嫌な雰囲気で終わった相場… プロがいま注目する3つの強い銘柄群とは

窪田 剛
2025年3月1日 11時00分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

2025年2月相場を振り返って

ズコーッ!と下抜けちゃいました。

月末最終日、約半年間におけるレンジの下値を支えていた日経平均株価38,000円を大きく割り込んでしまいました。一時37,000円も割り込んで36,840円まで下落。嫌な雰囲気で終わっています。

この下落は一時的なものなのか、それとも下降トレンドの始まりなのか。慎重にならなくてはいけない時期になってきました。しっかりと振り返って、3月に備えようぜ!

2月相場で上がった株・下がった株

そんな2025年2月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズ)。

・2025年2月の売買代金トップ20

・2025年2月の値上がり率トップ20

・2025年2月の値下がり率トップ20

2月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

大きく下落し、全体を引っ張る

売買代金ランキング

【第1位】フジクラ<5803>       3.47兆円
【第2位】ディスコ<6146>       2.79兆円
【第4位】アドバンテスト<6857>    2.13兆円
【第6位】レーザーテック<6920>    1.69兆円
【第8位】東京エレクトロン<8035>   1.62兆円
【第11位】ソフトバンクグループ<9984> 1.46兆円

「半導体関連」改め「生成AI関連」ですが、2月は、売買代金ランキング上位20銘柄のうち6銘柄となりました。定点観測していますが、だいぶ減ってきています。

株価も大きく下落しています。頼みの綱であるアメリカの半導体大手エヌビディア<NVDA>も、決算の数字自体は良かったものの、あらかじめ良い数字を織り込んでいた株価は下落する結果になってしまいました。

その結果、日経平均株価の大きなウエイトを占めているこれら銘柄群が全体を大きく下に引っ張る……という結果になりました。

今後しばらくは相場を牽引するような動きにはならなそうですが、AI自体の進化は想像を超えるスピードですので、とんでもないゲームチェンジが起きる可能性はあります。監視はしておきましょう。

引き続き、強いです

売買代金ランキング

【第3位】IHI<7013>   2.29兆円
【第7位】川崎重工業<7012> 1.67兆円
【第10位】三菱重工業<7011> 1.53兆円

トランプ銘柄の3兄弟、防衛関連です。引き続き、強いです。月末最終日には売られてしまいましたが、それでもチャート自体は崩れていません。

現状、マーケット全体を見渡してみて強いセクターが3つあるのですが、そのうちの一つです。しっかり見ておきましょう。3部門中では2位かな。

じわり前線を押し上げ

売買代金ランキング

【第5位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 1.80兆円
【第16位】三井住友フィナンシャルグループ<8316>   1.06兆円
【第20位】みずほフィナンシャルグループ<8411>    8000億円

全体が弱い中、比較的強いのが銀行株です。やはり金利高が業績にポジティブに働いています。ネット銀行も強いし、じわりじわりと前線を押し上げている感じが実に銀行っぽい上昇の仕方で、好感が持てます。

派手さはないけれど、しっかり監視しておきたいセクター。3部門中3位かな。

強いセクター第1位は…!

さて、3部門中1位はどこか。それはねぇ、ぜひ考えてほしいですね。もし知りたい方は、私のX(旧ツイッター)をフォローしたうえで@がDMをください。

って、フォローとかメンドクサイですよね……ということで書いちゃいます! はじめから書けよって? まぁ、いいじゃないですか。ちゃんと書きますから。では、いま強いセクター1位は何か。

それは、ゲーム・IP関連です。「IP」とは「知的財産(Intellectual Property)」のこと。

売買代金ランキング

【第12位】ディー・エヌ・エー<2432> 1.24兆円(値上がり率35位:+45.4%)
【第13位】ソニーグループ<6758>   1.10兆円
【第14位】任天堂<7974>       1.08兆円
【第18位】サンリオ<8136>      8393億円

ランキング上位には入っていませんが、こういった銘柄も比較的強く推移しています。

  • バンダイナムコホールディングス<7832>(売買代金51位:3294億円/値上がり率66位:+29.0%)
  • コナミグループ<9766>(売買代金92位:2023億円/値上がり率72位:+27.7%)
  • コーエーテクモ<3635>
  • スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>
  • グリー<3632>
  • MIXI<2121>

全体がこのまま下落していくのであれば、こういった銘柄もいずれ足を引っ張られるはずなので、積極的に買いに向かう局面ではないのですが、もしここから反発するのであれば、間違いなく、短い間かもしれないけれど、相場を引っ張ってくれるセクターになると思います。

ついでに書いちゃうと、アシックス<7936>やキオクシアホールディングス<285A>、パナソニック ホールディングス<6752>あたりも強いので、一緒に見ておくのもいいかもしれません。私は見ています。

私は怖くて触れません

値下がり率ランキング

【第2位】リミックスポイント<3825> -38.1%(695円→430円)
【第9位】メタプラネット<3350>   -32.7%(4925円→3310円)

ビットコインがこの1か月で1600万円から1200万円まで約25%も下落しました。それに伴い、ビットコイン以上に買われていた、いわゆるビットコイン関連銘柄が値下がり率にランクインしました。

私は、ビットコインそれ自体はとても素晴らしいものだと思っていますが、ビットコイン関連銘柄は、その他の事業をしっかりやっているマネックスグループ<8698>しか手を出せません。

メタプラネットは、保有しているビットコインの何倍もの時価総額ですからね。こういうことが「よくわからん」という人は、触らないほうがいいです。私は、わかっていても怖くて触れません。みなさまもお気をつけください。

でも、ビットコイン自体はすごいと思ってるよ!

こんなときこそシンプルに

1月コラムの最後に書いたヒント「It’s me, Mario!!」の任天堂<7974>が大きく上昇しましたね。一時10%を大きく超える上昇でした。すごい。自画自賛。ただ、それで稼いだのかと言われると、そんなに稼げなかったんですけどね……(涙)。

それはさておき、2月は最終日に大きく大きく下落してしまいました。日経平均株価は一日で1100円の下落となり、下落率は2.88%でした。節目の38,000円も割り込み、一時は37,000円も割り込んでしまいました。

嫌な雰囲気で終わったものの、これが底になって反発してくれれば強固な底入れになる可能性もありますし、反対に、大きな下落の入り口である可能性もあります。

3月はあまりいい状態でのスタートではないかもしれません。強い銘柄群を中心に監視し、無理せずチャンスをうかがう、そんな月になる気がします。

為替、政治、関税、円高、金利、ロシアとウクライナ……いろいろな要因があれど、我々トレーダーはただひとつ、株価を見ていればいいのです。株価に従いましょう。上がるなら買い、下がるなら売り。シンプルに考え、判断し、行動すれば、おのずと利益はついてきます。

では、3月も楽しんでいきましょう! おー!!

【おすすめ】なぜ明日上がる銘柄がわかるのか 元手30万円を数億円の利益に変えたプロの銘柄選び

(本記事は「株の学校トピックス」からの転載です)

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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