酷暑とともに大きな相場がやって来る? いまこそプロが全力で注意喚起する銘柄とは

窪田 剛
2022年7月1日 11時30分

Pixel-Shot/Adobe Stock

《日々相場と向き合うプロトレーダーは今どんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから6月相場を振り返ります》

6月相場を振り返って

6月9日に日経平均株価が高値28,389円を付けたところまでは、いい形で上昇していましたが、その後急落。月末にかけては少し戻していたものの、再度大きく下落してしまい、よくない雰囲気で終わってしまいました。

また、円安も再び加速してしまい、24年ぶりに137円を突破。円資産の棄損が止まらない──そんな6月となってしまいました。

観測史上最高を更新している気温のように、株価もどんどん上昇してほしい! 酷暑の東京で暑さにやられながら今回もお届けします。

指数 5月終値 6月終値 騰落率
日経平均株価 27,279円 26,393円 −3.25%
TOPIX 1,912ポイント 1,870ポイント −2.20%
東証グロース指数 850ポイント 843ポイント −0.82%

6月相場で上がった株・下がった株

そんな2022年6月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄)。

・2022年6月の売買代金トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 6920 レーザーテック 2.51兆円
2 9984 ソフトバンクグループ 1.85兆円
3 8035 東京エレクトロン 1.72兆円
4 9107 川崎汽船 1.26兆円
5 9101 日本郵船 1.19兆円
6 7203 トヨタ自動車 1.19兆円
7 9983 ファーストリテイリング 1.10兆円
8 6758 ソニーグループ 9757億円
9 6619 ダブル・スコープ 8482億円
10 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 7659億円
11 6861 キーエンス 7020億円
12 7974 任天堂 6522億円
13 4063 信越化学工業 6300億円
14 9104 商船三井 6187億円
15 7011 三菱重工業 6187億円
16 1605 INPEX 6125億円
17 8316 三井住友フィナンシャルグループ 5695億円
18 9432 日本電信電話 5153億円
19 6098 リクルートホールディングス 5052億円
20 5726 大阪チタニウムテクノロジーズ 5031億円

・2022年6月の値上がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 7901 マツモト +557.0%
2 4575 キャンバス +254.6%
3 2437 Shinwa Wise Holdings +159.7%
4 4169 ENECHANGE +140.9%
5 6619 ダブル・スコープ +101.8%
6 7359 東京通信 +95.6%
7 3739 コムシード +83.8%
8 4777 ガーラ +80.9%
9 2345 クシム +78.8%
10 6338 タカトリ +76.7%
11 4550 日水製薬 +73.0%
12 3760 ケイブ +70.1%
13 6769 ザインエレクトロニクス +69.4%
14 6181 タメニー +64.7%
15 1743 コーアツ工業 +63.9%
16 3825 リミックスポイント +62.8%
17 8462 フューチャーベンチャーキャピタル +58.2%
18 4334 ユークス +57.0%
19 3482 ロードスターキャピタル +55.4%
20 3491 GA technologies +54.2%

・2022年6月の値下がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値下がり率
1 7033 マネジメントソリューションズ −54.4%
2 6035 アイ・アールジャパンホールディングス −53.9%
3 4934 プレミアアンチエイジング −49.3%
4 7793 イメージ・マジック −45.3%
5 4175 coly −36.1%
6 7128 フルサト・マルカホールディングス −35.5%
7 5031 モイ −33.1%
8 2776 新都ホールディングス −32.8%
9 6659 メディアリンクス −31.8%
10 6787 メイコー −30.7%
11 5025 マーキュリーリアルテックイノベーター −29.7%
12 4054 日本情報クリエイト −29.6%
13 4966 上村工業 −29.1%
14 4075 ブレインズテクノロジー −28.8%
15 3416 ピクスタ −27.8%
16 9245 リベロ −26.6%
17 4019 スタメン −26.4%
18 6967 新光電気工業 −26.2%
19 8256 プロルート丸光 −26.2%
20 3664 モブキャストホールディングス −26.1%

6月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

・売買代金ランキング

【第9位】ダブル・スコープ<6619>……8482億円

値上がり率ランキングでも5位(1,125円→2,317円:+106%)と大きく上昇。6月に入ってから出来高を伴い、約2倍となりました。電池の部品を扱っており、EV(電気自動車)などで需要が増えていることや、子会社の韓国市場への上場承認などもあり大きく買われました。

ただし、6月最終日は陰線かつ上ヒゲも出現しており、目先調整が入ってもおかしくない水準です。

日足と週足を見てみると、6月に入ってからの出来高の伸びが明確に見て取れます。こういう出来高のチャートは上昇しやすいので、覚えておくとよいでしょう。テストに出ます

【第16位】INPEX<1605>……6125億円

原油価格が高止まりしており、エネルギー関連銘柄として注目されていました。月初に原油価格がいったんピークを付けて調整はしていますが、高水準が続いており、今後もこの水準が続けば、また注目されるタイミングが来るかも。

世界では人口が増えて、気候も不安定になり、消費されるエネルギーが増えて続けているので、エネルギー関連企業はことあるごとに注目されるんだろうなと思っています。

そういう意味では、値上がり率ランキング4位のENECHANGE<4169>638円→1,537円:+140.9%)のような、エネルギー関係というだけで買われやすい銘柄もチェックしておいて損はないかもしれません。

ENECHANGE自体は売買代金がないのでトレード対象銘柄ではありませんが、いわゆる「炭鉱のカナリア」のような役割になる可能性はあります(エネルギー関連銘柄に資金が集まるときに、時価総額が小さい同社は動きが顕著になる)。

【第20位】大阪チタニウムテクノロジーズ<5726>……5031億円

エネルギーだけじゃない! チタンだって値上がっているのだ!! ロシア産がストップしているんだから、そりゃ値上げ圧力がかかりますよね。2月末から上昇が始まり、5月に再加速して、6月も大きく上昇。インフレ関連銘柄と言っていいかはわからないけれど、要チェックに間違いないです。

【第51位】ANYCOLOR<5032>……2626億円

ランク外ではありますが、これは6月中旬に上場したばかりのためで、注目度は6月のナンバーワンだったかもしれません。公募価格が1,530円に対して高値9,200円、6月終値が6,540円と4倍ほどの上昇。現在の時価総額はなんと2,000億円です。

高いか安いかは今後次第ですが、トレードにも不向きで、個人的には手出し無用銘柄のひとつですわぁ~!(←同社所属の人気VTuber・壱百満天原サロメさんのモノマネ)

……というのは冗談として、YouTubeで人気になるとタレントグッズを買う感覚で株を買う人も多く、そのため株価が上がりやすい、という現象には注意が必要です。

おとなり韓国の人気グループBTSの所属事務所HYBEの株価も、6月15日にBTS解散の話が出て大きく下落(−23%)する場面もあり、個人の人気による株価高騰という側面もあるので、要注意です。

・値上がり率ランキング

【第1位】マツモト<7901>……+557%(3,120円→20,500円)

いいですか、何度でも言いますが、こういうのが仕手株です。絶対に手を出さないでください。ここで取り上げるのも憚られるのですが、せめてこの記事を読んでくれる人が地獄に足を踏み入れないようにしてほしいとの思いからピックアップ。ほんと、不幸になるから手を出さないで。

【第2位】キャンバス<4575>……+254.6%(183円→649円)
【第22位】免疫生物研究所<4570>……+51.3%(304円→460円)
【第26位】窪田製薬ホールディングス<4596>……+49.6%(147円→220円)

これも何度も書いていることですが、大切なことなので再度。

バイオ関連銘柄は玉石混交で、本当に素晴らしい研究をしていたとしても、何の成果もありませんでした!というように最後にひっくり返されることがたくさんあるので、手出し無用です。あなたが医学博士や製薬の専門家だったとしても、です。

さらに、バイオ関連銘柄は「損切りできない」連続ストップ安になることもよくあります。

念のためにお伝えしておくと、キャンバスのこの上昇は本当に素晴らしい試験結果によるものだと理解しています。ただ、それでもバイオ関連銘柄に手を出すのはとても難易度が高いと考えています。よって、手出し無用の注意喚起のためのピックアップです。

・値下がり率ランキング

【第7位】モイ<5031>……−33.1%(784円→524円)

上記のANYCOLORは大きく上昇しましたが、配信サービス「ツイキャス」を提供している同社は大きく下落してしまいました。

ゲーム実況や配信が伸びているとは言っても、関連している会社がそろって上昇するわけではありません。なんとなく「同じ配信関連でしょ」という安易な紐づけは危険ですよ、という意味を込めてピックアップしました。

こちらも念のためですが、「ツイキャス」は素晴らしいサービスです。ただ、だからと言って株価が上がり続けるわけではないのです。

大きなうねりがやって来る…?

インフレ(円安も含め)関連やエネルギー・資源関連は時価総額も大きく、資金が集まりやすいなぁと感じています。チタンや石炭、商社に加え、ここ最近の猛暑による電力不足と原発再稼働期待で電力会社が買われる、なんてことも起こっています。

そして、これらは全て時価総額の大きな企業で売買代金も大きく、トレードしやすいと感じます。

反対に、今回ピックアップしたマツモトやバイオ関連は時価総額も小さく、売買代金も小さく、それゆえ操作しやすいから仕手株化する、というような傾向があります。また、ANYCOLORのようなスター銘柄が出たとしても、それ単体では相場を押し上げるほどの強さは生まれません。

このコラムで何度も書かせていただいていますが、トレードにおいて、マーケットで大事なものの筆頭が「売買代金の大きさ」だと私は考えています。

そして、業界やテーマが大きければ大きいほど、大きな相場になっていきます。半導体や海運、資源やエネルギー関連のような大きなテーマには、資金が大きく集まります。そうした大きな「うねり」が、今のマーケットで動き始めているように感じます。

上下どちらに動くかはわかりませんが、大きな動きになっていくかもしれません。年の後半に向けてしっかりとマーケットと向き合って、チャンスを掴んでいきましょう。

それでは最後に。
「株で大金ゲットですわぁ~~~~~♪」

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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