実施しており、なおかつ2025年3月期も増配予想、配当利回りも4%程度と高く、投資家の関心が向かいやすくなりそうです。
春節の大移動で注目の銘柄
2025年の中国の春節休暇は1月28日から2月4日の8日間。この期間には延べ90億人が大移動します。
春節は、中国人が最も海外旅行に出かける時期のひとつで、人気の旅行先は日本や韓国、東南アジアなど近隣国です。グループ旅行だけでなく若年層を中心に個人旅行や旅行スタイルを選ぶ人も増加傾向にあります。
さらに、ビザ緩和を含めた日中関係の改善により訪日中国人客数の押し上げが期待されています。
観光庁が発表している「インバウンド消費動向調査」によると、中国人の1人当たり旅行支出は約27万円で、うち買い物代は約12万円と4割を占め、他国よりも比率が最も高くなっています。中国人観光客にとっては、やはり買い物は旅行の大きな目的のひとつのようです。
では、彼らは何を買っているのでしょう? 先ほどの報告書によると、中国人観光客は他国よりもバッグなどブランド品や化粧品・香水、宝石・貴金属を好んで購入しているのが特徴です。
ただし、化粧品では百貨店でのカウンセリング体験や、「@cosme TOKYO」のようなバラエティに富む商品から自分に最適なものを購入する「体験型」が支持されているようです。
このような中国人観光客の圧倒的な購買力を軸に春節関連銘柄を挙げるとしたら、百貨店や化粧品、ディスカウントストアなどでしょうか。
- 百貨店……三越伊勢丹ホールディングス<3099>、高島屋<8233>
- 化粧品……マツキヨココカラ&カンパニー<3088>、資生堂<4911>、アイスタイル<3660>(アットコスメを運用)
- 菓子など……パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>(ディスカウント店「ドンキホーテ」を展開)
2月の日経平均株価はどう動く?
過去のチャートを確認すると、2月の日経平均株価は前半堅調で、後半にかけては下落しやすい、といった特徴があります。
「節分天井・彼岸底」という相場格言もあるように、ちょうど節分の頃までは年初からの需給の強い上昇が続きます。しかしその後、3月期決算企業の決算発表といったイベントを控えて、次第に調整局面になりやすいためです。
またここ数年は、アメリカの金利動向に左右されやすくなっています。
2025年の米FRBは2回の利下げを予定しており、3月のFOMCで利下げを決定する、といった声もあります。トランプ新政権の下、物価の下げ渋りが解消するのか、雇用や景気はどうなのかなど、経済指標を確認しながら動向を見守りたいところです。
世界が注目する決算発表
2月26日には世界中が注目する米エヌビディア<NVDA>の決算発表があります。
昨年は、同社の超絶決算によって日本の半導体関連株も連れ高となり、日経平均株価は1989年の大納会でつけた史上最高値の38,915円を更新するほど上昇しました。
ただ現在は、エヌビディアの高成長に対して市場の慣れが出てきているため、期待のハードルは高く、よほどインパクトのある決算が出なければむしろ失望売りにつながる可能性もあります。
日本株にも大きな影響を与えるエヌビディアの決算発表には、ぜひ注目しておきましょう。
自分のための“チョコ”を見つけよう
底堅い動きが期待される2月相場の傾向と、2月に株価が上昇しやすい銘柄をご紹介しました。もちろん「恒例」だからといって今年も必ず上がるとは限りません。
さて、2月といえばバレンタインデー。
2025年のトレンドは「自分チョコ」を買うだけでなく、「新しいチョコとの出会い」を求めて百貨店の特設会場に行き、期間限定のイベントやイートインなどでさまざまな体験を楽しむ「体験型」だそう。
バレンタイン関連銘柄といえば菓子メーカーと小売店ですが、菓子メーカーはカカオの価格高騰で悲鳴をあげている状態。
一方で、百貨店は春節でも注目されるため、リサーチがてらのぞいてみて、自分チョコを買うついでに投資のヒントを見つけるなど、この時期ならではの体験を味わってみるのも面白いかもしれません。