2024年の株価はどうなる? 干支の相場格言「辰巳天井」どおり龍は昇っていくか?

網代奈都子
2023年12月21日 12時00分

干支で読む、2024年の株式市場

株式市場には「アノマリー(Anomaly)」と呼ばれる〝法則のようなもの〟がたくさんありますが、日本では、こんな「干支アノマリー」とも言える相場格言が伝えられています。

辰巳たつみ天井うま尻下がり、ひつじ辛抱、申酉さるとり騒ぐ、いぬは笑い、固まる、は繁栄、うしはつまずき、とら千里を走り、うさぎは跳ねる

これによると、辰年の2024年と次の巳年に株価は「天井」をつける、とのこと。つまり、現在イケイケどんどんに見える日経平均株価は、来年も引き続き順調に上昇していく? それとも、どこかでピークを打ってしまう……?

残念ながら、未来のことは誰にもわかりません。でも、「過去どうだったか?」を知ることはできます。過去の辰年の日経平均株価を振り返って、令和6年の株式市場がどんなものになるのかを思い描いてみることにします。

それでは、12年ごとに時間旅行をしていきましょう。

2012年(平成24年)──株価もワイルド

  • 年始の始値:8,549.54円
  • 年末の終値:10,395.18円  1,845.64円(+21.6%)

「天井」という言葉から想像されがちな「めいっぱい上がっています!」というよりも、年始から3月にかけて右肩上がりで山ができ、その後、6月で山は一気に裾野まで戻ってしまっています。そのあとは刻みながらも年末まで右肩上がりになっていく、にぎやかなチャートになりました。

・2012年はこんな年

[新語・流行語大賞]
  • ワイルドだろぉ」……ピン芸人を競うコンテスト「R-1ぐらんぷり」で準優勝したスギちゃんの一発ギャグ。

大賞を逃した流行語の中には「終活」があり、こちらのほうが今の日本には根付いているようです。また、2012年は「東京スカイツリー」が完成した年でもあり、流行語の中にも「東京ソラマチ(東京スカイツリー隣接の商業施設)」がエントリーしています。

2000年(平成12年)──20世紀最終の年

  • 年始の始値:18,937.45円
  • 年末の終値:13,785.69円  −5,151.76円(−27.2%)

年始から3月までは微増傾向も、その後は絵に描いたような右肩下がりの一年となりました。復活の兆しすら見えず、ミレニアムなお祭り気分は皆無。天井感とは程遠いチャートとなりました。

・2000年はこんな年

[新語・流行語大賞]
  • おっはー……SMAPの香取慎吾がテレビ番組「サタ・スマ」(フジテレビ系)の中で演じたキャラクター「慎吾ママ」の挨拶。
  • IT革命……情報技術(Information Technology)の革新が、経済、しいては社会に大きな変貌をもたらすこと。

「IT革命」の背景には、パソコンの低価格化に伴う一般層への普及拡大がありました。ちなみにスマホは、世界を見渡せばすでに開発はされていたものの、一般層への普及はほぼ皆無。人々は二つ折りの携帯電話を使っており、前年にリリースされた「iモード」に夢中でした。

1988年(昭和63年)──ザ・バブル!

  • 年始の始値:21,551.20円
  • 年末の終値:30,159.00円  8,607.8円(+40.0%)

ザ・バブル! 美しい右肩上がりです。日経平均株価は年間40%もの上昇を見せ、初めて3万円の大台を突破しました。

1988年のバブルはその後、1991年に崩壊しましたが、日経平均株価が史上最高値(38,957.44円)を付けたのは、翌89年12月29日。巳年の大納会でのことでした。24年前の辰年は、天井へ向かう階段を駆け上がった年だったとも言えます。

・1988年はこんな年

[新語・流行語大賞]
  • ペレストロイカ……ロシア語で「再構築」の意味。ソビエト連邦においてゴルバチョフ大統領が行った政治改革でしたが、その後、ソ連は1991年に崩壊します。

国内を見ると青函トンネル、瀬戸大橋が開通した年であり、〝イケイケどんどん〟な世相がまばゆいですね。

1976年(昭和51年)──緩やかな変動

  • 年始の終値:4,403.06円
  • 年末の終値:4,990.85円  587.79円(+13.3%)

チャートの形状はそれなりに行ったり来たりですが、年間上昇率は+10%程度で、緩やかな一年でした。これは「天井」というピークにいるから?というわけではなく、年足で見ると、バブルが弾ける(1991年)まで怒濤の右肩上がりが続く道のさなかであり、「天井」かと言えば微妙です。

・1976年はこんな年

大和運輸(現ヤマトホールディングス<9064>)が個別宅配サービス「宅急便」を開始しました。

コロナ禍を経て新しい生活様式が広がり、宅配サービスは現代生活に欠かせない重要インフラに成長しました。2024年はトラックドライバーの時間外労働時間が制限される、いわゆる「2024年問題」が現実となります。わたしたちの暮らしは、そして物流業界の業績・株価はどうなるのか? 気になります。

1964年(昭和39年)──株価は動かず

  • 年始の終値:1,204.40円
  • 年末の終値:1,216.55円  12.15円(+1.0%)

10月10日、東京オリンピックが開会しましたが、そこに向けて株価がぐんぐん上昇!というようなことは、まったくなかったようです。チャートを見ると「山」はできてはいるものの、裾から山頂で+10%程度。年間の上下変動も乏しい、どうにも静かな一年でした。

・1964年はこんな年

オリンピック開催にあわせて、様々なものが完成した年です。ホテルニューオータニ、東京プリンスホテル、そして、オリンピックの10日前には東海道新幹線が東京〜新大阪間で開業しました。

また、今でも愛される定番おやつ、カルビー<2229>の「かっぱえびせん」やロッテ「ガーナミルク」が生まれた年でもあります。ロッテは非上場ですが、過去には上場の噂もありました。もし来年上場したら超大型案件ですね。

2024年、株価はいよいよ「天井」へ?

過去の5回の辰年を振り返ってみると、年始から年末の騰落では4勝1敗。たしかに、巳年へ向けて昇った年が多いものの、これくらいの勝率なら他の干支にもありました(参考→干支で読む株式相場)。わかりやすく「天井感」があったのはバブル真っ只中の1988年のみ。

2024年の辰は「昇り龍」になってくれるのか、はたまた「竜頭蛇尾」なのか……? 相場がどう変貌しても、龍のように力強く立ち向かっていきたいですね。

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[執筆者]網代奈都子
網代奈都子
[あじろ・なつこ]30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。
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