氷河期世代の株式投資を実態調査 資産額や目標から団塊・Z世代との違いは?

株の学校ドットコム
2025年7月12日 12時00分

《オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、株式投資に取り組んでいる人々に、さまざまなアンケート調査を実施しています。そこから見えてきた、個人投資家・トレーダーの本音とは?》

昨今、何かと話題にのぼることの多い「就職氷河期世代」は、株式投資にどう向き合っているでしょうか。

株の学校ドットコム金融教育研究所では、2022年以来、全国の個人投資家などを対象に計40回以上のアンケート調査を実施し、これまでに集めた声は、のべ7万人分以上になります。

これらの調査結果から、1970~1984年に生まれた「就職氷河期世代」(2025年に41〜55歳になる人)のデータを抽出。

特に、氷河期よりも上の世代(1969年以前生まれ/56歳以上)と下の世代(1985年以降生まれ/40歳未満)との比較によって、株式投資への取り組みや傾向に違いがあるのかについて分析しました。

それによると、経済的に苦しいとされる氷河期世代ですが、株式投資に取り組んでいる人の割合や株式投資における資産額については他の世代と変わらないことがわかりました。

その一方で、株式投資に取り組む理由や目指す目標、興味のある株取引などでは、この世代ならではの特徴も見えてきました。

調査結果の詳細は、株の学校ドットコムのウェブマガジン
株の学校トピックス」に掲載しています。

氷河期世代で株式投資に取り組んでいるのは3割弱

まずは、全国1万人を対象にした大規模調査(2024年7月実施)から、株式投資に取り組んでいる人の割合を見てみます。

全世代で見た場合、株式投資をやっていると回答したのは28.0%ですが、氷河期世代でも、それとほぼ同じ28.2%の人が株式投資に取り組んでいると回答しています。

それに対して、いわゆる「団塊の世代」を含むシニア層にあたる上の世代では30.5%、「Z世代」を含む下の世代は24.0%となっています。

氷河期世代の株式資産、5人に1人は1000万円超え

そんな氷河期世代は、株式投資でどれくらいの資産を保有しているのでしょうか。

同じ1万人を対象としたアンケート調査(2024年7月実施)では、株式投資に取り組んでいると回答した氷河期世代(802人)のうち、63.5%にあたる509人が「500万円未満」と答えました。これは、他の世代と比べて見ても大きな違いはありません。

次に多かったのは「1000万円以上~5000万円未満」の16.1%(129人)、そして、「500万円以上〜1000万円未満」の14.6%(117人)と続きます。

一般的に株式投資のひとつの目標とされる「1000万円」の大台を超えている人は21.9%(176人)で、5人に1人は株式投資である程度の資産形成に成功しているようです。

氷河期世代が株式投資の取り組む理由は「老後資金」

続いて、株式投資に取り組む理由について見てみましょう。

新NISAが始まった2024年1月に実施したアンケート調査(計800人対象/複数回答)によれば、全世代で最も多かったのは「生活に使えるお金を増やすため」と「人生100年時代を見すえた老後資金を準備するため」の2つで、30.1%の人がこれらを選んでいます。

これに対して氷河期世代では、「人生100年時代を見すえた老後資金を準備するため」が37.3%と最も多くの回答を集め、「生活に使えるお金を増やすため」の31.3%が、それに続きます。

全体で3番目だった「趣味や旅行など自分のやりたいことに使うお金を増やすため」は氷河期世代でも3位に入りましたが、その割合は、全体が17.5%だったのに対して氷河期世代では11.6%に留まり、上世代の20.7%、下世代の18.8%と比較しても少なさが際立ちます。

氷河期世代は他の世代よりも短期の視点が少ない

株式投資で達成したい目標については、特に「新NISAを使っていつまでに資産形成を目指したいのか」という視点で調査しています(2024年1月実施・計800人対象)。

これによると、氷河期世代は他の世代と比べて「5年後」と回答した人の割合が明らかに少なく、10年以上の期間を答えた割合が合計で73.8%にのぼりました。

「5年後」という短い期間を回答した人は、氷河期世代より上の世代では5割を超える54.5%にのぼり、下の世代でも42.7%と高い数値を出しています(全世代では42.1%)。

これらと比較すると、氷河期世代では短期での資産形成を狙っている人は少なく、なかでも「20年後」という回答が31.9%と他の世代よりも多くなっています。

氷河期世代はインデックス投資よりも高配当株

氷河期世代の個人投資家は、具体的にどんな株取引をやっているのでしょうか。

興味のある株取引について訊ねた調査(2024年2月実施・計800人対象)では、氷河期世代の第1位となったのは「高配当株で配当生活を実現したい」(38.9%)、僅差の2位は「株主優待でお得感を得たい」(38.1%)で、これは全世代と似た傾向でした。

ただ、他の世代と比べると、「高配当株で配当生活を実現したい」を選んだ割合が氷河期世代は高く、反対に「投資信託で運用をお任せしたい」は他の世代よりも低くなっています。

上の世代と比べて特に差が出たのは「定期預金より増えればよい」で、上世代の38.0%に対して氷河期世代は25.5%で、12.5ポイントの差があります。

一方、下の世代との違いが見えるのは「インデックス投資で手間なく増やしたい」で、下世代では30.6%と3割を超えたのに対し、氷河期世代では2割弱の19.4%に留まっています。

氷河期世代が株式投資をやらないのは○○がないから

老後資金のために比較的長期の資産形成として株式投資に取り組んでいる人が多い氷河期世代ですが、その一方で、株をやっていない人にはどんな理由があるのでしょうか?

1万人調査で「株式投資に取り組んでいない」と回答した人にその理由を聞いたところ、最も多かった回答は「投資する資金がない」の37.7%でした。

これは全世代でも36.2%で、上の世代・下の世代ともに同じくらいの結果になっていることから、氷河期世代だけ突出して「資金がない」というわけではないように見えます。

ただ、下の世代は「資金」よりも「知識」のなさを選んだ人が多く、「資金がない」と回答した人の割合も氷河期世代より少なくなっていることは、収入面における世代間格差の表れなのかもしれません。

誰にでもチャンスが開かれている株式市場の魅力

就職氷河期世代の未来に対する不安が増しています。

バブル崩壊後の不景気の最中に世に出た人の多くが、正社員として働くチャンスに恵まれないまま歳を重ね、40〜50代になった現在でも様々な困難に直面しています。その数は1700万人以上とされ、下の世代との格差も問題になっていることから、日本政府も支援策を打ち出しました。

非正規雇用の人が多く収入面でも厳しいと言われる氷河期世代ですが、今回の分析調査の結果によれば、株式投資への取り組みにおいては他の世代と大きな違いは見られませんでした。

全体と同じく約3割の人が株式投資に取り組んでおり、なかにはすでに一定の資産を築くことに成功している人もいます。

傾向としては、老後資金を見据えて長期の資産形成として行っている人が他の世代よりも多く、年金への強い不安がある中で、より自らの手で未来を形作ろうとしている表れとも受け取れます。

興味がある株取引として、新NISAで話題を集めているインデックス投資や投資信託の人気が下の世代と比べて低いことも、氷河期世代は長らく社会の助けを受けられずに来たことが背景にあるのかもしれません。

株式市場は、誰にでも平等にチャンスが開かれている場です。それだけでなく、資金量や目指す成果によって、じっくり時間をかけて資産を築くことも、短い期間で一気にお金を増やすことも、どちらも選択可能です。

株の学校ドットコムでは、株式投資による資産形成を目指すすべての人が自分にふさわしい知識を身につけることができるよう、幅広い世代に向けた学習機会の提供とともに、今後より一層の情報発信に努めてまいります。

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