9月の株価はどうなる? 「暗黒」の秋相場で主役の座をつかむ銘柄とは

岡田禎子
2026年8月28日 8時00分

《何かが起こる9月相場。2026年は相場の主役が変わる「ローテーション」の月となるか? 重要イベントと注目銘柄から、9月相場の傾向と対策を解説

暗黒の9月」と呼ばれる、世界的に株価が弱くなりやすい9月相場がやってきます。需給面から相場が不安定になる時期ですが、2026年は単なる下落ではなく、ローテーションの月になりそうです。

日米の金融政策や中東情勢など相場を動かす材料が相次ぐ一方で、日本株には、好調な企業業績や自社株買いといった下支えも出てきています。調整を警戒しつつ、秋相場の主役となる銘柄を探しましょう。

  • 重要イベント:メジャーSQ、FOMC、日銀金融政策決定会合、東京ゲームショウ、愛知・名古屋アジア大会
  • 注目銘柄:秋物商戦で「三越伊勢丹HD」、防衛で「IHI」、利上げ観測で「三菱UFJフィナンシャル・グループ」、ゲーム・エンタメで「ソニーグループ」、アジア大会で「JR東海」

9月相場の特徴──アノマリーと恒例イベント

9月相場は「株価が下がりやすい」ことで知られています。夏休み明けの機関投資家によるポジション調整や、メジャーSQ、半期末のリバランスなどが重なり、需給面で売りが出やすい時期なのです。

実際、日経平均株価の月間騰落率は過去20年平均でプラス0.1%と、年間を通じても弱い月のひとつです。下落しやすい季節性を頭に入れつつ、相場全体よりも個別の業績や材料を見極めながら銘柄選定を行いたいところです。

・「暗黒の9月」に要警戒

アメリカの株式市場は歴史的に9月は株価が弱く、2001年の同時多発テロや2008年のリーマン・ショックなど、市場を揺るがす出来事も9月に起きています。日本株も“連れ安”となりやすく、一年の中でも警戒したい月のひとつです。

・気をつけたいのは「レイバーデー明け」

アメリカでは9月の第1月曜日は「レイバーデー(労働者の日)」の祝日で、金融市場はお休みです。そして、この日を境に夏休みを終えた機関投資家が市場に戻り、本格的に秋相場が始まります。8月の薄商いから参加者が戻ることで、ポジションの組み直しも起こります。

今年のレイバーデーは9月7日(月)。8月末のエヌビディア決算を消化した直後となるだけに、「もう一度AIを買うか、それとも、銀行や内需など別のセクターへ資金を移すか」が注目されます。

・メジャーSQの注意点

9月は、日経225先物・オプションの四半期決済月、いわゆる「メジャーSQ」の月です。

第2金曜日のSQ日前は先物やオプションのポジション調整から、指数寄与度の高い銘柄がファンダメンタルズ以上に大きく動く場合があります。そのため、日経平均株価が大きく上下しても、それだけで「日本株全体が強い/弱い」と判断しないことが重要です。

今年9月のSQ日は11日(金)です。

・半期の配当取り

9月は、3月期決算企業の中間配当の権利確定月です。配当を目的とした買いが入りやすく、高配当株や銀行、商社などに資金が向かいやすくなります。

ただし、権利付き最終日に向けて株価が上昇した銘柄は、権利落ち後には配当分の株価下落や利益確定売りが出やすいため、注意が必要です。今年は、28日が権利付き最終日、29日からは権利落ちとなります。

2026年の9月相場はどうなる?

2026年9月相場の最大のポイントは、金利と為替の変化による投資マネーの移動です。

アメリカでは利上げ観測が後退する一方、日本では早期の利上げ観測が浮上しています。円高なら内需、国内金利上昇なら銀行、中東情勢の緊迫化で原油高となれば資源・エネルギー……と、展開によって相場の主役が入れ替わる可能性があります。

その一方、東京ゲームショウやアジア大会など個別株を刺激するイベントも豊富で、指数よりも「次にどこへ投資マネーが向かうのか」を見る相場となりそうです。

・FOMCと日銀

9月15~16日のFOMCと、17~18日の日銀金融政策決定会合は、為替と株価を左右する重要なイベントです。

アメリカでは、7月の雇用統計が予想外のマイナスとなり、物価指標も落ち着きを見せたことから、9月に追加利上げが実施されるとの観測は大きく後退しています。これに対して日本では、物価上昇や円安への警戒から利上げ観測が強まっています。

アメリカは利上げを急がず、日本は利上げを探る展開となれば、日米の金利差の縮小から円高が進みやすく、輸出株には逆風、銀行など金融株には追い風となりそうです。

・中東情勢からの原油高に要注意

9月は歴史的にも地政学リスクが意識されやすい時期ですが、11月のアメリカの中間選挙を控える今年は、例年以上に中東情勢が市場の波乱材料となる可能性があります。

注目は原油価格です。中東情勢の緊迫化から原油高が進めば、アメリカのインフレ懸念が再燃し、金利上昇を通じてAI・ハイテク株にとっては逆風です。一方、INPEX<1605>や資源比率の高い商社など資源・エネルギー関連株には追い風となります。

原油価格の動向は、今年の9月相場を占う重要なポイントになりそうです。

・東京ゲームショウ2026

「東京ゲームショウ2026」が9月17~21日に開催されます。今年は30周年の記念の年で、過去最長となる5日間の開催が予定されています。

とはいえ、ゲーム関連株はイベントそのものより、新作タイトル、発売時期、海外展開、IP活用などで株価が動きます。

さらに今年は、AI・半導体一辺倒だった物色がエンタメへ広がるか、セクターローテーションの行方にも注目です。東京ゲームショウをきっかけに強力なIPを持つ企業が再評価されるかもしれません。

・愛知・名古屋アジア大会

9月19日から10月4日の日程で開催される「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」。日本では32年ぶりの開催で、海外からも多くの選手や観客が訪れます。

鉄道、ホテル、外食、百貨店、警備、スポーツ用品などの関連銘柄には、局地的な需要が期待できるでしょう。特にインバウンド消費と重なれば、名古屋圏だけでなく、日本の観光・消費関連株を改めて見直すきっかけとなりそうです。

2026年9月のイチオシ銘柄5選

・三越伊勢丹ホールディングス<3099>

9月相場に強い銘柄として注目したいのが三越伊勢丹ホールディングス<3099>です。

業績面でも追い風が吹いています。8月に発表した第1四半期決算では、通期の営業利益予想を815億円から840億円に上方修正、営業利益率も12.6%から14.6%に上昇しており、収益力の改善が鮮明です。

国内の富裕層を中心とした高額商品の需要や、外商など「個客」を深掘りする戦略も強み。9月に強い季節性に好決算、さらには秋物商戦への期待も重なります。

・IHI<7013>

9月相場では、8月末の来年度予算の概算要求が意識され、防衛・航空関連への物色が高まりやすくなります。

その一角、IHI<7013>は、8月の第1四半期決算で最終利益が前年同期比4.6倍の535億円に急拡大しました。通期の最終利益予想も1650億円から1720億円に上方修正。民間航空エンジン需要の回復と防衛事業の拡大が業績を牽引し、V字回復が鮮明です。

・三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>

日銀の早期利上げ観測を背景に注目したい銀行株。メガバンクの代表格である三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>は、業績も好調です。第1四半期の経常利益は1兆1179億円、純利益は8094億円で、市場予想を上回る好スタートとなりました。

なお、9月の利上げは見送られたとしても、10月以降の利上げを示唆する発言などがあれば、それだけで銀行株には追い風となりえます。

・ソニーグループ<6758>

東京ゲームショウを追い風にしたいのは、ゲーム、音楽、映画、アニメなど強力なIPを持つソニーグループ<6758>です。成長が続くイメージセンサーはAI時代を支える技術でもあり、「エンタメへの資金回帰」と「AI」の両方を取り込める銘柄です。

音楽やイメージセンサーが牽引した第1四半期決算は、売上高が前年同期比8.2%増、営業利益は40.2%増、純利益は32.1%増。営業利益の見通しは1兆7200億円へ上方修正されました。この好調を受けて、株価が上昇トレンドを取り戻せるかが焦点となります。

・JR東海(東海旅客鉄道)<9022>

愛知・名古屋アジア大会の関連銘柄としては、JR東海(東海旅客鉄道)<9022>を挙げたいと思います。大会最高位の「プレステージパートナー」であり、国内外から訪れる観客の移動需要が期待されます。

また、リニア中央新幹線による東京・名古屋・大阪を一体化した「巨大都市圏」の形成という中長期の成長テーマもあります。品川―名古屋間の開業見通しは年内に示される予定。アジア大会という足元の需要と、リニアという成長テーマの両面から注目です。

[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP) note:https://note.com/okapirecipe_555
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