低空飛行の日本株 それでもプロが監視を続ける意外な重要銘柄とは
《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》
2024年5月相場を振り返って
銀行と電力! 金利上昇と原発!
そして、エヌビディアの決算! 半導体!
そんな5月でした。
年始から大きく上昇した日経平均株価は4月に調整し、そのまま5月も低空飛行を続けました。
そんな相場環境ですが、いくつかの業種、銘柄には力強さがあります。そういった強い銘柄をおさらいして、6月から始まる夏相場に備えていきましょう。
5月相場で上がった株・下がった株
そんな2024年5月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄)。
・2024年5月の売買代金トップ20
・2024年5月の値上がり率トップ20
・2024年5月の値下がり率トップ20
5月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
上位独占!
売買代金ランキング
【第1位】レーザーテック<6920> 5.42兆円
【第2位】ディスコ<6146> 3.51兆円
【第3位】ソシオネクスト<6526> 2.71兆円
【第4位】東京エレクトロン<8035> 2.36兆円
【第8位】ソフトバンクグループ<9984> 1.42兆円
【第10位】アドバンテスト<6857> 1.20兆円
【第11位】TOWA<6315> 1.19兆円
【第15位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 9365億円
【第18位】信越化学工業<4063> 8384億円
5月22日にアメリカの半導体大手、エヌビディア<NVDA>の決算発表がありました。市場予想を大きく上回る結果となり、決算発表後に株価は大きく上昇。このエヌビディアの好業績を受けて、日本の一部の半導体株も上場来高値を更新する動きとなりました。
さらに、売買代金ランキングの上位4位までを半導体関連株が独占しており、引き続き、注目度の高さを感じます。
半導体関連株は大きく上昇してきていますが、まだまだ上昇する可能性もあります。監視を続けていきましょう。ちなみに、以下は先月のコラムの一文です。ね? 言ったでしょ?(笑)
よく、崩れてしまうとすぐに監視をやめてしまう人がいるのですが、半導体関連銘柄はまだしばらくの間、監視をやめずに日々値動きを追っていくべき銘柄群です。必ずまたチャンスが来ると確信しています。
「最重要」になるかも?
売買代金ランキング
【第5位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 2.13兆円
【第7位】三井住友フィナンシャルグループ<8316> 1.52兆円
【第23位】みずほフィナンシャルグループ<8411> 7562億円
日本の長期金利が、ついに1%に乗せてきました。これを受けて、銀行株が上昇しています。メガバンクは3行とも高値を更新し、引き続き、力強い動きを見せています。ひょっとしたら銀行株は、この後の「最重要監視銘柄」になるかもしれません。要チェックです。
意外と大きな流れに
売買代金ランキング
【第9位】東京電力ホールディングス<9501> 1.26兆円
【第20位】北海道電力<9509> 8323億円
/値上がりランキング第27位:+47%(1122円→1650円)
銀行に続いて、大型銘柄の電力株が買われています。原発再稼働の準備が整いつつあるのも材料ですが、ここでも半導体関連が関わってきます。
というのも、AIや半導体工場、データセンターに大きな投資が集まっていますが、こういった施設は大きな電力を必要とします。結果、電力需要が大きく増加することが見えており、かつ、原発を再稼働できれば大きな利益を上げられる──
ということで、普段こんなに注目を集めることはない各電力会社が大きく上昇しているのです。
当初は一時的なものかなと思って見ていましたが、意外と大きな流れとなって、今後も上昇が続く可能性があるな、と今は見ています。こちらも要チェック!
丁寧に探せばチャンスは無限
全体で見れば調整が続いている日本株ですが、半導体、銀行、電力などが強く推移しています。他にも個別銘柄では、日立製作所<6501>や川崎重工業<7012>、アシックス<7936>、ENEOSホールディングス<5020>も強く推移しています。
さらに、東京海上ホールディングス<8766>やSOMPOホールディングス<8630>、MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725>などの保険会社も、政策保有株の売却とその資金による株主還元期待によって大きく上昇しています。
丁寧にマーケットを見ていけば、まだまだ強い、上昇基調の株はたくさんあります。
1月から3月まで、何もしなくても全体が上昇していたような局面では、ある種「雑に」トレードしていても儲かったかもしれませんが、今は、「丁寧に」マーケットの隅々まで見ていく必要があります。
チャンスは多くないかもしれませんが、やれることはまだまだあるし、今後来るであろう大相場に向けて準備をしておく期間でもあります。
「4月以降、調子悪いなぁ」と思っている画面の前のあなた! ここからが勝負です。大丈夫。チャンスは無限にありますよ!
(本記事は「株の学校トピックス」からの転載記事です)