【今年の3本】最も株高・株安になりやすいのは何月? 意外と知らない株式相場のパターンとは
2019年の株式相場は、泣いても笑っても本日で終わり。今年を振り返りつつ、来たる新年へと期待をつなげるべく、一年を通して最もよく読まれた記事を「今年の3本」としてご紹介。最後を飾るのは、「株っていつ上がるの?」「いつ買えばいいの?」という素朴な疑問に答えてくれる1本──
「勝つ」よりも大切なこと
彼を知り己を知れば百戦殆うからず
「敵と味方を熟知していれば、たとえ100回戦っても負けることはない」という意の孫子の有名な言葉です。
株式投資も同じ。株価のパターンや恒例のイベント、今後起こる出来事などを熟知することで、「負けない投資」に一歩つながります。4月から3月までの毎月のポイントをご紹介しますので、今後の戦略を立てる際に、ぜひお役立てください。
月ごとの相場の特徴
【4月】新年度開始で相場も盛況
機関投資家の運用開始月であるほか海外ファンド勢の第2四半期入りもあり、新規マネーが流入しやすく、相場が盛況となる傾向があります。下旬からは3月期決算企業の決算発表シーズンとなり、好業績の銘柄に注目が集まります。
また、春は学会のシーズンで、医薬品、バイオ関連の企業の株価上昇期待が高まり、いわゆる「バイオ祭り(バイオ株の大相場)」も多く見られます。
2019年は統一地方選挙も実施されるため、選挙関連銘柄も人気を集めそうです。
◆4月の相場格言──
4月相場は強い
【5月】波乱の決算発表を終えて
株価は4月に天井をつけ、ゴールデンウィークあたりから「セルインメイ」になるパターンが通例です。中旬まで続く決算発表によって株価は大きく変動しやすいものの、一巡後は、アナリスト予想が出揃うまで方向感を失いやすい展開となります。
また、2019年は新天皇即位による超大型連休が控えており、波乱要因の一因となる可能性もあります。新元号関連銘柄も人気となるかもしれません。
◆5月の相場格言──
セルインメイ(Sell in May)
【6月】一年で最も高値をつけやすい
ボーナス時期でもあり、配当・株主優待の権利取りや、7月初旬に迎えるETF決算の分配金狙いの買いも入りやすいことから、株価は上昇しやすくなります。さらに、月末から7月にかけては株主総会ラッシュとなり、市場は好材料への期待感が高まり、堅調となりやすい傾向があります。
また、月末には、気象庁の夏予報(3か月予報)が発表されます。その内容によっては、猛暑関連銘柄を予想して手に入れておく、という投資家もいます。
2019年は、G20サミットが大阪で開催されますので、インバウンド関連銘柄が人気になると予想されています。
◆6月の相場格言──
ボーナス時期は株が上がる
【7月】材料難で小幅な動き
決算発表後の機関投資家の銘柄入れ替えも終わり、手掛かり難の中、株価のトレンドが出にくく、材料のある中小型株やテーマ株などに資金が向かう傾向にあります。
また2019年は参院選が予定されています。過去には、選挙後に材料出尽くしで売られるケースも多く見られ、相場動向を慎重に見守る必要があるでしょう。
◆7月の相場格言──
七夕天井・天神底 *天神=大阪の天神祭(25日)
【8月】最も株価が下がりやすい月
バカンス入りする外国人投資家や、お盆には国内投資家も夏休みとなり、市場参加者が極端に少なく、「夏枯れ相場」といわれる薄商いの状態となります。初旬にはJPX日経400の銘柄入れ替えが公表され、入れ替えに伴う思惑で株価が動く傾向があります。
また8月は為替が円高方向に振れることが多く、大型株には手を出しにくい時期でもあります。そのため、個人投資家の関心は中小型株へ向かい、物色の動きが目立つ傾向にあります。
◆8月の相場格言──
夏枯れ相場
【9月】世界的に株安となりやすい
台風など自然災害も多い時期となり、相場全体が軟調な動きの中、材料のある低位株が物色される傾向にあります。
初旬には日経平均の銘柄入れ替えが発表されますので、入れ替えに伴う思惑で株価が動く傾向があります。月末は中間配当・株主優待の権利取りで、株価は底堅い動きとなりやすいです。
東京ゲームショウの開催時期でもあり、ゲーム関連株が人気となるほか、アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)は9月の会合で大きな政策転換が出やすく、発表直後は急落につながることもあるため、警戒が必要です。
◆9月の相場格言──
彼岸底
【10月】中間決算発表が本格化
アメリカ投信の節税対策の売りや、ヘッジファンドの解約に備えた換金売りが出やすく、株価は軟調になりがちです。一方で、見方を変えれば、年末にかけての株価上昇を期待して、主力の大型株を底値圏で拾えるタイミングとも言えます。
また、3月期決算企業の中間決算発表が本格化し、上方修正・下方修正などで、株価が大幅に動くこともあるので注意が必要です。
初旬に行われるノーベル賞の発表次第では、バイオベンチャーなどがノーベル賞関連銘柄として賑わいを見せます。月末には、気象庁の冬予報(3か月予報)が発表されますので、前もって厳冬関連銘柄を物色するという作戦もあります。
2019年は、消費税の10%への引き上げ実施が予定されており、消費低迷による景気の減速など、相場環境によっては警戒が必要となるでしょう。
◆10月の相場格言──
10月効果/10月株安
【11月】相場好転になりやすい
3月期決算企業の中間決算発表も一巡し、年末にかけて海外ファンドや機関投資家などが運用姿勢を高める傾向にあるため、好業績銘柄を中心に上昇トレンドとなりやすい時期です。特に最終週は、師走相場への期待感から上昇トレンドになりやすいとも言われます。
ただ、ヘッジファンドでは顧客が解約したい場合、決算期日の45日前までに通知するルールとなっていることが多いため、12月末の45日前にあたる11月中旬はヘッジファンドの換金売りが多く、波乱要因となりやすい時期でもあります。
◆11月の相場格言──
11月最終週の株高
【12月】年内最後の盛り上がり
前半は、クリスマス休暇を控えて大型株は上値が重く、IPO(新規株式公開)ラッシュで新興市場が盛り上がりやすい傾向があります。
中旬のメジャーSQ(先物とオプション両方の最終決済日)通過後は、大納会(年内取引最終日)に向けて堅調な動きとなるのが通例。機関投資家はクリスマス休暇入りとなり、薄商いの中、新年度に期待してテーマ株など中小型株を物色する個人投資家の動きが活発になります。
2019年は、明くる2020年の東京オリンピックを見据えた、スポーツ関連銘柄やインバウンド関連銘柄に注目が集まると期待されています。
◆12月の相場格言──
掉尾の一振 *掉尾(とうび)=物事の終わり
【1月】歴史的には上昇しやすい
年初の大発会は「ご祝儀」による買いで株価は上昇しやすいものの、その後は反動で軟調ムードとなる傾向にあります。海外のファンド勢などの運用開始月でもあり、新規マネー流入による株価上昇か、ポジション調整の売りによる下落となる可能性があります。
また、日本の主要の大型株は12月に上昇する傾向が強く、1月はその反動で利益確定が出やすい傾向があります。一方で、2月にかけてはIPO閑散期でもあり、年末に新規上場した東証2部や新興市場のIPO銘柄が注目されて活況となります。
◆1月の相場格言──
大発会が安い年は一年を通じて荒れやすい
【2月】閑散月だが要警戒
「ニッパチ」と呼ばれるように、8月とともに株式相場が閑散となる月です。ただし、過去には、2016年のチャイナショック、2018年のアメリカ発のVIXショックで、日経平均が急落した場面があり、警戒したい月です。
3月決算企業の第3四半期の決算発表が本格化し、上方修正や下方修正が出た銘柄に注目が集まります。その一方、小売、サービス、外食などの業種は2月決算企業が多いため、配当・株主優待の権利取りのチャンスでもあります。
また、本年度のIPOが本格的に始まり、投機マネーが集中しやすい時期となります。
◆2月の相場格言──
節分天井・彼岸底
【3月】決算期末で権利取りラッシュ
1月に急落となっても、2月に底を打ち、3月には落ち着きを取り戻して決算を迎える……というパターンが相場ではよく見られます。
機関投資家の決算月でもあり、利益確定の売りが出やすい一方、運用成績を良く見せるために「ドレッシング買い(期末にかけて自ら株を買って株価を上げる)」に動くなど、神経質な展開になりやすい傾向があります。
配当・株主優待の権利取りが最多の月でもあり、有望な銘柄は先回りして投資するのが有効な手段と言えます。
◆3月の相場格言──
啓蟄の頃 相場は上昇
相場にはパターンがある
このように、株式市場には月ごとに異なる特徴・パターンがあります。それは、うまく利益を出すためのポイントであると同時に、知っていれば損失を避けることができる「負けないポイント」でもあります。
ただし、毎度お伝えしていることですが、マーケットに「絶対」はありません。これらの特徴を踏まえつつも、臨機応変に、自分なりの戦略を立てて行動するようにしてください。
※本記事は再掲載です