【都道府県ランキング】株式投資をやっている⼈、2位は和歌山、3位は東京 意外なトップは?

株の学校ドットコム
2023年5月25日 8時00分

garden / Adobe Stock

《一般的に、金融リテラシーは経済的な豊かさと密接に関係すると言われます。では、住んでいる地域や文化によっても差があるのでしょうか? 都道府県ごとに株式投資を行う人の割合を示したランキングをひもといてみましょう》

株式投資に取り組んでいる人、トップは沖縄

岸田政権が掲げる「資産所得倍増計画」は広く知られるようになりましたが、日本ではまだまだ株式投資に消極的な人が多いのも事実。「お金に対する価値観は9歳までに確立される」という研究結果もあり、株式投資への積極性は育ってきた文化圏に大きく影響されそうです。

オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、全国の20代〜70代の男⼥10,000名にアンケート調査を実施。「あなたは株式投資に取り組んでいますか?」という問いに対して「はい」と回答した割合を都道府県別でランキングにしました。

すると、トップは意外にも沖縄県で、41.8%もの⼈が株式投資に取り組んでいることがわかりました。

男女別にみると、男性は第3位(45.0%)、女性は第1位(37.0%)。沖縄県で株式投資に取り組んでいると回答した女性の割合は平均よりも15.8ポイント⾼く、それが全体順位を押し上げる結果となったようです。

沖縄の金融リテラシーを牽引するのは?

しかし、沖縄といえば観光地のイメージの一方で失業率が高く、「株式投資を行う人が多い地域」という印象が薄いと感じる人も多いでしょう。しかし、同じ調査で「運用資産1000万円以上」と答えた人の割合は14.3%(全国28位)で、一部の富裕層が順位を押し上げている……というわけでもなさそうです。

沖縄県は2021年まで47都道府県で唯一、出生者数が死亡者数を上回る自然増を記録していました。背景には、2万人を超える在留外国人の存在が考えられます。 さらに、県外からの移住者は年間2~3万人。

ここで断定することはできませんが、もともと金融リテラシーの高い移住者や移民が、沖縄全体の金融リテラシーにも影響を与え、今回の順位を押し上げた可能性はあるかもしれません。

「株の学校ドットコム」のアンケート結果の詳細は、こちらから。
【都道府県ランキング】株式投資をやっている⼈、 意外なトップは沖縄、2位は和歌⼭(PDF)

地方躍進の裏に、がんばる地銀の存在?

今回の調査では、2位以下のランキングも興味深い結果が出ています。

  • 第2位:和歌⼭県(37.1%)
  • 第3位:東京都(35.5%)
  • 第4位:愛媛県(35.0%)
  • 第5位:⼤分県(32.8%)

3⼤都市圏に属する都府県が上位を占めると予想されましたが、東京都は3位(35.5%)、愛知県は7位(32.7%)、千葉県は9位(32.5%)、神奈川県は10位(31.7%)という結果に。さらに、⼤阪府は23位(28.2%)で福岡県は28位(26.5%)と、いずれもトップ10圏外となりました。

意外にも地⽅の県が多く上位に⼊りましたが、背景には地方銀行・第二地方銀行の存在が考えられます。

大都市圏を基盤とする都市銀行(メガバンク)のシェアが縮小するなか、近年も堅実にシェア拡大を続けるのが地方銀行・第二地方銀行です。個人投資家をサポートすることは地域経済活性化につながるため、各金融機関は積極的な情報提供や支援を打ち出しています。

彼らの強みは、対面により地域に密着した細かいニーズに対応すること。実際に、金融機関の担当者の勧めで投資を始める人は多いようで、地方では投資未経験の銀行利用者にしっかりアプローチできているのかもしれません。

東北地方は株式投資に消極的?

ちなみに、株式投資に取り組んでいる人の割合が最も低かったのは岩⼿県で、わずか7.8%でした。2番目に少ないのは青森県(14.1%)、3番目は山形県(14.5%)、4番目は熊本県(14.6%)、5番目は秋田県(15.1%)。

トップの沖縄県と最下位の岩⼿県の差は34ポイントもあり、実に5倍以上もの差が明らかとなりました。

ワースト5にランクインした県を見ると、東北地方はあまり株式投資に積極的ではないようです。厳しい寒さに耐えながら生活する東北の人々は辛抱強く内向的な性格の人が多い……とはよく言われることですが、株式投資の普及率と関係があるのか、興味深いですね。

日本に女性投資家が少ないワケ

最後に、男女差を見てみましょう。

男性の順位で最も⾼かったのは和歌⼭県で、その割合は51.5%。第2位が富⼭県(46.2%)、第3位が沖縄県(45.0%)でした。

⼥性の場合、第1位は沖縄県(37.0%)、第2位は⼤分県(31.4%)、第3位は東京都の27.8%と続きます。男性1位の和歌⼭県が20.7%で19位、男性2位の富⼭県が14.7%で36位と、男⼥間で違いが明らかに。反対に、女性3位の東京都は、男性では9位(42.6%)に留まりました。

そして、男性の場合は上位14都県までが4割を超えていたのに対し、⼥性で3割を超えたのはわずか2県のみ。全国平均は男性37.4%、⼥性21.2%で、男女差が大きいことがよくわかります。

男女の年収格差は依然として大きい

「株式投資をしている人の割合」に男女差が見られるのは、依然として隔たりが大きい賃金格差の影響があるのではないでしょうか。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、2022年のフルタイム労働者の平均賃金は、男性では34万2000円、対して女性は25万8900円。年収にするとおよそ160万円もの格差が見られます。男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は75.7で、この差は国際的にも大きなものです。

政府に対しては、投資推奨よりも賃金の引き上げや格差是正を求める声も多く、今後の動向が注目されます。

地方から株式投資ブームが広がる?

沖縄県や和歌山県、愛媛県など、意外な県が上位に入った今回のアンケート調査。地域や男女間に差が見られるものの、少しずつ株式投資が浸透していることは間違いないでしょう。地方経済を支える地銀などが若い世代に積極的にアプローチし、それがシェア拡大につながっているとも考えられます。

コロナ禍を境に地方移住を決意する人も増え、「東京一極集中」が改めて見直されるようになった昨今。「貯蓄から投資へ」の新たなムーブメントが、地方から広がりを見せるかもしれません。

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