円安に揺れる相場で上がる株・強さを見せる株。プロが年末に向けて注目する銘柄とは

窪田 剛
2023年11月2日 15時00分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

2023年10月相場を振り返って

なんとか耐えたが、年末に向けて不安が残ってしまう……

10月はそんな1か月となりました。目立ったのは、新興市場の下落。この1か月で指数が10%を超える下落となりました。個人投資家に人気の新興市場がこの有り様ですから、新興市場メインの個人がここから盛り上がって年末を迎えるというのは、ちょっと難しい気がします。

とはいえ、大型で強いところはまだまだあるし、不安はあるけれどまだ上を目指せる位置なので、年末それから来年に向けてしっかりと準備をしていきたいところです。

10月相場で上がった株・下がった株

そんな2023年10月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。

・2023年10月の売買代金トップ20

・2023年10月の値上がり率トップ20

・2023年10月の値下がり率トップ20

10月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

売買代金ランキングの注目株

・半導体関連株

【第1位】レーザーテック<6920> 7.45兆円(4.46兆円)  *()は先月分
【第4位】東京エレクトロン<8035> 1.38兆円(1.40兆円)
【第9位】ディスコ<6146> 9796億円(6013億円)
【第10位】アドバンテスト<6857> 9444億円(1.1兆円)
【第17位】信越化学工業<4063> 5852億円(5386億円)
【第20位】ソシオネクスト<6526> 5615億円(4955億円)

先月から一旦お休み中の半導体関連株。お休み中とはいえ、売買代金ランキング上位20銘柄のうち6銘柄を占める主要テーマです。大きな動きがないか定期観測しておきたいところです。

アメリカの半導体関連株で構成されるSOX指数も、8月をピークにダウントレンドに入っていますが、今後も含め、主要産業の一角を占め続けることは間違いありません。引き続き監視です。

・メガバンク3行

【第2位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 1.77兆円
【第7位】三井住友フィナンシャルグループ<8316> 9895億円
【第15位】みずほフィナンシャルグループ<8411> 6087億円

アメリカ国債が5%に近づき、日本もじわりじわりと金利上昇圧力が高まっています。急激な金利の上昇は、先のシリコンバレーバンクのような歪みを生み出すこともありますが、じわりじわりであれば銀行にとってプラスが大きい、ということでしょうか。

日経平均全体は軟調推移ですが、ここに挙げたメガバンクや地銀も含めて堅調に推移しているところが多いです。銀行はしばらくチェックしておきたいですね。

・自動車関連株(というか円安)

【第3位】トヨタ自動車<7203> 1.45兆円

ついにドル円が150円を突破してしまいました。すでに150円台が定着し、152円も目前です。円安が利益増につながりやすい自動車関連は押さえておきたいところです。

値上がり率ランキングの注目株

【第7位】RIZAPグループ<2928> +57.8%(185円→292円)

一時386円をつけて2倍以上の上昇となりましたが、月末にかけて調整し、それでも1.5倍以上の上昇で10月を終えました。

2017年まで多くの企業を買収して拡大を続けていましたが、買収した企業の経営がうまくいかずに低迷していました。しかし今年に入り、chokoZAP(ちょこざっぷ)というサービスがヒットして店舗を拡大しています。

2022年7月からサービスが始まり、2023年5月時点で572店舗。2026年までに2000店舗を目指すということです。「こんなに増やして大丈夫かいな」、とライザップを見ていつも思いますが、やることが極端です。好きです。頑張ってほしい。

ちなみに、意識低い系フィットネスのアメリカ版「Planet Fitness」も伸びています。意識低い人向けだから会費が安く、通うのをやめても払い続ける人が多いみたいです。私も意識低い(運動に対して)ので気をつけないと!

値下がり率ランキングの注目株

【第14位】ispace<9348> −37.9%(1,416円→878円)

上場して6か月。やってきました、ロックアップ解除

上場前から投資していたベンチャーキャピタルや個人が株を売れるようになり、そのための需給悪化で売られる時期です。同社も一気に売られてしまいました。とはいえ、上場時の公募価格は254円だったので、それに比べると現在株価は3倍以上です。

「難しい宇宙への挑戦、長い目で応援したい」

そう思って5年10年と付き合っていく覚悟がある人が投資するといいのではないでしょうか。私は2週間くらいしか保有しないので、ちょっと手が出しにくいですね。

胸張って大いに稼ごう

円安!

10月はこれに尽きますね。なんとか140円台を保っていたのに、月末にあっさりと150円を突破。これが定着してしまうと、日本という国の先行きがどんどん暗くなってしまう気がします。海外旅行なんて夢のまた夢……そんな未来にならないように、しっかりと稼いで国に貢献したいと思います。

トレードは、悪く言われがちです。「生産性がない」「ゼロサムゲームだ」「汗をかけ」「虚業だ」……。いろいろと言われますが、マーケットというものがあるから、いま、私たちはいろいろなモノやサービスを安価に受けられていて、それを支えているのがトレーダーです。

もしマーケットがなかったら、マーケットに流動性がなかったら、そんな世界は考えられないのです。それくらい、トレードというのは陰ながら多くの人の生活を支えている存在なんだと思っています。

だから、胸を張って、大いに稼いで、大いに納税して、日本を、世界を盛り上げていきましょう。そして、たまには意識低くダラダラして、ちょこざっぷするのもいいんじゃないでしょうか(笑)

年内もあと2か月。いつか来るバブル後高値に向けて、意識高く準備をしておきましょう!

(本記事は「株の学校トピックス」からの転載記事です)

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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