半導体株が帰ってきた! バブル後高値に沸く相場でプロが「まだ上がる」と期待する銘柄とは
《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから5月相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》
5月相場を振り返って
33年ぶり! バブル後の高値更新!
NVIDIA! NVIDIA! エヌビディア!! 半導体株の復活!!!
この5月、日経平均株価は終始力強い上昇となりました。もちろん、円安によって押し上げられているという状況ではありますが、まずは素直に喜んでよいと思います。そして、ドル建てだとまだ高値更新には程遠いという事実を見れば、今後まだまだ上昇余地があるとも考えられます。
この上昇はこれで終わりなのか。それとも、さらなる大きな上昇トレンドの始まりに過ぎないのか──。サマーラリーに向けてしっかりとした1か月となりました。
5月相場で上がった株・下がった株
そんな2023年5月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄)。
・2023年5月の売買代金トップ20
・2023年5月の値上がり率トップ20
・2023年5月の値下がり率トップ20
5月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
・売買代金ランキング
【第1位】レーザーテック<6920> 5.01兆円
【第2位】東京エレクトロン<8035> 1.5兆円
【第5位】アドバンテスト<6857> 1.34億円
【第17位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 6184億円
【第19位】信越化学工業<4063> 5796億円
【第21位】ソシオネクスト<6526> 5406億円
4月にやや失速していた半導体関連銘柄を再びピックアップ。
2月にChatGPTが登場してから、多くの企業がAIを使ったサービスやAIそのものの開発を加速させています。ただでさえ半導体は不足していたのに、突如として大きな需要が発生していたことが、アメリカの半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算で明らかになりました。
それを受けて、日本の半導体関連銘柄も大きなにぎわいを見せました。
とはいえ、半導体関連であれば何でもいい、というわけではありません。なんでもかんでもにぎわっていたのが5月だとすると、これからは半導体関連のなかでも選別がはじまっていくでしょう。
では、どこが半導体関連銘柄の勝ち組なのか。
それは、これから日々のチャートをしっかりと確認していくことでしか見えてきません。日経平均全体を牽引していくであろう半導体関連銘柄を、これからもしっかりと追いかけていくことで、大きな利益になっていくと思います。
目を離すな!
(アドバンテストとソシオネクストのチャートは下に掲載)
【第4位】ソフトバンクグループ<9984> 1.4兆円
AIといえばソフトバンクグループ(以下SBG)だからな!
全体の上昇には置いていかれているSBGですが、売買代金ランキングで4位に入ってきました。実はSBGは、今をときめくエヌビディア株に2016年に投資していました。当時約26ドルで3000億円分取得しており、2018年に約55ドルで売却しています。
この時点で約3300億円の利益なのでそれもすごいのですが、もし今保有していたとしたら含み益は4兆円ほどになります(2021年に4分割しているので調整後の株価で計算。なお、アリババは20億の投資で一時10兆円の利益)。
「孫さんでも失敗する」「儲け損ねている」という話ではなくて、やはり先を見る目があり、投資先にAIや半導体関連企業が多いのは変わりありません。ど真ん中は空振りしたかもしれませんし、失敗も多くあるかもしれませんが、下がり切ったSBGが今後復活していくのか。
2016年に3.3兆円で買収した半導体設計開発のアームがどうなっているのかも気になります(今年中に米ナスダックに上場予定)。ちょっと見ておきたいという期待を込めてピックアップしました。
・値上がり率ランキング
【第8位】アドバンテスト<6857> +69.9%(10,540円→17,910円)
【第29位】ソシオネクスト<6526> +48.9%(11,260円→16,760円)
売買代金ランキング5位のアドバンテストですが、時価総額が2兆円以上あるにもかかわらず、この上昇率だったのでピックアップ。やはり半導体が強い、ということを確認できます。
ソシオネクストは40%強を富士通、20%弱をパナソニックが持っており、時価総額は3000億円弱。アドバンテストと比べると小型ですが、それでもすごい上昇です。ただし、生成AIの波に乗れるかどうかは不明。注意しつつも、上昇している間はついていきたい、そんな銘柄です。
この波に乗るしかない!
いやぁ、強かった。33年ぶりの高値というのは、とても感慨深いですね。失った30年をこれから取り戻していけるんじゃないか、そんな淡い期待を持たせてくれる値動きでした。
円安もまた進行しており、1ドル140円まで下落しました。ここまで安い通貨であれば、これからも株は買われるのではないでしょうか。株を始めるのに遅すぎるということはありませんが、まだ株を始めていない人は、今こそ始めるときではないかと思います。
それにしても、今回何度も登場したエヌビディアは本当にすごいですね。需要がうなぎ上りです。
株価もすごいのですが、売買代金もものすごい。1日約4500万株も売買されており、円に換算すると約2.5兆円(400ドル×140円×4500万株)。東証プライムの1日の売買代金がおよそ3兆円ほどなので、エヌビディア株1銘柄で日本の主要企業の売買と同じくらい、ということになります。
もちろん、売買代金の大きさが全てではありませんが、主要な指標であることに変わりはありません。それだけ世界のマネーが半導体に向かっている、と考えることができます。その受け皿となりうる企業は日本にもあるはずです。
こんな大きなチャンスはなかなかないかもしれません。
乗るしかない! このビックウェーブに!!
2023年はしっかりと利益を上げる年にしていきたいですね。がんばりましょう!