10月の株価はどうなる? 「株高の秋」に潜む三つ巴リスクを乗り切る銘柄とは

岡田禎子
2026年9月26日 10時00分

《相場が新たな動きを始める10月相場。「円高」「金利上昇」「原油高」に揺れる中で、中間決算がやってくる……。年末に向けた足がかりにもなる10月相場の傾向と対策を解説》

10月は株式市場にとって比較的パフォーマンスの良い月として知られています。9月末の半期末を通過し、国内の機関投資家は新たなポジションを組み始めます。さらに3月期企業の中間決算も本格化し、好業績や上方修正を手掛かりに「秋相場」が動き始める時期なのです。

ただ今年は、9月に急激な円高に加えて、中東情勢の緊迫化による原油高、日米の金融政策という3つのリスクが同時に浮上しています。単純に「株高の秋」とは考えず、指数よりも、どの業種に投資マネーが移っていくかを見極めたい月です。

  • 重要イベント:中間決算、FOMC、日銀金融政策決定会合、11月のアメリカ中間選挙
  • 注目銘柄:決算で「ファーストリテイリング」、船舶需要・防衛で「古野電気」、原油高で「INPEX」、AI関連で「古河電気工業」、利上げ観測で「西日本フィナンシャルホールディングス」

10月相場の特徴──アノマリーと恒例イベント

「秋相場」が動き始める10月。半期末を通過して機関投資家は新たなポジションを組み、中間決算を手掛かりにした銘柄選別も進みます。

一方で、1987年のブラックマンデー(10月19日)という歴史的な暴落に加え、2018年や2023年はアメリカの金利上昇警戒からの大幅下落という経験もしており、「怖い月」という印象もあります。

しかしながら、日経平均株価の月間騰落率は過去20年平均でプラス1%となっており、年間を通じてもまずまずです。過去の暴落を必要以上に恐れるより、中間決算や業績修正を見ながら、年末相場に向けて有望銘柄を選別したいところです。

・10月恒例、指数の定期見直し

10月は、日経平均株価などの定期見直しが行われ、指数連動ファンドによる機械的な売買が発生します。特に指数改革が重なる今年は、企業業績とは関係のない需給による価格変動にも注意が必要です。

まず、10月1日から日経平均株価の新ルールが適用され、指数への影響が大きくなったアドバンテスト<6857>などの価格調整係数が引き下げられます。そして月末には「次世代TOPIX」の初回見直しも実施されます。

・中間決算シーズンがスタート

10月下旬からは3月期決算企業の中間決算が本格化します。

今年は単純な増収増益だけでなく、企業の想定為替レートと原材料価格に注目です。足元では円高が急速に進んでおり、輸出企業には円換算した海外利益が減少する一方、食品・小売など輸入比率の高い企業には調達コスト低下というメリットがあります。

ただし原油価格も上昇しているため、「円高だから輸入企業にプラス」と単純には言えません。円高の恩恵と原油・物流コスト上昇のどちらが大きいのか。企業ごとの価格転嫁力まで確認する必要があります。

・「ハロウィーン効果」のアノマリーにも期待

株式市場には、11月から翌年4月までの株価が5月から10月までよりも上昇しやすい、という「ハロウィーン効果」と呼ばれるアノマリーがあります。夏場の薄商いや9~10月のポジション調整を終えて、年末から翌年に向けて機関投資家が新たなポジションを構築することなどが背景にあると考えられています。

もちろん毎年当てはまるわけではありませんが、年末相場を見据えて、次の主役となる銘柄を探し始める時期ともなります。

◾️2026年の10月はどうなる?

2026年10月の日本株の最大のポイントは、「円高」「金利上昇」「原油高」の三つ巴です。足元では円高が進む一方、中東情勢の緊迫化から原油価格は100ドルを突破。日本の10年国債の利回りは3%に達し、アメリカの長期金利も5%近辺となりました。

10月は指数全体の上値が重くなる一方、金利上昇が追い風となる金融株や原油高メリット株など、逆風を利益に変えられる銘柄への選別が一段と進みそうです。

・FOMCと日銀

10月相場最大の山場は月末にやってきます。10月27~28日にFOMC、29~30日に日銀金融政策決定会合が開催されます。

日銀が9月に利上げを実施したことで、次の焦点は追加利上げの時期とペースに移っています。早期の追加利上げを示唆すれば円高がさらに進み、輸出株には逆風となる一方、慎重な姿勢を示せば、急激な円高は一旦落ち着く可能性があります。

・中東情勢「原油100ドル」が分岐点

原油価格が高止まりしています。アメリカとイランの対立に加えて、ホルムズ海峡や紅海での輸送障害、サウジアラビアのエネルギー施設への攻撃などから、供給不安が強まっています。

今後さらに中東情勢が悪化して原油高が長期化すれば、企業のコストや、家計負担が増え、インフレ再燃から金利上昇につながる恐れがあります。特に、WTI原油先物価格が100ドルを超える水準で定着するかどうか、これがひとつの分岐点です。

原油高が長引けば高PER株には逆風となる一方、INPEX<1605>や石油元売り、資源比率の高い商社には追い風となりそうです。

・アメリカ中間選挙まであと1か月

11月3日の中間選挙を控え、10月は選挙戦が最終盤を迎えます。候補者の政策発言や選挙公約が相次ぐだけに、マーケットもその内容に振り回されやすい時期です。

注目したいのがAIデータセンター問題です。AI投資の急拡大でデータセンター建設が相次ぐ一方、電力料金の上昇や水不足、税優遇などへの反発が強まり、選挙戦の争点に浮上しています。規制強化の動きが広がれば、半導体やデータセンター関連株には逆風となる可能性があります。

対中半導体規制や自動車関税、防衛政策などとあわせ、選挙戦がらみのニュースには注意が必要です。

2026年10月のイチオシ銘柄5選

・ファーストリテイリング<9983>

10月8日に本決算発表を迎えるファーストリテイリング<9983>。2026年8月期は、第3四半期までの売上収益が前年同期比17.1%、営業利益は36.2%と過去最高を更新。好調な海外ユニクロが成長を牽引し、通期予想を上方修正しています。

本決算での焦点は、新年度の業績見通しです。高い成長を維持できるか、10月8日に示される新たな成長シナリオに注目したいです。

・古野電気<6814>

世界的な船舶需要の拡大と防衛力強化という2つの追い風から注目したいのが古野電気<6814>です。船舶用レーダーや魚群探知機といった船舶用電子機器で世界大手のメーカーです。

今期(2027年2月期)の第1四半期は売上高が前年同期比21.8%増、営業利益は65.3%増に拡大。防衛装備品の生産も拡大しています。そして、10月9日に中間決算を発表予定です。好調な第1四半期を受けて業績の上方修正があるか? 期待が高まります。

・INPEX<1605>

原油高からの注目銘柄にはINPEX<1605>を挙げます。8月には、イクシス(オーストラリアでのLNG開発プロジェクト)の堅調な生産などを背景に、今期(2026年12月期)の最終利益予想を5100億円へ上方修正しました。原油高が続けばさらなる追い風となるでしょう。

過去10年間の騰落率を見ても、10月は8勝以上と好成績。原油高が日本株全体の逆風となる局面で、ポートフォリオの「守り」にもなる銘柄として注目です。

・古河電気工業<5801>

AI・データセンター投資の拡大では、古河電気工業<5801>に注目です。今期(2027年3月期)の第1四半期は、売上高が前年同期比24.3%増、営業利益は約3倍に急拡大。データセンター関連の需要増を背景に、通期業績予想も大幅に上方修正しました。

好決算後の株価は足元で調整していますが、9月には生成AI向けデータセンターで需要拡大が見込まれる水冷製品の量産を開始。11月の中間決算に向けて、光ファイバーや水冷製品の伸びによる、さらなる業績上振れ期待が株価の見直し材料となりそうです。

過去10年の10月は8勝以上。好業績だけでなく、強い季節性にも期待です。

・西日本フィナンシャルホールディングス<7189>

利上げ局面で注目される銀行株からは、福岡を地盤とする西日本フィナンシャルホールディングス<7189>を推したいと思います。

今期(2027年3月期)の第1四半期は、経常利益が前年同期比75.7%増の218億円。上期計画の335億円に対する進捗率は約65%に達しました。金利上昇による貸出金利ざやの改善に加え、九州の大型設備投資による資金需要も期待されます。

会社側は業績予想を据え置いており、11月の中間決算で上振れるかが次の焦点。10月はそれを先取りする動きにも注目しましょう。

[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP) note:https://note.com/okapirecipe_555
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