もはやスピード違反! 7万円へ駆け上がった相場で売られた株と、プロが気にする「2つのこと」

窪田 剛
2026年7月1日 15時30分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、2026年6月相場を3つのランキングから相場を振り返ります》

2026年6月相場を振り返って

なんと、日経平均株価が7万円を超えてきました。

年始の5万円から6月で7万円まで急上昇。「スピード違反」とも言われるような速さを見せています。さすがに高値72,831円を付けた後は調整していますが、依然として高値圏にあります。さらに、為替も約40年ぶりに1ドル162円台まで下落してしまいました。

株高が続いていますが、為替、金利、インフレなど気になる指標も多くなっています。ここから先は、しっかり装備を整えて、安全第一でマーケットの荒波を乗り越えていきましょう。

6月相場で上がった株・下がった株

そんな2026年6月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズ)。

・2026年6月の売買代金トップ20

・2026年6月の値上がり率トップ20

・2026年6月の値下がり率トップ20

6月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

AI関連──「AIに非ずんば株に非ず」

▼売買代金ランキング *()は前月
【1】キオクシアホールディングス<285A>72.05兆円(32.47兆円)
【2】ソフトバンクグループ<9984>10.93兆円(9.06兆円)
【3】太陽誘電<6976>10.26兆円(1.65兆円)
【4】村田製作所<6981>8.46兆円(2.97兆円)
【5】東京エレクトロン<8035>7.40兆円(2.82兆円)
【6】フジクラ<5803>6.16兆円(7.74兆円)
【7】アドバンテスト<6857>5.71兆円(4.27兆円)
【8】イビデン<4062>4.52兆円(2.88兆円)
【9】レーザーテック<6920>3.88兆円(2.66兆円)
【10】古河電気工業<5801>3.71兆円(5.64兆円)
【11】ディスコ<6146>3.34兆円(2.10兆円)
【13】JX金属<5016>2.78兆円(2.47兆円)
【14】三井金属<5706>2.01兆円(2.34兆円)
【17】住友電気工業<5802>1.81兆円(1.64兆円)
【18】ルネサスエレクトロニクス<6723>1.76兆円(1.44兆円)

キオクシアの売買代金がすごいことになっています。今年の始め、東証プライム市場全体の売買代金は一日6兆円ほどでしたが、今ではキオクシア1銘柄で4兆円を超える日もあります。

6月30日は全体の売買代金が11兆円、うちキオクシアが3.2兆円。ここにピックアップした銘柄の売買代金だけで約9.2兆円あります。ここにない銘柄もあわせると、11兆円のうちの9割近くの売買がAI関連銘柄に集中していることになります。

まさに「AIに非ずんば株に非ず」という状況になっており、それ以外の銘柄は鳴かず飛ばずといった状況です。

ただ、この状況にもいつか必ず終わりが来ます。むしろ、いつ来てもおかしくない状況なのですが、意外と長く続く可能性もあります。ここから先は注意しながら、上がるなら買いでついていく、しかし慎重に。そんな局面です。

銀行株──今後に向けて要チェックです

▼売買代金ランキング *()は前月
【12】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>2.91兆円(2.30兆円)
【15】三井住友フィナンシャルグループ<8316>2.00兆円(1.54兆円)
【20】みずほフィナンシャルグループ<8411>1.73兆円(1.51兆円)

6月16日に政策金利が0.75%から1.00%に引き上げられました。1995年以来、実に35年ぶりの水準となります。セオリーどおりなら、金利が上がれば株価は下落するのですが、日経平均株価は最高値を更新。

銀行株は、金利上昇による収益拡大期待があるので、メガバンク、そして地銀も、今後注目される場面が出てくるかもしれません。AI関連の陰に隠れてしまっていますが、ぜひチェックしておきましょう。

宇宙関連──視界から外さないように

▼値下がり率ランキング *(前月終値→当月終値)
【4】アストロスケールホールディングス<186A>-57.0%(2,739円→1,176円)
【6】QPSホールディングス<464A>-52.0%(4,060円→1,948円)
【17】アクセルスペースホールディングス<402A>-41.1%(865円→509円)
【18】スカパーJSAT<9412>-40.1%(4,470円→2,677円)
【29】Synspective<290A>-35.0%(1,896円→1,232円)

5月に注目していた宇宙関連銘柄たちが、そろって値下がり率ランキングに入ってしまいました。

米スペースXの上場は予定どおり行われ、成功したといってよいでしょう。しかし、今回のIPOは日本からも参加しやすく、実際、多くの人が日本から参加したようです。そのため、スペースX上場の思惑で買っていた日本の宇宙関連銘柄を売って、本家アメリカのスペースXに資金を投じよう、という動きがあったようです。

それでも、宇宙関連は高市政権の掲げる17の戦略分野にも入っているため、今後また動き出す可能性があります。視界からは外さないようにしておきましょう。

今後押さえておくべき17テーマ

6月24日、高市政権は日本成長戦略の柱として「戦略17分野」を策定しました。2040年までに官民で総額370兆円を超える投資が行われる「計画」です。この17分野は、しっかりと押さえておきましょう(金額の大きい順、内訳は割愛)。

AI・半導体約101.6兆円
デジタル・サイバー約55.4兆円
創薬・先端医療約43.3兆円
合成生物学・バイオ約33.6兆円
情報通信約28.8兆円
資源・エネルギー・GX約28.8兆円
航空・宇宙約18.5兆円
量子約13.2兆円
マテリアル約12.7兆円
防衛産業約2.1兆円〜(※現時点の明示分。今後大幅な追加見込み)
核融合技術約3.1兆円
防災・国土強靱化約2.6兆円
海洋約2.4兆円
フードテック約2.3兆円
コンテンツ約1.6兆円
港湾ロジスティクス約0.6兆円
造船(LNG運搬船含む)(金額は他分野と連動・調整中)

気になっている2つのこと

気になっていることが2つあります。

1つめ。それは、私の周りの友人やその友人までもが、みんなキオクシアを買っていることです。そして、みんなそろって「ちょっと下がっちゃったけど、どうすればいいだろう?」と聞いてきます。答えは「すぐ売れ」なのですが、それは置いておいて。

ここで思い出したのが「靴磨きの少年の話」です。1929年のアメリカでは、靴磨きの少年が株を買っていた。誰もが「買えば儲かる」と楽観していた。それを見たケネディ大統領の父親はすべての株を売り、その後マーケットは大暴落し、世界恐慌が始まった……という有名なエピソードがあります。

2つめ。「マグニフィセント・セブン」といわれる7社(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラ)の株価が調整しはじめています。同じくキオクシア、そして日経平均も高値圏で調整中です。

ここから大きく下落してしまうのか。それとも踏みとどまって、短い調整のまま上昇が継続するのか。注意が必要なタイミングです。

……と、気になる点はありますが、ここからさらに上昇していくのであれば、注意しながらも買いで大きく利益を上げる局面です。ただし、変化を感じたらすぐに逃げ出しましょう。逃げ遅れると大きな損失を抱えてしまうことになります。

もしくは、ちょっとマーケットから距離を置いて、静観してもいいかもしれません。それくらい難しい局面に入ったと感じています。

舞踏会の主役になって

今回の締めに、私が好きな言葉を紹介します。

「音楽が鳴っている間は、みんなと一緒に先頭で踊り続けよう。
 音楽が鳴りやんだら、いちばん先にダンス会場から逃げ出そう」

(株価が上昇しているうちは買いで儲けろ。下落が始まったらすぐに売れ、という意味)

私ですか? もちろん、私は踊り続けますよ!
逃げる準備をしながらも、舞踏会の主役になって踊り続けます。

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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