5月の株価はどうなる? セルインメイに潜むチャンス! 夏へとつながる銘柄とは

《5月といえば、ゴールデンウィークや鯉のぼり。実は株式市場にも、月ごとの「風物詩」があります。お決まりのパターンや上がりやすい株など、その月ならではの「あるある」を知っておけば、ムダな損失を避け、大きなチャンスをつかめるかもしれません》
軟調となりやすい5月相場
5月の株式相場は日米ともに軟調となりやすい月です。「セルインメイ(5月に売れ)」とも言われるようにアメリカ株は一旦天井をつけやすく、日本株も3月期決算企業の本決算発表を控えて買い控えとなる傾向があるからです。
過去20年の5月の月間騰落率(=前月終値と当月終値の比較)は平均で+0.3%となっており、一年の中でも低パフォーマンスであることがわかります。

もちろん、今年も例年どおりの値動きをするとは限りませんが、相場の季節性や、その月の恒例イベントにあわせた値動きのパターンを事前に知っておくことで、それを先回りして投資することができます。
また、月ごとのアノマリーからその傾向や特徴を読み解くことで、効率的な物色がしやすくなります。「アノマリー」とは相場における経験則のことで、根拠はないけどよく当たるものや、相場格言として長く言い伝えられているものも多くあります。
〈参考〉最も株高・株安になりやすいのは何月? 意外と知らない株式相場のパターンとは
5月の株価はどう動く?
5月相場には「前半は軟調、後半にかけて徐々に回復」という特徴があります。
前半の軟調の要因となっているのは、4月末から5月にかけて行われる決算発表です。この時期は日本株の主力である3月期決算企業の本決算が相次ぐため、その内容を見極めようと多くの投資家が買い控えます。
特に日本企業は保守的な業績見通しを出す傾向にあるため、「失望売り」につながりやすい点に注意が必要です。
(過去の5月の日経平均株価のチャートはこちらからご覧ください)

特に2025年は、トランプ関税の影響で、企業にとっては業績見通しを出しにくい状況となっています。もともと保守的なところに「見通し自体を出せない企業」が増えるとなると、株価には一段の下押し圧力がかかりそうです。
ただ、決算発表シーズンが過ぎると、相場は次第に落ち着きを取り戻します。
このほか、4月30日・5月1日に日銀の金融政策決定会合、5月6日と7日には米FOMCがあります。日銀は追加利上げを見送りか? FRBは利下げを行うのか? 中央銀行の動きは株式や為替に多大な影響を与えますので、その動向を注視したいところです。
5月のアノマリーで上がる株
そんな5月相場で上昇しやすいのはどんな銘柄でしょうか? 過去10年(2015年〜2024年)の5月相場で勝率が高かった銘柄を見てみましょう。

5月相場に強い銘柄として相場ではおなじみの企業が上位に並んでいます。それが、驚異の10連勝を続けている寿スピリッツ<2222>、NSW<9739>、大末建設<1814>です。
これらの銘柄の株価上昇のポイントは、いずれも5月に行われる決算発表です。それぞれ事業の成長性の高さも相まって、「セルインメイ」の中でも恒例の強さを見せています。
・寿スピリッツ<2222>
全国の銘菓を手がけるお菓子メーカーで、地域限定ブランドやお土産需要をターゲットに展開する寿スピリッツ<2222>。インバウンドの代表的銘柄としても知られています。
毎年5月半ばに発表される本決算では、インバウンド需要による業績拡大が見られ、株価も好感されてきました。ただ、2025年3月期の売上はやや市場予想を下回る着地が見込まれ、成長鈍化が懸念されています。連勝できるのか? 注視したいです。
・NSW<9739>
独立系のシステム開発会社であるNSW<9739>は、組込系や制御システム、デバイスに強みを持つ企業です。 コロナ禍を機に広がった企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)需要を追い風に、高成長中。
5月12日発表予定の2025年3月期本決算では上振れ着地も期待されており、さらに、中期経営計画の最終年度ということで目標を上回っての着地となれば注目度が高まりそうです。
・大末建設<1814>
大末建設<1814>はマンション建築に強みを持ち、業界でも高い施工実績を誇る総合建設会社です。
国内の建設需要が回復基調にある中で、売上・利益ともに順調に推移しています。2025年3月期については、すでに3月に上方修正を発表。また、著名投資家・井村俊哉氏率いるファンドの保有銘柄としても話題です。
ゴールデンウイークに潜む“次のチャンス”
今年のゴールデンウイークは、カレンダー上の休日となっているのは5月3日から6日までの4連休のみで、比較的コンパクトな日程です。
そんな中でも、過ごし方は実に多様。定番の国内旅行やショッピングに加え、テーマパークや大型イベント、自宅でゆったり過ごす「おうち時間」など、それぞれのライフスタイルや価値観に合わせた動きが昨今のトレンドです。
国内旅行者数は前年比7.2%減の2290万人となる見込み。とはいえ、鉄道や航空機を使った遠方旅行は依然として人気が高く、宿泊日数も「1泊2日」が最多ながら、「3泊以上」の長期滞在型が増えてきていることも注目ポイントです。
2025年は「大阪・関西万博」の開催とも相まって、インバウンドも含めた観光需要の高まりが予想されます。注目される関連銘柄としては、交通・観光やホテル・レジャーがあります。
また、人々の関心は「近場」や「日常」にも向いています。たとえば映画では、「名探偵コナン 眼の残像」(4月18日公開)、「#真相をお話しします」(4月25日公開)など人気作品の公開も相次いでおり、レジャー需要を後押ししそうです。
ほかに、テーマパーク・レジャー、外食、小売などにも連休需要が期待されます。

ゴールデンウイークは単なる消費のピークとなるだけでなく、生活者の「今」を映す鏡でもあります。 その動きの先に「次の投資チャンス」が芽吹いていることも多いので、ぜひ注目しておきましょう。
決算発表シーズンに上がる株とは?
4月末から始まる3月期決算企業の本決算発表シーズン。特に5月中旬にかけて、多くの企業が続々と決算発表を行います。
株価上昇につながる「ポジティブ・サプライズ」となる材料としては、業績の「上方修正」のほかに、「市場コンセンサスを上回る来期見通し」や「株主還元の発表」などがあります。
4〜12月経常利益の通期計画に対する進捗率が高く、かつ過去平均を上回っている企業は、上方修正が期待できる銘柄として投資家の注目が集まります。
進捗率が90%を超え、かつ5年平均も上回っている銘柄としては、武田薬品工業<4502>やバンダイナムコ<7832>、リゾートトラスト<4681>、日本郵船<9101>、商船三井<9104>などが業績上振れでの着地が期待されています。
決算発表をチャンスに変えるコツ
来期の業績見通しが市場のコンセンサスを上回るかどうか──これが、決算発表時における株価の反応を左右する大きなポイントです。
ただ今年は、トランプ関税によって企業側は来期(2026年3月期)の業績見通しが出せない状況に陥っています。特にグローバル展開する製造業などは、現時点では具体的な数字を出せないでしょう。そのため、業績予想の開示がない=不安材料と捉えられ、株価にはネガティブに働きそうです。
ポイントとなるのは、株価の反応です。 たとえ「業績の見通しなし」でも株価が強い動きを見せるようであれば、投資家は「悪材料出尽くし」と判断しているわけですから、見逃せないサインとなります。
このほか、自社株買いや増配といった株主還元を発表する企業にも注目です。 これらは、企業の将来の業績に対する自信の表れとも言えるからです。
先行き不透明な相場環境では、高配当株や積極的な株主還元策を打ち出す企業にも目を配っておきたいところです。
夏を先取りして仕込みたいのは
鯉のぼりがはためく爽やかな初夏は、ビールが恋しくなります。ビールといえば……夏に向けて「先回り」して仕込んでおきたいのが、猛暑関連銘柄。
史上最高を記録した2023年・2024年には及ばないものの、2025年の夏も猛暑となる予想です。夏商材や電力需要など高い需要が予想され、ビールやエアコン、アイスクリーム、日焼け止め、電力などの関連銘柄が賑わいそうです。
特に内需関連株は「守り」の強さが意識されることから、すでに投資家からの関心が高まりつつあります。「セルインメイ」ではありますが、今後につながる可能性のある銘柄は、今から粛々と仕込んでおきたいものです。