半導体株が帰ってきた! バブル後高値に沸く相場でプロが「まだ上がる」と期待する銘柄とは

窪田 剛
2023年6月1日 9時00分

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《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから5月相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

月相場を振り返って

33年ぶり! バブル後の高値更新!
NVIDIA! NVIDIA! エヌビディア!! 半導体株の復活!!!

この5月、日経平均株価は終始力強い上昇となりました。もちろん、円安によって押し上げられているという状況ではありますが、まずは素直に喜んでよいと思います。そして、ドル建てだとまだ高値更新には程遠いという事実を見れば、今後まだまだ上昇余地があるとも考えられます。

この上昇はこれで終わりなのか。それとも、さらなる大きな上昇トレンドの始まりに過ぎないのか──。サマーラリーに向けてしっかりとした1か月となりました。

5月相場で上がった株・下がった株

そんな2023年5月の株式相場を売買代金値上がり率値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。

2023月の売買代金トップ20

2023月の値上がり率トップ20

2023月の値下がり率トップ20

5月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

・売買代金ランキング

【第1位】レーザーテック6920> 5.01兆円
【第2位】東京エレクトロン8035> 1.5兆円
【第5位】アドバンテスト6857> 1.34億円
【第17位】ルネサスエレクトロニクス6723> 6184億円
【第19位】信越化学工業4063> 5796億円
【第21位】ソシオネクスト6526> 5406億円

4月にやや失速していた半導体関連銘柄を再びピックアップ。

2月にChatGPTが登場してから、多くの企業がAIを使ったサービスやAIそのものの開発を加速させています。ただでさえ半導体は不足していたのに、突如として大きな需要が発生していたことが、アメリカの半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算で明らかになりました。

それを受けて、日本の半導体関連銘柄も大きなにぎわいを見せました。

とはいえ、半導体関連であれば何でもいい、というわけではありません。なんでもかんでもにぎわっていたのが5月だとすると、これからは半導体関連のなかでも選別がはじまっていくでしょう。

では、どこが半導体関連銘柄の勝ち組なのか。

それは、これから日々のチャートをしっかりと確認していくことでしか見えてきません。日経平均全体を牽引していくであろう半導体関連銘柄を、これからもしっかりと追いかけていくことで、大きな利益になっていくと思います。

目を離すな!

(アドバンテストとソシオネクストのチャートは下に掲載)

【第4位】ソフトバンクグループ9984> 1.4兆円

AIといえばソフトバンクグループ(以下SBG)だからな!

全体の上昇には置いていかれているSBGですが、売買代金ランキングで4位に入ってきました。実はSBGは、今をときめくエヌビディア株に2016年に投資していました。当時約26ドルで3000億円分取得しており、2018年に約55ドルで売却しています。

この時点で約3300億円の利益なのでそれもすごいのですが、もし今保有していたとしたら含み益は4兆円ほどになります(2021年に4分割しているので調整後の株価で計算。なお、アリババは20億の投資で一時10兆円の利益)。

「孫さんでも失敗する」「儲け損ねている」という話ではなくて、やはり先を見る目があり、投資先にAIや半導体関連企業が多いのは変わりありません。ど真ん中は空振りしたかもしれませんし、失敗も多くあるかもしれませんが、下がり切ったSBGが今後復活していくのか。

2016年に3.3兆円で買収した半導体設計開発のアームがどうなっているのかも気になります(今年中に米ナスダックに上場予定)。ちょっと見ておきたいという期待を込めてピックアップしました。

・値上がり率ランキング

【第8位】アドバンテスト6857> +69.9%(10,540円→17,910円)
【第29位】ソシオネクスト6526> +48.9%(11,260円→16,760円)

売買代金ランキング5位のアドバンテストですが、時価総額が2兆円以上あるにもかかわらず、この上昇率だったのでピックアップ。やはり半導体が強い、ということを確認できます。

ソシオネクストは40%強を富士通、20%弱をパナソニックが持っており、時価総額は3000億円弱。アドバンテストと比べると小型ですが、それでもすごい上昇です。ただし、生成AIの波に乗れるかどうかは不明。注意しつつも、上昇している間はついていきたい、そんな銘柄です。

この波に乗るしかない!

いやぁ、強かった。33年ぶりの高値というのは、とても感慨深いですね。失った30年をこれから取り戻していけるんじゃないか、そんな淡い期待を持たせてくれる値動きでした。

円安もまた進行しており、1ドル140円まで下落しました。ここまで安い通貨であれば、これからも株は買われるのではないでしょうか。株を始めるのに遅すぎるということはありませんが、まだ株を始めていない人は、今こそ始めるときではないかと思います。

それにしても、今回何度も登場したエヌビディアは本当にすごいですね。需要がうなぎ上りです。

株価もすごいのですが、売買代金もものすごい。1日約4500万株も売買されており、円に換算すると約2.5兆円(400ドル×140円×4500万株)。東証プライムの1日の売買代金がおよそ3兆円ほどなので、エヌビディア株1銘柄で日本の主要企業の売買と同じくらい、ということになります。

もちろん、売買代金の大きさが全てではありませんが、主要な指標であることに変わりはありません。それだけ世界のマネーが半導体に向かっている、と考えることができます。その受け皿となりうる企業は日本にもあるはずです。

こんな大きなチャンスはなかなかないかもしれません。
乗るしかない! このビックウェーブに!!

2023年はしっかりと利益を上げる年にしていきたいですね。がんばりましょう!

【おすすめ】なぜ明日上がる銘柄がわかるのか 元手30万円を数億円の利益に変えたプロの銘柄選び

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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