【今年の3本】最も株高・株安になりやすいのは何月? 意外と知らない株式相場のパターンとは

岡田禎子
2020年12月29日 8時00分

《「今年の3本」と題して、2020年に特に多くのアクセスを集めた3つの記事を再掲載しています。株っていつ上がるの?」「いつ買えばいいの?」という素朴な疑問に答えてくれるこの記事は、昨年に引き続き、一年を通してよく読まれています(※本記事は再掲載です)》

「勝つ」よりも大切なこと

彼を知り己を知れば百戦殆うからず

「敵と味方を熟知していれば、たとえ100回戦っても負けることはない」という意の孫子の有名な言葉です。

株式投資も同じ。株価のパターンや恒例のイベント、今後起こる出来事などを熟知することで、「負けない投資」に一歩つながります。4月から3月までの毎月のポイントをご紹介しますので、今後の戦略を立てる際に、ぜひお役立てください。

月ごとの相場の特徴

【4月】新年度開始で相場も盛況

機関投資家の運用開始月であるほか海外ファンド勢の第2四半期入りもあり、新規マネーが流入しやすく、相場が盛況となる傾向があります。下旬からは3月期決算企業の決算発表シーズンとなり、好業績の銘柄に注目が集まります。

また、春は学会のシーズンで、医薬品、バイオ関連の企業の株価上昇期待が高まり、いわゆる「バイオ祭り(バイオ株の大相場)」も多く見られます。

◆4月の相場格言──

4月相場は強い

【5月】波乱の決算発表を終えて

株価は4月に天井をつけ、ゴールデンウィークあたりから「セルインメイ」になるパターンが通例です。中旬まで続く決算発表によって株価は大きく変動しやすいものの、一巡後は、アナリスト予想が出揃うまで方向感を失いやすい展開となります。

◆5月の相場格言──

セルインメイ(Sell in May)

【6月】一年で最も高値をつけやすい

ボーナス時期でもあり、配当・株主優待の権利取りや、7月初旬に迎えるETF決算の分配金狙いの買いも入りやすいことから、株価は上昇しやすくなります。さらに、月末から7月にかけては株主総会ラッシュとなり、市場は好材料への期待感が高まり、堅調となりやすい傾向があります。

また、月末には、気象庁の夏予報(3か月予報)が発表されます。その内容によっては、猛暑関連銘柄を予想して手に入れておく、という投資家もいます。

◆6月の相場格言──

ボーナス時期は株が上がる

【7月】材料難で小幅な動き

決算発表後の機関投資家の銘柄入れ替えも終わり、手掛かり難の中、株価のトレンドが出にくく、材料のある中小型株テーマ株などに資金が向かう傾向にあります

また2019年は参院選が予定されています。過去には、選挙後に材料出尽くしで売られるケースも多く見られ、相場動向を慎重に見守る必要があるでしょう。

◆7月の相場格言──

七夕天井・天神底 *天神=大阪の天神祭(25日)

【8月】最も株価が下がりやすい月

バカンス入りする外国人投資家や、お盆には国内投資家も夏休みとなり、市場参加者が極端に少なく、「夏枯れ相場」といわれる薄商いの状態となります。初旬にはJPX日経400の銘柄入れ替えが公表され、入れ替えに伴う思惑で株価が動く傾向があります。

また8月は為替が円高方向に振れることが多く、大型株には手を出しにくい時期でもあります。そのため、個人投資家の関心は中小型株へ向かい、物色の動きが目立つ傾向にあります。

◆8月の相場格言──

夏枯れ相場

【9月】世界的に株安となりやすい

台風など自然災害も多い時期となり、相場全体が軟調な動きの中、材料のある低位株が物色される傾向にあります

初旬には日経平均の銘柄入れ替えが発表されますので、入れ替えに伴う思惑で株価が動く傾向があります。月末は中間配当・株主優待の権利取りで、株価は底堅い動きとなりやすいです。

東京ゲームショウの開催時期でもあり、ゲーム関連株が人気となるほか、アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)は9月の会合で大きな政策転換が出やすく、発表直後は急落につながることもあるため、警戒が必要です。

◆9月の相場格言──

彼岸底

【10月】中間決算発表が本格化

アメリカ投信の節税対策の売りや、ヘッジファンドの解約に備えた換金売りが出やすく、株価は軟調になりがちです。一方で、見方を変えれば、年末にかけての株価上昇を期待して、主力の大型株を底値圏で拾えるタイミングとも言えます。

また、3月期決算企業の中間決算発表が本格化し、上方修正・下方修正などで、株価が大幅に動くこともあるので注意が必要です。

初旬に行われるノーベル賞の発表次第では、バイオベンチャーなどがノーベル賞関連銘柄として賑わいを見せます。月末には、気象庁の冬予報(3か月予報)が発表されますので、前もって厳冬関連銘柄を物色するという作戦もあります。

2019年は、消費税の10%への引き上げ実施が予定されており、消費低迷による景気の減速など、相場環境によっては警戒が必要となるでしょう。

◆10月の相場格言──

10月効果/10月株安

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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