11月の株価はどうなる? 世界中が沸き立つ2大祭りで急騰する銘柄とは

岡田 禎子 2019/10/25 8:00
相場が好転しやすいと言われる11月。中間決算が出そろい、悪材料も出し切り、その後に待っているのは、中国とアメリカの大セール合戦です。どちらも毎年ニュースを賑わせますが、実はその余波は、日本の株式市場にも届いています。年末に向けてぜひ物色しておきたい銘柄とは──

11月相場は好転しやすい?

11月は株式相場が好転しやすい月と言われています。過去10年を見ても、月初と月末の日経平均株価を比較した勝率では、8勝2敗の高勝率です。

月の前半は、3月期決算企業の中間決算が一巡して、相場が変動しやすくなります。加えて、年末決算に向けてヘッジファンドの解約が出やすい時期でもありますが、後半から月末にかけては、師走相場への期待感から機関投資家の買い意欲が増し、月末株高となりやすい傾向にあります。

そして、中国の「独身の日」、アメリカの「ブラックフライデー」や「サイバーマンデー」、さらに12月末にかけてのクリスマス商戦へと、投資家の注目が集まりやすいのが11月相場の特徴です。

11月の株式相場が好転しやすい理由

11月は、年間を通じて相場の転機となりやすい月です。3月期決算企業の中間決算が出揃い、機関投資家やヘッジファンドのポジション調整が行われる中旬までは、日本株は弱く推移しますが、その後は、年末の株高に向けた期待感から株価上昇へと好転しやすくなるのです。

過去3年を見ても、2016年はアメリカ大統領選でのトランプ氏勝利による先行き不透明感、2017年は北朝鮮のミサイル発射などで一時的な下落は見られたものの、2018年には米中貿易摩擦からFRBの利上げに早期打ち止め観測が出て月末にかけては株高となるなど、月末に向けて右肩上がりが見られます。

(Chart by TradingView

2019年も、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱(ブレグジット)など外部環境による株価悪化懸念は残るものの、年末の株高に向けて備えたい月と言えそうです。

勢揃いする中間決算に要注意

10月下旬から11月半ばにかけて、3月期決算企業の中間決算発表が行われます。中間決算は、企業の半期(4〜9月)の業績を集計した決算で、その内容は年末から翌年にかけての相場へも大きな影響を与えます。

日本企業は期初予想が保守的であることが多いため、例年、多くの企業が中間決算の時点で業績予想を上方修正します。また、中間決算で上方修正を発表した企業は本決算でも上方修正しやすい、という傾向もあります。

一方で下方修正の場合は、一時的に株価の下落に繋がることもあります。しかし、〝アク抜け〟した後は投資家の関心は来期業績へと向かい、今期の決算内容が悪いほど来期業績の回復も大きいはず……との期待感も広がります。そのため株価的には、中間決算後の調整場面が絶好の買いとなる可能性もあります。

2019年は、米中貿易戦争の長期化などが影響して下方修正が頻発するのではないか、という見方が強くなっています。TOPIX構成銘柄の通期業績予想に対する進捗率が、第1四半期の段階で24%程度(経常利益ベース)と例年より低い水準にとどまっていることも懸念材料です。

ヘッジファンドの「45日ルール」とは

11月になると意識されることが多いのが、ヘッジファンドの「45日ルール」です。

ヘッジファンドは効率的に資金を運用するため、出資者が解約できるタイミングを3か月に一度の決算時か半年に1度と制限しています。解約または一部換金したい場合には、出資者は決算期末(3・6・9・12月末)の45日前までにファンドに通知する必要があるのです。

解約通知を受けたヘッジファンドは、マーケットインパクトが出ないよう注意しながら、ポジションを一部手仕舞いして現金化することになります。それでも、ヘッジファンドによる売りが多いと、相場に与える影響は大きくなります。

株価の先行きに不安がある場合や、相場が大きく上昇していて利益確定したい場合などには、解約が出やすくなります。そして例年、解約が集中するのが11月15日、つまり、12月末決算の45日前にあたる週と、そこに向けた11月前半というわけです。

中国とアメリカ、2つの祭り

「11.11」は世界最大のEコマース祭り

中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日に、インターネット上で特売セールが行われます。

もともとは2009年に中国EC大手のアリババグループが大規模な値引きセールを始めたのがきっかけ。今では他の企業も参戦し、国民的な盛り上がりを見せる巨大商戦となっています。2018年には、アリババグループが過去最高の3.5兆円という売上を記録しました。

この世界最大のEコマース祭りを、日本の投資家たちも注視しています。というのも、このセールには日本企業も参加しており、ベビー用品や玩具、美容商材を中心に日本ブランドは中国で大変人気があるため、大きな売上が見込まれるからです。

2018年には、ファーストリテイリング<9983>の「ユニクロ」が35秒で1億元(約17億円)の売上を達成したほか、資生堂<4911>は前年比3倍の売上を記録。越境ECの国別売上ランキングでは、各モールで日本が上位を占める結果となりました。

これを受けて、東京証券取引所では関連銘柄が賑わいを見せたのです。

・ヤーマン<6630>の場合

家庭用の美容・健康機器を製造・販売するヤーマン<6630>は、中国インバウンド関連の代表的な銘柄のひとつ。2014年頃に始まった中国人観光客による高級品の〝爆買い〟は2016年には鳴りを潜め、代わって人気となったのが、美容家電や化粧品など「自分のための買い物」だったのです。

ヤーマンの美顔器はそんな中国の人たちの心を捉えました。2016年の独身の日セールでは、アリババグループが運営する「Tmall(天猫)」の美顔器部門における販売実績で第1位となりました。

この波に乗って、2016年前半には200円台だった株価も、2018年5月には上場来高値の2,788円をつけます(分割調整後)。その後は調整となりましたが、2018年の独身の日セールで3年連続の1位を維持し、売上状況が発表された翌日の株価は前日比150円高、プラス7.5%という急伸となりました。

(Chart by TradingView

2019年はどんな商品が人気となるのか、投資家目線で注目したいところです。

[代表的な中国インバウンド関連銘柄]
  • ファーストリテイリング<9983>……「ユニクロ」を展開
  • 資生堂<4911>……化粧品
  • 花王<4452>……化粧品、ベビー用オムツ「メリーズ」
  • ユニ・チャーム<8113>……ベビー用オムツ「ムーニー」
  • ヤーマン<6630>……美顔器

クリスマスに向けた年末商戦がスタート

アメリカでは、11月下旬のブラックフライデーを皮切りに、本格的な年末商戦クリスマス商戦)が始まります。

ブラックフライデー」とは、アメリカの感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日に当たる金曜日のこと。感謝祭の休暇にあわせてプレゼントの売れ残りを一掃する大規模なセールが実施されるため、一年で最も買い物が多く、小売店が黒字になることから、この名が付けられました。

感謝祭明けの月曜日には、アマゾンをはじめとする各ECサイトがセールを開始。こちらは「サイバーマンデー」と呼ばれ、クリスマス商戦とも重なるため、年間を通じて最大の商戦期となります。2018年には史上最高の売上を記録し、ダウ平均株価は300ドル以上の上昇となりました。

その勢いはクリスマスラリーへと繋がり、この時期は相場が好転しやすいとなります(*クリスマスから新年にかけて株価が上がりやすい、というアメリカ株式市場のアノマリー)。

(Chart by TradingView

日本市場もアメリカの流れを受けて12月は株高となりやすいことから、11月のうちから年末商戦関連銘柄に注目が集まり始めます。具体的には「お歳暮商戦」や「ボーナス商戦」「クリスマス商戦」「歳末商戦」などの企業が物色されます。

高島屋<8233>や三越伊勢丹ホールディングス<3099>、大丸と松坂屋のJ.フロント リテイリング<3086>などの百貨店のほか、ゲーム関連ではバンダイナムコ系の玩具・ゲーム卸最大手のハピネット<7552>や任天堂<7974>、さらにエービーシー・マート<2670>などの小売店も注目されそうです。

年末に向けた物色の日々

11月最終週の株高

この相場格言の背景には、ブラックフライデーやサイバーマンデー、続くクリスマス商戦などでアメリカの個人消費への期待が高まりやすい、という歴史的傾向があります。また、中間決算発表を受けて配当の再投資などが行われることも、11月末にかけて株高となりやすい要因のひとつです。

2019年の場合、外部環境だけでなく10月の消費税増税の影響も含めた様々なリスク要因に警戒する必要はありますが、中間決算で悪材料出尽くしとなって株価が好転する銘柄はどれだろうか……という視点で物色してみるのも面白いかもしれません。

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2019/10/25
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[執筆者]岡田 禎子
岡田 禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

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