トランプ関税で個人投資家の3割が慎重に。より積極的になったのは?

トランプ関税ショックの影響
《オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、株式投資に取り組んでいる人々に、さまざまなアンケート調査を実施しています。そこから見えてきた、個人投資家・トレーダーの本音とは?》
2025年4月2日、アメリカのトランプ大統領が輸入品への関税を大幅に引き上げると発表しました。
これにより世界中の株価が下落。日経平均株価は3月末の35,617円から、4月7日には30,792円まで下がり、15.5%もの下落を記録しました。この「トランプ関税ショック」は、個人投資家は株取引にどんな影響があったのでしょうか。
全国800人の個人投資家を対象に株取引への影響についてアンケート調査で訊ねたところ、自身の株取引に何らかの影響があったと回答したのは452人(56.5%)でした。特に影響はなかったと回答したのは345人(43.1%)です。

調査結果の詳細は、株の学校ドットコムのウェブマガジン
「株の学校トピックス」に掲載しています。
慎重になった人が多いが、積極的になった人も
具体的には、どのような影響があったのでしょうか。
複数回答で答えてもらったところ、「売買により慎重になった」が166人(36.7%)で最多。次いで「今は売買をやめている」が145人(32.1%)、「投資の戦略や方針を変えた」が80人(17.7%)でした。全体として、売買に対する姿勢がより慎重になったことがうかがえます。

その一方で、積み立て投資に関しては、「積み立ての金額を増やした」と回答した人の数(60人)が、「積み立ての金額を減らした」「積み立てを停止した」と回答した人を合わせた数(44人)よりも多くなっています。これには、特に若い世代の意見が反映されています。
20代は売買に積極的になり、積み立ても増額!
上の調査結果を年代別に分析してみると、30代から60代ではいずれも4割前後の人が「売買により慎重になった」と回答しており、各年代において最多の回答を集めました。
また、70代以上では「今は売買をやめている」と回答した人が最も多く、6割近くにのぼっています。

これに対して、20代では「売買により積極的になった」「積み立ての金額を増やした」がそれぞれ35%の回答を得て最多となりました。
30代でも「売買により積極的になった」と回答した人は28%で40代以上と比べれば多く、若い世代の個人投資家の中には、これを機により積極的な売買に乗り出した人も多くいるようです。
個人投資家が考える、今後の展望と方針
トランプ関税ショックで日経平均株価は下落したものの、その後は順調に回復し、6月27日には4万円台を突破する場面もありました。こうした中、個人投資家たちは今後の相場についてどんな展望を持ち、どんな株取引を行っているのでしょうか?
- 「だいぶ戻って来た。一喜一憂せず、長い目で見てるのでそのまま置いておく」(23歳・女性)
- 「値動きは激しい状態が続くと思うが、今までの方針を貫いていきたい」(29歳・男性)
- 「これまでと変わらず貪欲になりすぎず、できるだけ細かく利確していきたい。損切をどうするかは未だ方針が
しっかりしない」(33歳・女性) - 「乱高下を繰り返すと思う。そんな中でも確実に安い時には積極的に買っていきたい」(34歳・男性)
- 「一般市民には今後の見通しは読めないと半ば諦めている。リスクをなるべく減らし、長期的に考え、分散しな
がらコツコツと積み立てていきたい」(36歳・女性) - 「基本的には株価は上昇トレンドと思うが地政学リスクなどで急落もある、対処は長い目で見るしかない」(47歳・男性)
- 「トランプショックのようなことがおきてもいいように、配当が高い銘柄を持っている」(49歳・男性)
- 「先行きが見えなくて、慎重になり過ぎて取引に積極的になれない」(50歳・女性)
- 「あまり大きな変動はしないと考えており、安定的な長期投資を続ける予定」(54歳・男性)
- 「今後、円高が進み日経平均が下がると思うので、円高に強い株を買いたいなぁと」(57歳・女性)
- 「引き続き好きな企業、応援したい企業に余裕があるときに投資したい」(62歳・女性)
- 「米国政府に信頼感を持てなくなったため米国株式から撤退したいと思う」(67歳・男性)
- 「今はトランプ関税やイラン・イスラエル問題などで株式指標は不安定な状況であり落ち着くまで様子見をする」(71歳・男性)
- 「特に積極的な取引は考えていない。自分には難しすぎるし、儲けようとするとストレスが大きくなるから」(73歳・女性)
「正解」は投資家ひとりひとりの中にある
トランプ大統領が発表した相互関税のニュースに株式市場は大きく反応し、日経平均株価も下落しました。しかしながら、それに対する個人投資家の反応は、必ずしもネガティブなものばかりではないことが、今回の調査でわかりました。
「売買により慎重になった」という人がいる一方で、「売買により積極的になった」という声も多く、また、自身の株取引には「特に影響はない」と判断した人も4割を超えました。
今後の展望に関するコメントからも、個人投資家ひとりひとりが自身の投資スタイルに応じた受け止め方をしていることが伝わってきます。
ただ、なかには「先行きが見えなくて、慎重になり過ぎて取引に積極的になれない」「自分には難しすぎる」など、漠然とした不安を抱えている人もいます。
どのような姿勢で株式市場と向き合うかに唯一の正解はなく、自身の投資方針に従った対応を心がけることが、不透明感のある相場状況では特に求められます。
NISAを活用した長期・分散・積み立て投資に取り組むのであれば、目の前の出来事だけに一喜一憂しないことが何よりも重要でしょうが、短期の売買で利益を得るなら、攻勢を仕掛けるべき絶好のチャンスかもしれません。
投資家それぞれの戦略やスタイル、売買ルールによって、それぞれにとっての〝正解〟があるはずです。
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