ひと息ついた日本株市場。インバウンド期待が高まる中、プロが買い続けるのはアノ開運株?

窪田 剛
2022年6月1日 19時30分

aerial-drone/Adobe Stock

《日々相場と向き合うプロトレーダーは今どんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから5月相場を振り返ります》

5月相場を振り返って

再編も一服、円安が一服、下落も一服、決算も一服。引き続き地政学的リスクはあるものの、5月を終えてマーケットはひと息ついた形となりました。

日経平均株価は一時4月の安値を割り込み、どうなることかと心配しましたが、後半にかけて盛り返し、いい形で6月を迎えられました。

指数 4月終値 5月終値 騰落率
日経平均株価 26,847円 27,279円 +1.58%
TOPIX 1,900ポイント 1,912ポイント +0.63%
東証グロース指数 879ポイント 850ポイント −3.30%

5月相場で上がった株・下がった株

そんな2022年5月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。

・2022年5月の売買代金トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 6920 レーザーテック 2.57兆円
2 9984 ソフトバンクグループ 1.86兆円
3 9101 日本郵船 1.72兆円
4 9107 川崎汽船 1.48兆円
5 8035 東京エレクトロン 1.27兆円
6 7203 トヨタ自動車 1.15兆円
7 6758 ソニーグループ 9073億円
8 7974 任天堂 8616億円
9 6098 リクルートホールディングス 7485億円
10 6861 キーエンス 7183億円
11 9983 ファーストリテイリング 6897億円
12 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 6779億円
13 9104 商船三井 6495億円
14 4661 オリエンタルランド 5374億円
15 9432 日本電信電話 5317億円
16 4063 信越化学工業 5286億円
17 8316 三井住友フィナンシャルグループ 4960億円
18 9433 KDDI 4308億円
19 8058 三菱商事 4267億円
20 6981 村田製作所 4213億円

・2022年5月の値上がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 2773 ミューチュアル 156.20%
2 5820 三ッ星 98.30%
3 2872 セイヒョー 97.60%
4 5025 マーキュリーリアルテックイノベーター 90.70%
5 6561 HANATOUR JAPAN 87.20%
6 7945 コマニー 78.30%
7 4777 ガーラ 75.30%
8 3856 Abalance 70.10%
9 9115 明治海運 62.00%
10 9179 川崎近海汽船 57.10%
11 6409 キトー 56.90%
12 9827 リリカラ 52.00%
13 7901 マツモト 51.00%
14 4980 デクセリアルズ 50.50%
15 8848 レオパレス21 49.40%
16 9107 川崎汽船 49.40%
17 8202 ラオックス 48.80%
18 5727 東邦チタニウム 47.40%
19 8508 Jトラスト 47.10%
20 1518 三井松島ホールディングス 46.50%

・2022年5月の値下がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値下がり率
1 4165 プレイド −57.6%
2 4541 日医工 −56.9%
3 4593 ヘリオス −54.6%
4 4584 キッズウェル・バイオ −40.8%
5 5031 モイ −36.1%
6 4849 エン・ジャパン −34.9%
7 9522 リニューアブル・ジャパン −34.2%
8 4375 セーフィー −34.1%
9 6659 メディアリンクス −33.9%
10 7694 いつも −33.1%
11 9625 セレスポ −32.8%
12 6096 レアジョブ −32.7%
13 4387 ZUU −32.0%
14 7065 ユーピーアール −32.0%
15 4053 Sun Asterisk −31.1%
16 3628 データホライゾン −31.1%
17 6095 メドピア −29.8%
18 3182 オイシックス・ラ・大地 −29.7%
19 2980 SREホールディングス −29.1%
20 4167 ココペリ −28.9%

5月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

・値上がり率ランキングから

【第17位】ラオックス<8202>……+48%(168円→250円)

ついに、インバウンド銘柄(海外からの訪日客により上昇が期待される銘柄)に資金が入り始めました。コロナ中にGoToキャンペーンなどはありましたが、海外からの観光客は入っていませんでした。5月時点ではまだ受け入れをしていませんが、6月から順次、観光客の受け入れが再開されます。

欧米は日本に先立って観光を再開しており、「爆買い」も再開されています。

そんな状況に日本がすぐに戻るかどうかはわかりませんが、月は本銘柄に限らずインバウンド銘柄に資金が流れ込んでいるのがちょくちょく見受けられました。6月には中国・上海のロックダウンも終わり、人やモノの生産や物流も大きく再開されるでしょう。

中国からの爆買い観光客によって業績が左右されるラオックスが買われるのも理解できますね。

・売買代金ランキングから

【第3位】日本郵船<9101>……1.72兆円
【第4位】川崎汽船<9107>……1.48兆円
【第13位】商船三井<9104>……6,500億円

まだまだ終わらない邦船3社の快進撃。配当落ちの下落をカバーし、川崎汽船は高値を超えてくる強さ。困ったら海運、迷ったら海運、海運で開運(ごめんなさい)。そんな冗談を言いたくなるくらい、ずっと注目されています。このコラムでも登場率ダントツ1位です。

上のラオックスでも書いたとおり、中国の大都市のロックダウンで生産や物流が止まっていましたが、それが再開されることで、これら社にもポジティブな影響が期待されます。

いったん終わったと思っていましたが、売買代金を見る限り、まだまだ相場の主役であることは明白。監視を続けていきたいセクターです。

【第21位】メルカリ<4385>……4,040億円

月末に東証プライム市場へ移籍すると正式に発表があり、この原稿を書いている6月1日には株価は前日比+7%でした。もともとプライム市場へ上場するというアナウンスはあったので大きなサプライズではないとも考えますが、株価は素直にポジティブに反応しました。

今後、グロースからプライムへ移行する銘柄がどれほど出てくるかはわかりませんが、移行したら株価にどのような影響があるのか、といった点を確認するための良い試験になりそうです。

メルカリの場合、今後の期待度や注目度が大きいのは事実ですが、グロースからプライムへ移れるのは、やはりすごいことだと思います。応援したいですし、今後の値動きにも注目していきたいと思います。

いま強い株を、いま買おう

いろいろなことが“いっぷく”した5月。株価も底を打ったように見えますし、急激な円安も小康状態となっています。

なかでも海運株は大きく上昇しており、売買代金も大きく注目されていますが、そういう状況が続くと、よくこんなことを耳にします。

「こんなに上がっているのに、ここから買うの?」
「上がりすぎているから、もう買えないよ」

そう言う人の気持ちは痛いほどよくわかりますが、上がっている株は「買い」です。実際に私も5月は海運株をロング(買い持ち)していました。

海運株に限らず、強い株はしばらくの間、強い状況が続きます。半導体銘柄が数年間強かったように、海運株も大きく注目され始めてからそろそろ1年が経ちます。そして、これからどこまで続くのかはわかりませんが、今はまだ強いままです。

強い銘柄、上がっている銘柄を買うことには最初は抵抗があるかもしれませんが、それがトレードで勝つための第一歩です。今後もしかしたらインバウンド銘柄にまた大きな資金が来るかもしれないし、その兆しはあります。

いずれにしても、トレードで勝つために今あなたがやるべきことは「今ビッグウェーブを起こしている強い銘柄を(タイミングよく)買うこと」です。

大事なことなのでもう一度書きます。

次にクルであろうものを予想して買うのではなく
今キテいるものに資金を入れて利益を上げる

さぁ、ご唱和ください。6月は、海運で開運!
今月もよろしくお願いします。

※注意※ インバウンド銘柄は本原稿執筆時点(6月1日)ではまだ大きな波になっていません。したがって「今買ったほうがいい」というわけではありません。今後大きな波になってから乗ればいいのです。だからこそ「今から注目しておくといいよ」という程度です。あしからず。

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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