ランキングで見る株式市場　プロが2022年相場で注目する銘柄とは

ランキングで振り返る2021年相場

2021年の日経平均株価は始値27,649円、安値26,954円、高値30,795円、終値28,791円と推移しました。2020年の金融緩和により大きく上昇したマーケットの勢いそのままに、日経平均は31年ぶりに３万円を回復するも、膨れ上がりすぎた期待の調整もあり、強弱入り交じる一年となりました。

そんな2021年相場ではどんな銘柄が大きく動いたのか。１年間の株価データをもとに５つの「トップ100社ランキング」を作成。そこから見えてきた「2021年相場で上昇した業種・テーマ／下落した業種・テーマ」から、2022年相場を展望します（各ランキングは記事末尾に掲載しています）。

• 売買代金トップ100（2021年の売買代金の総和）
• 値上がり率トップ100（2020年終値と2021年終値の比較）
• 値下がり率トップ100（2020年終値と2021年終値の比較）
• 瞬間的上昇トップ100（2020年終値と2021年高値の比較）
• 瞬間的下落トップ100（2020年終値と2021年安値の比較）

2021年相場で上昇した業種・テーマ

・半導体

2021年はとにかく半導体関連銘柄の強い一年でした。世界中で需要が爆発し、半導体がないから車を作れない、パソコンを作れない、スマホを作れない……というほど需要が多く、半導体関連銘柄にとってはまさに「この世の春」のような上昇となりました。

特に、売買代金の大きかったレーザーテック＜6920＞と東京エレクトロン＜8035＞の力強さは群を抜いており、2022年もしっかりと見ていきたい銘柄です。ただし、短期的には調整もあるでしょうから注意は必要です。

• レーザーテック＜6920＞……売買代金２位（17.3兆円／2020年16位：４兆円）、
  値上がり率25位（＋191.4％：12,110円→35,290円）
• 東京エレクトロン＜8035＞……売買代金６位（11.7兆円／2020年６位：８兆円）
• 三井ハイテック＜6966＞……値上がり率26位（＋190.8％：3,875円→11,270円）
• 信越化学工業＜4063＞……売買代金19位（4.9兆円）
• アドバンテスト＜6857＞……売買代金23位（4.3兆円）
• SUMCO＜3436＞……売買代金27位（3.8兆円）
• ルネサスエレクトロニクス＜6723＞……売買代金29位（3.7兆円）

・海運

コロナが落ち着いて世界中で経済の再開が始まりました。その結果、モノの流通が一気に増えて、海運の需要が大きくなり、「船が足りない！」という状況にまでになりました。当然、海上運賃も大きく上昇し、船会社の利益が大幅に増えた結果、株価も大きく上昇しました。

• 日本郵船＜9101＞
  ……売買代金８位（10.4兆円）、値上がり率７位（＋265％：2,402円→8,760円）
• 商船三井＜9104＞
  ……売買代金14位（5.7兆円）、値上がり率37位（＋171％：3,150円→8,540円）
• 川崎汽船＜9107＞
  ……売買代金18位（5.1兆円）、値上がり率16位（＋228％：2,112円→6,920円）

・人材

世界中でマネーが増加し、経済が拡大する中で不足したのが「人材」です。特にエンジニアといわれる人たちが不足しており、そういった人材の供給をしている企業が大きく上昇した一年となりました。比較的大型のビジョナル＜4194＞も2021年４月に上場し、ますます業界が盛り上がってきています。

• リクルートホールディングス＜6098＞……売買代金13位（5.8兆円）
• フォースタートアップ＜7089＞……値上がり率10位（＋171％；1,232円→4,345円）
• エスユーエス＜6554＞……値上がり率13位（＋238％：378円→1,279円）
• Branding Engineer＜7352＞……値上がり率15位（＋231％：249.5円→826円）

ただし、リクルート以外は売買代金の小さいものが多いため、実際の売買（トレード）には注意が必要です。

・エネルギー

SDGsやESGといったワードが流行り、持続可能な社会のための投資への流れが加速しました。

電気自動車メーカーのテスラ＜TSLA＞の時価総額が１兆ドル（110兆円）を突破したこともニュースになりましたが、クリーンエネギーに投資が集まるなか、「原油」や「石炭」といった資源はまだまだ必要なのに投資されない状況が続いた結果、原油や石炭などが大きく上昇するという現象もありました。

• 三井松島ホールディングス＜1518＞……値上がり率39位（＋164％：715円→1,891円）
• 原油＜WTI＞……2020年１月：19ドル→2021年１月：60ドル→2021年１月：76ドル

街のガソリンも値上がる一方です。この流れがどうなるか、注意が必要かなと思っています。

2021年相場で下落した業種・テーマ

・バイオ

コロナ新薬もそうですが、期待による上昇が大きなバイオ関連は、その分、下落も大きくなります。投資でもトレードでも、バイオには手を出さないほうがいいと私は思います。難しすぎる。

• モダリス＜4883＞……値下がり率10位（−72％：2,212円→613円）
• アンジェス＜4563＞……値下がり率19位（−70％：1,245円→384円）

・コロナ関連（期待による上昇の反動）

2020年にコロナ関連銘柄として大きく上昇した銘柄の下落が目立ちました。株価は期待によって大きく舞い上がりますが、その分、大きな成長を求められます。たとえ会社発表どおりの成長をしたとしても、上昇しすぎた株価は揺り戻しにより大きく下落することがあります。

• 出前館＜2484＞……値下がり率15位（−71％：3,140円→920円）
  └フードデリバリー拡大期待の揺り戻し
• すららネット＜3998＞……値下がり率18位（−69％：5,420円→1,661円）
  └学校や学習塾のEラーニング拡大期待の揺り戻し
• BASE＜4477＞……値下がり率23位（−68％：1,952円→616円）
  └ECプラットフォーム拡大期待の揺り戻し
• ブイキューブ＜3681＞……値下がり率33位（−65％：3,025円→1,058円）
  └ウェブ会議ツール拡大期待の揺り戻し

「いい会社だから上がるはず」というのは危険な考え方です。これを機にしっかりと覚えておくようにしてください。

2022年相場に向けて

菅首相から岸田首相に代わり、一年遅れで東京オリンピック・パラリンピックも開催されました。ワクチン接種は進みましたが、まだまだ海外に行くにはハードルが高く、イベントにも制限があり、変異ウイルスによる感染の再拡大などもあり、コロナ前のようには戻りきれない、そんな一年でしたね。

そんな世相の中でどういった銘柄が上昇し、下落したのか。年間ランキングをしっかりと振り返ることで、今後のトレードに生かしてほしいと思います。

さあ、2022年相場の始まりです。

（株の学校ドットコム講師・窪田 剛）

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2021年トップ100社ランキング

【2021年の売買代金トップ100】

【2021年の値上がり率トップ100】　＊2020年終値と2021年終値の比較

【2021年の値下がり率トップ100】　＊2020年終値と2021年終値の比較

【2021年の瞬間的上昇トップ100】　＊2020年終値と2021年高値の比較

【2021年の瞬間的下落トップ100】　＊2020年終値と2021年安値の比較

（株の学校ドットコム講師・窪田 剛）

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