11月の株価はどうなる? アメリカ中間選挙とAI相場の行方、年末高への期待は?
《一年で最も上昇率が高い11月相場。世界が見守るアメリカ中間選挙は、株価にどんな影響を及ぼすのか。「相場の主役」が変わるかもしれない11月相場の傾向と対策を解説》
株式市場で11月は、株価が上昇しやすい月として知られています。中間決算が本格化し、年末商戦への期待も高まる時期ですが、今年は11月3日のアメリカ中間選挙に加え、AI関連銘柄の調整や中東情勢の緊迫化など不透明な材料が残っています。
AI関連株が再び相場を牽引するか、それとも資源や内需など別の業種へ物色が広がるか。年末高に向けて「相場の主役」に注目する11月相場になりそうです。
- 重要イベント:アメリカ中間選挙、日本企業の中間決算、エヌビディア決算、大型AI企業のIPO
- 注目銘柄:中東情勢で「商船三井」、年末商戦で「三越伊勢丹ホールディングス」「任天堂」、業績回復で「花王」、国土強靭化で「前田工繊」
11月相場の特徴──アノマリーと恒例イベント
年間でも株価パフォーマンスが良好な11月。日経平均株価の過去20年間の平均騰落率はプラス1.9%で、12か月で最も高い上昇率となっています。
また、11月から翌年4月まで株価は5月から10月までよりも上昇しやすい、と言われます。「ハロウィン効果」と呼ばれるアノマリーです。夏場の薄商いや秋のポジション調整を終え、機関投資家が年末から翌年に向けて投資先を見直すことが背景にあるとされます。
さらに、アメリカの中間選挙後は株価が上昇しやすい、というアノマリーもあります。
ただし、今年はAI投資への懸念や中東情勢など不透明な材料も多く、相場への影響を一つひとつ検証していく必要がありそうです。

・中間決算と上方修正ラッシュ
11月前半は、3月期決算企業の中間決算がピークを迎えます。今年はAI関連需要の拡大や円安による輸出採算の改善、価格転嫁の進展などを追い風に、業績予想の上方修正が相次ぐ可能性があります。
3月期決算企業の今期(2027年3月期)の予想純利益は、5月時点の前期比5%程度から、8月には14%程度の増益へと上方修正されました。こうした業績改善の勢いが続けば、中間決算でも上方修正ラッシュとなるかもしれません。
特に注目したいのは第1四半期の利益進捗率が高く、受注拡大や利益率改善が続く企業です。中間決算で上方修正が発表されれば、その後も業績の拡大が進み、予想がさらに引き上げられるとの期待が高まりそうです。
・感謝祭から年末商戦へ
アメリカでは、11月の第4木曜日に感謝祭(サンクスギビングデー)の祝日を迎えます。今年は26日で、翌27日がブラックフライデーとなります。ここからクリスマスに向けた年末商戦が本格化し、日本でもゲームや小売など消費関連株への関心が高まります。
ただ、アメリカではインフレによる家計負担が重く、日本でも食品を中心とした物価高から消費者の節約志向が高まっています。値引き商品に人気が集中する一方、富裕層による高額消費は底堅いことから、消費の二極化が進む可能性があります。
売上高だけでなく、客単価や販売数量、値引きによる利益率への影響にも目を向けたいところ。価格競争力や独自の商品力を持つ企業が選好されそうです。
2026年の11月はどうなる?
2026年11月の日本株は、年末高への期待をのぞかせながらも、アメリカ中間選挙、エヌビディア決算、そして、中東情勢を背景とする原油価格や日米の金利動向に左右される展開となりそうです。
特に気がかりなのが、巨額の設備投資に対する収益性への懸念が広がるAI相場の行方です。AI関連株の調整が市場全体に波及するのか。あるいは、年末高に向けて「相場の主役」が変わるのか。それぞれの可能性を見極める必要があるでしょう。
アメリカ中間選挙、どちらが勝てば株価は上がる?
11月3日のアメリカ中間選挙は、トランプ政権の今後2年間の政策運営を左右する重要なイベントです。
与党・共和党が上下両院の多数派を維持すれば、減税や規制緩和への期待が株価を支える可能性があります。ただし、財政拡張への警戒から長期金利が上昇すれば、株式市場の重荷となることも考えられます。
一方、野党の民主党が上下院いずれかで多数派を獲得すれば、トランプ政権の政策推進力が弱まり、減税や規制緩和などの期待が後退することで、株価には逆風となるかもしれません。
いずれの場合も、選挙通過による不透明感の後退が市場の安心材料となる一方で、結果が市場予想と大きく異なれば株価が不安定になる恐れもあります。年末相場を占ううえでも選挙結果には注視が必要です。
AI相場の試金石となるエヌビディア決算
11月のもうひとつの注目イベントが、半導体大手エヌビディアの決算です。データセンター向け需要の伸びや次期業績の見通しからAI投資の拡大が続くことが確認できれば、日本のAI関連株にも買いが戻る可能性があります。
一方、同社が出資するAIクラウド企業コアウィーブの資金調達懸念などから、巨額のAI投資が収益に結びつくのか疑問も浮上しています。
加えて、AI開発企業アンソロピックが11月の上場を目指しているほか、オープンAIも将来のIPOを視野に資金調達を進めています。大型AI企業への資金集中によって既存のAI関連株から資金が流出する可能性もあり、AI関連セクター全体の需給への影響も警戒されます。
原油価格と日米金利の行方
中東情勢も引き続き大きなリスクです。特に中間選挙後のアメリカの政策次第では情勢が再び緊迫化する可能性もあり、原油価格の動向から目が離せません。原油高は資源開発企業には追い風となる一方、航空や化学、食品などにはコスト増となり企業収益を圧迫します。
さらに警戒したいのが、原油高によるインフレの再燃と、それが金利に与える影響です。
アメリカでは物価上昇を受けて利下げ期待が後退し、金利上昇がAI関連などの高PER株の重荷となる可能性があります。日本でも、原油高による物価上昇が家計や企業収益を圧迫する一方、インフレへの警戒は日銀の金融政策判断を難しくします。
中東情勢が落ち着けば株式市場にとっては安心感につながりますが、緊張が高まれば原油高と金利上昇の二重逆風となりかねません。11月は中東情勢とともに日米の金融政策の動向を注意深く見ていきたいところです。
2026年11月のイチオシ銘柄5選
・商船三井<9104>
中東情勢の緊迫化による航路変更や輸送の長距離化が船舶の需給を引き締め、海上運賃の上昇につながっています。想定を上回る運賃を背景に商船三井<9104>は8月、今期(2027年3月期)の経常利益予想を上方修正しました。
11月9日に予定されている中間決算発表では、運賃上昇の収益寄与や通期見通しが焦点となります。株価はすでに上昇基調にありますが、さらなる業績上振れとなれば一段高も期待できそうです。

・三越伊勢丹ホールディングス<3099>
国内富裕層の高額品需要が堅調なことに加え、9月の海外顧客売上高も前年同月比36%増と好調な三越伊勢丹ホールディングス<3099>。今期(2027年3月期)第1四半期の営業利益は前年同期比20.6%増となり、8月には通期予想を上方修正しました。
11月13日に予定されている中間決算発表では、富裕層消費の強さと利益率の改善が注目されます。年末商戦に向けて好材料が重なれば、株価の追い風となるでしょう。

・任天堂<7974>
長く続いた株価の調整局面から反転の兆しを見せていた任天堂<7974>が、10月に入って上昇基調を強めています。背景には、「Nintendo Switch 2」の年末商戦への期待や、信用買い残の整理が進んで需給面の改善が見られることなどがあります。
今期(2027年3月期)第1四半期の営業利益は前年同期比150.5%増と好調で、経常利益の通期計画に対する進捗率は47.9%に達しました。11月5日予定の中間決算発表で、ソフト販売の収益寄与や通期業績予想の上方修正があれば、株価上昇につながりそうです。

・花王<4452>
構造改革や価格戦略の見直しが奏功しているのが、花王<4452>です。今期(2026年12月期)上期の営業利益は前年同期比38.5%増と好調で、通期の業績予想も上方修正しました。特に化粧品事業の収益改善が進み、利益成長への期待が高まっています。
株価も、2021年以来となる3700円台(分割調整後)を回復するなど強い上昇基調となっています。11月5日に発表される予定の第3四半期決算でも好業績が続いていれば、株価にとってさらなる弾みとなるかもしれません。

・前田工繊<7821>
前田工繊<7821>は、防災・減災用の土木資材を手がけるインフラ関連企業です。国土強靭化の政策や老朽インフラの更新需要が追い風となり、2026年6月期は主力のソーシャルインフラ事業の営業利益が前期比20.4%増と好調でした。
今期(2027年6月期)も同事業の増益を見込む一方、全社営業利益は3.9%増と慎重な計画です。11月13日に予定されている第1四半期決算発表で主力事業の好調さが確認されれば、業績上振れへの期待から株価の再評価につながるでしょう。









