「AIの次」はどこか? 資金が流れ始めた相場でプロが気にする銘柄、とは

窪田 剛
2026年10月31日 11時00分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、2026年10月相場を3つのランキングから相場を振り返ります》

2026年10月相場を振り返って

「半導体指数」と揶揄されることもある日経平均株価は今月大きく下落しましたが、高値を更新している銘柄もちらほらとあります。これが何を意味するのか。

それは、生成AI銘柄に資金が集中していた時代の終わりである。特に今月は、AI利用によるハッキングや情報漏洩が多く、AIに対する厳しい一面が見られた。また、AIや半導体の関連企業は、業績は抜群にいいのだが、株価は下落することも多くなってきた。いろいろな観点から判断するに、AIから他の銘柄群へと資金が移り始めている──

この流れはまだ始まったばかり。まだ間に合うよ。AIの次は何かな?

10月相場で上がった株・下がった株

そんな2026年10月の株式相場を、売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振りります(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズ)。

・2026年10月の売買代金トップ20

・2026年10月の値上がり率トップ20

・2026年10月の値下がり率トップ20

10月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

売買代金ランキング

▼売買代金ランキング *カッコ内は9月の売買代金
【1】キオクシアホールディングス<285A>18.95兆円(27.0兆円)
【2】アドバンテスト<6857>12.58兆円(5.9兆円)
【3】太陽誘電<6976>6.21兆円(4.8兆円)
【4】ソフトバンクグループ<9984>5.68兆円(8.2兆円)
【5】レーザーテック<6920>4.46兆円(2.4兆円)
【6】フジクラ<5803>3.55兆円(3.3兆円)
【7】村田製作所<6981>3.47兆円(2.9兆円)
【8】東京エレクトロン<8035>3.28兆円(3.1兆円)
【9】イビデン<4062>3.07兆円(3.2兆円)
【11】ディスコ<6146>2.44兆円(1.4兆円)
【13】古河電気工業<5801>1.72兆円(1.5兆円)

うわあああああああ。資金が抜けていく音がします。

これまで相場を牽引してきたAI関連銘柄ですが、調整はあるものの、いいニュースにはポジティブに反応する場面が多かったと思います。でもここ最近は、いい決算が出てもネガティブに反応することが多く、大きく下落する場面が目立つようになってきました。

今、この原稿を書いているのは10月30日の夜なのですが、売買代金不動の1位のキオクシアHDが決算を発表しました。素晴らしい内容だったのですが、PTSという証券会社がやっている時間外取引のマーケットはネガティブに反応して、10%近く下落しています。

10月は情報漏洩やハッキングのニュースが毎日のようにあり、AI関連以外の銘柄に注目が集まるきっかけにもなりました。ここからAI銘柄は復活できるのか。一歩引いて見守っていきたいと思っています。

[継続監視中]キオクシアHDの売買代金の推移

ちょっと気になる銘柄たち

▼売買代金ランキング *カッコ内は9月の売買代金
【8】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>2.54兆円(2.54兆円)
【14】リクルートホールディングス<6098>1.61兆円
【15】みずほフィナンシャルグループ<8411>1.50兆円
【16】日立製作所<6501>1.49兆円
【18】三井住友フィナンシャルグループ<8316>1.42兆円
【19】ソニーグループ<6758>1.32兆円
【20】任天堂<7974>1.26兆円

ここでピックアップしたのは、10月に高値を付けた、もしくは下げ止まって反転の兆しがある、そんな銘柄たちです。

銀行系は落ち着いてきたとはいえ、まだまだ高値圏です。リクルートは高値圏にいますし、日立も決算発表後に売られていますが高値を付けました。任天堂はコンテンツIP関連で元気のいいゲーム関連として買われる場面が増えてきました。

売買代金上位20に入っていない銘柄でも、高値を付けていたり、高値圏で推移している銘柄が増えてきました。生成AIから抜け出した資金はどこに向かうのか。まだ答えは出ていませんが、ヒントも増えています。ここからしっかりと相場に向き合っていけば、大きなチャンスを掴むことが出来るんじゃないかとワクワクしています。

相次ぐ情報漏洩で上がったけれど…

▼値上がり率ランキング *カッコ内は9月終値→10月終値
【3】セキュアヴェイル<3042>+239.26%(298→1,011)
【7】サイバートラスト<4498>+91.11%(1,125→2,150)
【8】ブロードバンドセキュリティ<4398>+77.78%(1,431→2,544)
【9】S&J<5599>+71.73%(1,079→1,853)
【17】ユビキタスAI<3858>+52.28%(329→501)
【18】グローバルセキュリティエキスパート<4417>+51.55%(5,470→8,290)
【19】サイバーセキュリティクラウド<4493>+49.77%(1,967→2,946)
【20】カウリス<153A>+47.14%(1,625→2,391)

冒頭でも触れましたが、今月は情報漏洩やハッキングのニュースが盛りだくさんでした。月末の本日も、世界最大手の暗号資産取引所を運営するバイナンスから約1兆円の暗号資産が盗まれる、というニュースも飛び込んできました。

日本でも多くの企業の情報漏洩やハッキングによって被害が拡大しており、ここでピックアップしたようなセキュリティ関連銘柄に資金が集まる場面が多くありました。とはいえ、ここに挙がっているような銘柄は時価総額が大きくなく、流動性も普段はほとんどないので、高値づかみのリスクがあります。

生成AIからの資金の向かう先がここになる、ということは決してありません。ですが、こういう動きが今後増えてくる可能性があるので、気を引き締める、という意味を込めてピックアップ。決して、ここにある銘柄を今から買うようなことはしないでください。「こういった流れがあるよ」「今後も別の何かであるよ」という勉強のためのピックアップです!

「次の何か」とともに

10月は、AI関連銘柄から「次の何かへ」という動きが明確に出始めた1か月となりました。AI関連は、決算に対する反応が良くなく、また、需給も悪い(高いところで買ってしまって含み損になっている人たちが多いため、ちょっと上がると売りがたくさん出てくる)ため、株価が上昇しにくい状況が続いています。

そして、アメリカでは中間選挙があります。このコラムが出てすぐに結果が出ることになりますが、この選挙で大きな動きが出るかもしれません。地政学リスクやエネルギー価格の高騰、止まらないインフレなど、みんなが注目するトピック次第では、マーケットが大きく荒れる可能性もあります。AI関連の下落、そして地政学リスクの混乱が重なれば、短期的に大きく暴落する可能性も考えておかなくてはいけません。

AIから次への動きに注目しつつ、リスクも頭の端っこには入れておきましょう。どちらにせよ、長い目で見れば株価は上昇していきます。そのきっかけをつかむために、年末に向けて、しっかりと向き合っていくぞ!

(本記事は「株の学校トピックス」からの転載です)

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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