個人投資家が注目しているニュースランキング、1位は「トランプ」。では「万博」は?

《オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、株式投資に取り組んでいる人々に、さまざまなアンケート調査を実施しています。そこから見えてきた、個人投資家・トレーダーの本音とは?》
トランプ関税をめぐるニュースで世界の株式市場が大きく揺れていますが、株価に影響を及ぼすニュースはそれだけではありません。
そこで株の学校ドットコムでは、全国の個人投資家を対象に、株価との関係で注視しているニュースや話題についてアンケート調査を実施しました。
すると、アメリカのトランプ政権の動向に最も注目していると回答した人は全体の約8割にのぼった一方で、石破首相率いる日本の政策方針を選んだ人は3割にも届きませんでした。
全体として、個人投資家の多くは日本国内よりもアメリカの動向の影響が大きいと考えていることがわかりました。
調査結果の詳細は、株の学校ドットコムのウェブマガジン
「株の学校トピックス」に掲載しています。
個人投資家の約8割が注目する「トランプ政権」
いま、個人投資家が株式投資を行うにあたって注目しているのは、どんなニュース・話題なのか。
今回の調査では、「あなたが株価に大きな影響を与えると思うニュース・話題は何ですか?」という問いに対して、「その他」を含む20の選択肢を用意し、複数回答で選んでもらいました。
その結果、最も多くの回答数を得たのは「米トランプ政権の政策方針」で、全体の約8割に及ぶ629人(78.6%)が選びました。20の選択肢のうち唯一過半数を超えています。
その次に多かったのは「アメリカ経済」の385人(48.1%)で、個人投資家の多くが日本よりもアメリカの動向に注視していることが明らかとなりました。

これに対して、「日銀の金融政策(日本の金利動向)」を選んだのは360人(45.0%)、「日本経済(物価高)」は313人(39.1%)で、それぞれ4割前後の回答率です。
ただ、この2つの間には「FRBの金融政策(アメリカの金利動向)」の317人(39.6%)が入っており、株式市場に対するアメリカの影響力の大きさが改めてうかがえる結果となりました。
アメリカの動向が気になる理由
なぜ、それほどまでトランプ政権の動きが気になるのか。株価に大きな影響を与えると思うニュース・話題として「米トランプ政権の政策方針」および「アメリカ経済」を選んだ人にその理由を尋ねたところ、以下のような回答がありました(一部を抜粋して紹介)。
- 世界経済におけるアメリカ経済の占める割合は大きいため、トランプ政権の経済政策により日本経済への影響も大きい(52歳・男性)
- 二期目のトランプ政権は交渉の為のある種の脅しだろうというトンデモ政策を実際にやってしまうから怖い。例えば輸入車に対する関税はすそ野の広い日本の自動車業績にもろに直撃する(49歳・男性)
- とにかくトランプ大統領になってから不安でしょうがない(53歳・女性)
- トランプの言動は常軌を逸しており、これに対するリスクヘッジを取るために、企業や投資家が極端な動き(金へのシフト、輸出産業の輸出抑制等)を追随して行う傾向がある(60歳・女性)
- 関税アップでの経済戦争に不安がある(69歳・女性)
- 日本人より海外の投資家がどう考えるか、どう投資するかで日本の株価は大きく影響を受ける(54歳・女性)
- 国内の経済指標の動向よりも、米中の動向に影響を受ける度合いが高い(71歳・女性)
- アメリカの株価や為替、政策を投資家が気にし過ぎている(65歳・男性)
- 日本株を中心に投資してるけど日銀やアメリカの経済とは大きく関わってきてるから、とても気にしている(30歳・男性)
個人投資家の期待がほとんどない「大阪万博」
米トランプ政権へ注目度が高いことがわかったところで、反対に、個人投資家が「株価にまったく影響を与えない」と考えているニュース・話題には、どんなものがあるのでしょうか?
前問と同じ20の選択肢から選んでもらったところ、全体の半数近い358人(44.8%)が選んだのは、今週末(4月13日)に開幕する「大阪・関西万博」でした。
これに続くのは「7月の参議院選挙」(102人・12.8%)、次いで「石破政権の政策方針」(78人・9.9%)で、国内の動向は株価にはさほど影響を与えないと考えている個人投資家が多いようです。

ただし、回答数が2番目に多かったのは「その他」の106人(13.3%)です。
その具体的な内容を見てみると、「全て影響する」「(影響しないものは)無し」といった回答が85人(全体の10.6%)にのぼり、株価というのは世の中のあらゆる事象の影響を受けるものだと考えている人が多くいることがわかります。
万博が株価に影響しないと考える理由
回答数の多かった「大阪・関西万博」と「7月の参議院選挙」について、なぜ、株価への影響がないと考えるかの理由について尋ねてみると、それぞれ以下のような回答がありました(一部を抜粋して紹介)。
- 関西万博については、多少の国内経済には影響があると思うが、長期的な効果はないと思う(63歳・女性)
- 日経のニュースで万博のことが株価に影響した なんていう記載が一つもないため(39歳・男性)
- 関西ですら盛り上がっていないから。関西から離れた所に住んでいると話題にも上がらない(51歳・女性)
- 前売り券の売り上げも悪くあまり期待できない(76歳・女性)
- 参議院選挙では政権に影響を与える程の力は無いし大阪万博などは只の関西ローカル祭でしか無い(65歳・男性)
- 政党勢力のバランスが変化しても、画期的な経済変化をもたらすことはないと思う(60歳・男性)
- 参院選の結果は直ちに政権存続に影響しないと思う(58歳・女性)
- 社会への影響はあると思うが、株価は反応しないと思う(47歳・女性)
- 国内のイベントやトップの発言は気にしていない(43歳・男性)
個人投資家は日本よりもアメリカを気にしている
個人投資家の多くは、日本国内の政治や経済よりも、アメリカの政治情勢や経済によって株価が大きな影響を受けると考えていることが、今回の調査結果からわかりました。
実際、先日発表されたトランプ大統領による関税政策で、日本のみならず世界の株式市場に動揺が生まれています。
それ以外にも、NISAの拡充によって「全世界株式ファンド」(いわゆる「オルカン」)や、アメリカ市場の主要な株式指数である「S&P500」に投資している人が多いことも、国内事情よりもアメリカに関心の矛先が向いている理由として挙げられるようです
それに対して、まもなく開幕する「大阪・関西万博」には、さほど期待が寄せられていない現実も浮き彫りになりました。
その理由としては、経済効果に対する疑問のほか、世界経済への影響は小さいだろうという判断、また、株価にはすでに織り込み済みであるという意見もありました。
あらゆるニュースや話題が株式市場に影響を及ぼしますが、その一方で、企業にとって絶好の出来事があっても、また、どんなに業績が良くても、株価が下落することはあります。
ニュースや話題に一喜一憂することなく、自信を持って株式投資に臨むには、まずは、自分自身の目的にそったスタイルを選択できているかどうかが重要です。